
ルジャイブ、パレスチナ自治区:ラカン・シロスは、毎週木曜日は早起きして、西岸のロバの保護施設に向かい、パレスチナの日常生活に未だ重要な役割を果たしている動物たちの世話をしている。
ナブルスの毎週開かれる市場で買い手がつかなかったロバは、近くのルジャイブの保護施設に連れてこられ、獣医のシロスが「無料診察」を行っている。
この保護施設はイギリスの慈善団体「Safe Haven For Donkeys」によって運営されており、2000年にイスラエルとパレスチナ自治区で働くロバの世話をするために設立されている。
慈善団体によると、ロバは「少くない報酬で一生懸命働いている」のに、伸びすぎたひづめや虫歯など、簡単に治療できる問題で苦しんでいるいることが多いと言われる。パレスチナ人の中には、今でも輸送や農作業をロバに頼っている人が多いにも関わらず、である。
イスラエル占領下のヨルダン川西岸のアル・ナジャ大学で獣医になる教育を受けたシロスが語るには、他の文化圏では馬を大切に扱う人がいるように、ナブルスではロバが、ブラッシングされ、大切に扱われている。
木曜日、ナブルスの市場が開かれる日には、完全に大人に成長したロバは人気があり売れるが、まだ若いロバは売れずに、放置されることも珍しくない。買い手は、育てるのに時間とお金がかかるロバよりも、既に大人になり、力が強い個体を求めるからである。
「(放置された若いロバは)大人になるまで世話をしています」と、保護施設で同じく働くワエル・サラマは語る。
大人に育ったロバは無料で引き渡されているが、そのロバを売らないことが条件になっている。この保護施設は西岸で唯一のもので、最大200頭のロバを収容できるだけでなく、ロバを施設まで連れてきた農民には無料で治療を提供している。
AP