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イランは「アメリカの弱点を突いて自らの望む方向に操る術を心得ている」とポンペオ国務長官がアラブニュースに語る

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11 Mar 2021 06:03:35 GMT9
11 Mar 2021 06:03:35 GMT9
  • 前米国務長官、中東の米兵を守るにはイランの行動に強い対応が必要と主張
  • ポンペオはまた、サウジアラビアの「自衛能力を否定するのは正気の沙汰ではない」と述べ、イエメンへの援助を妨害するフーシ派を非難した

ウーバイ・シャーバンダー、 ワシントン D. C.

マイク・ポンペオ前米国務長官はアラブニュースとの独占インタビューにおいて、米政権はサウジアラビアを弱体化させようとする努力に反発する責任があると述べると共に、「サウジアラビアの自衛能力を否定するのは正気の沙汰ではないにもかかわらず、現政権はそうした方向性にあるように見える」とも付け加えた。

ポンペオは、「イランの指導者は米国の弱みを突いて、自らの望む方向に操る術に長けている」と述べ、イラン政権を抑止するには「一貫した明確なメッセージ」と共に「そうしたメッセージに耳を傾けない場合にかかる代償を示す意思」が必要だと述べている。

ポンペオはまた、バイデン政権がイエメンのフーチ派民兵のテロリスト指定を解除したことに強い異議を唱え、「フーチ派がテロリストであることに誰も異論はなく、イランが彼らを支援していることにも誰も異論はないはずだ」と指摘している。

インタビューでは、サウジの人口密集地や石油インフラへの攻撃の急増、バイデン政権の外交政策の動きに対するイランの認識、イエメンの人道危機を悪化させたフーシ派の動き、トランプ政権の米サウジ関係の扱いなど、現在危急を要する問題について取り上げられた。

「結局のところ、イランの指導者、(最高指導者の)アヤトラ・アリ・ハメネイ師、そして彼の周りの人々は、一つのことを理解している:彼らは権力を理解している。そして、彼らが行動を起こした結果として、相手の弱さを発見したり、妥協を図ろうとする動き、あるいは妥協を期待する動きを見付けたりすれば、彼らは行動を起こし続けるだろう」とポンペオは語った。

「(イランが支援する)勢力によるミサイル攻撃だったり、国際原子力機関(IAEA)に圧力をかけ続けて、既に皆が知っている事実であるのに、秘密裏に進めている核兵器開発プログラムを否定したり、申告していない大量破壊兵器を持ち、その貯蔵場所を隠したりと、表では平然と否定しながら、裏では着々と進行させている事柄が、米国だけでなく、E3(イギリス、フランス、ドイツ)を含む全世界が、『もういい、これ以上このようなことは許さない』と言うまで続くに違いない」とポンペオは強い口調で警告を発した。

ポンペオはカンザス州出身の下院議員で、後にドナルド・トランプ前大統領の下でCIA長官を務めた後、2018年に国務長官に指名、承認されている。彼の指揮下で、米国はイラン政権を孤立させるために「最大限の圧力」をかけるキャンペーンを採用し、「米国人の安全を守る」ために軍事攻撃の選択肢も用意していた。

今年1月に退任以来、ポンペオは講演活動を各地で行い、元上司のトランプ前大統領が出馬しない場合、2024年の大統領選に立候補する可能性を排除していない。ポンペオは、共和党員を支援し、保守派を擁護する立場を鮮明にしつつ、特に中東の現況に言及し、米国を第一に考えない新米政権を批判している。

ポンペオはアラブニュースに対し、彼が懸念しているのは「(バイデン政権が)発信するシグナルだけではなく、政権が志向する政策の方向性にある」と語った。

「バイデン政権は、2015年のJCPOAと密接に結びついた交渉を再開することを希望する立場を鮮明にしている」と、イラン核合意として一般的に知られている包括的共同行動計画(JCPOA)に言及した。

イラン核合意は、2015年7月にイランとP5+1(国連安全保障理事会の常任理事国5カ国+ドイツ)が欧州連合(EU)とともに合意したものである。トランプ政権は2018年5月、JCPOAが一時的な抑止に過ぎないという欠陥、イランの弾道ミサイル開発に対する規制が不十分、またシリアなど中東地域でのイランの「悪質な行動」などを理由に、米国をJCPOAから離脱させた。

「これまでにバイデン政権が取った行動はどうか。これまでのところ、政権はテロ組織の指定を解除している。フーシ派がテロリストであることは、誰の目からも明らかであるのに。そして、イランが彼らを支援していることに異論を唱える者は誰もいないのにである」とポンペオは主張した。

「バイデン政権は、『リストから外す』という行動に出た。また、政権はIAEAと協力して、『未申告の場所にあったこの物質についての報告書の提出を要求しない』としている」

「バイデン政権は更に、IMFと韓国からの資金がイランの国庫に入ることを許そうとしている。何等の交渉も行われれる前に、既に譲歩する姿勢を示している。これは米国が弱腰であることを象徴しており、私が断言できることは、イランの指導者はこうした米国の弱みを突いて、自らの望む方向に操る術に長けているということである」

ポンペオは、サウジアラビアを米国にとって「重要な安全保障上のパートナー」と評しつつ、次のように述べた。「非常に長い間、私たちはこの(事実を)無視してきたと思う。この間違いを正すことが出来れば、中東でリスクに直面している米国の若い男女を、海外に配置されている人数をより少なくすることができ、また彼らに対する支援を厚くすることができる」

その為にはどうすれば良いのかを次のとおり説明する:「まず優先されるのはコミットメント、外交的コミットメント、米国大統領のコミットメントが重要となる。米国大統領は、サウジアラビアが、ミサイルが自国に向けて発射されれば、自国を守る権利を有することを理解し、コミットすべきである。自国を守る権利を否定するとすれば、それは正気の沙汰ではない。それでも、この政権が取ろうとしている方向性はそうであるように見える」

「第二に、私達はサウジアラビアと協力して より広範な問題に取り組んできた。武器の販売など、サウジアラビアの人々に 安全を提供する方策である」

ポンペオは、トランプ政権がその過程で人権を無視したというあまねく広まっている批判を否定した。「これ程真実からかけ離れた言われようはない。私たちはサウジアラビアが内部的に開放され、女性がより積極的に活動でき、非常に長い間禁止されていた多くのことができるようになるのを支援してきた。そして、真実進歩に貢献している」と彼は主張する。

「サウジアラビアが(ジャーナリストの)ジャマル・カショギを殺害したような容認できない行動を取った時は、私たちはサウジアラビア側に事実関係を問い質している。実際、事件に関与したサウジアラビアの指導者に制裁を加えている。米国とサウジアラビアの関係は非常に重要である。サウジアラビアとの深い安全保障関係は、米国の安全保障の骨格であり、中東全体の安全保障の骨格でもある」

ポンペオは、バイデン政権の中東政策とトランプ政権の政策間の顕著な差を指摘した。「私たちには3つの主要な取り組み課題があった。1つ目は、世界最大のテロ支援国であるイラン政権に対抗する連合を構築することで、私たちはそれを実行した」

「私たちはアラブとイスラエルを含む連合を構築した。ホルムズ海峡のパトロールに協力する用意があった、その他の国も参加している。軍事攻撃を抑止するために、イランに対する真のグローバル連合を構築したのである」

「2つ目は、私たちはイラン政権に甚大な経済的圧力をかけたことである。経済制裁を行い、イランが原油を世界中で売ることができないようにした。私たちはイラン政権が自らの資源の使い道について、難しい決定を下すことを強制するであろうすべてのことを実行した」

「ヒズボラを支援すれば、それだけ自国民の社会保障に割ける財源は少なくなる。更に、イラクの民兵を支援したいなら、シリアのアサド政権を支援したいなら、最終的に核開発や、弾道ミサイル開発を続けることは同国の最善の利益にならないと結論づけることを期待して、厳しい財政的制約に直面させた」

ポンペオは続けて次のように述べた:「3つ目は、イランの人々を支援したことである。これはオバマ政権の取り組みとは異なる。私たちは、イランの人々自身が、世界中の人々が望んでいる生活とそれ程変わった生活を望んでいるわけではないこと、そして、現在イランで権力を握っている神権政治家、泥棒政治家は、最新兵器を取り揃えている(かもしれない)が、イランの人々に対する思いやり、優しさ持ち合わせていないことを非常に気にかけていた」

「そこで、イランの人々を支援するためにできる限りのことをした。この3つの柱が正しい方向性だった。私たちが取った施策こそ、イランのアラブ諸国への攻撃に対する最高の抑止力となるものであり、イスラエルを地図上から消し去るというイランが公言している意図を実現させない、最も確実な方策であった」

ポンペオは、イラン政権の考えを勘ぐる必要はないと述べている。「彼らは自分たちの権利を確保する手段は、世界中どこでも行使する準備があることを明確にしてきた」とアラブニュースに語った。

「そこで、私は国務長官だったとき、ヨーロッパ全土で暗殺キャンペーンを行おうとする彼らの方針について、多くのことを話し合っている」

「イランの暗殺者が何人も欧州で逮捕され、投獄されているのを知っているかと思います。E3がイランとJCPOAに固執して『いや、これが正しい方向だ』と主張し続けているのを見ると、いつも戸惑いを覚える。実際にはイランは欧州各国で暗殺を企てているのに」

「イランの暗殺の試みは、米国でも行われています。私は今ワシントンD.C.にいますが、ここからそう遠くない場所で、イランがサウジ大使を暗殺しようと企んだのは、それ程昔のことではなく、忘れてはならない出来事である」

「彼らは世界中で蠢いている。イランの人々が利用可能な残りの資金を吸い上げ、イラン国内の一握りの 上級指導者を守るために、世界中でスパイ活動、暗殺活動が行われている。このような事態をいつまでも許しておくわけにはいかない」

「イランが全てのアメリカ人捕虜を 解放するまで、また米国がイランのこの種の行動を容認しないと理解するまで、制裁を解除するべきではない。イランに報いるために、資金を提供することは、逆にこうした行為を継続するインセンティブを与え、また核兵器や弾道ミサイルの開発を継続するための資金を提供することになるだけだ」

フーシ派を「外国のテロ組織」に指定したことについては、ポンペオはアラブニュースに次のように語った:「当然のことで、トランプ政権にとっては当たり前のステップを踏んだだけだ。何も難しいことはない。特に取り上げるべき難しい問題は無かった」

「それなのに、バイデン政権でもフーシ派がテロリストであることを否定できないのに、現在、フーシ派はテロリストではないと言いだしている。私もイエメン国内の人道的問題について、世界が抱いている懸念は理解している。実際、トランプ政権はイエメンの一般の人々が飢えに苦しむことがないよう、米国の納税者の金銭を多額に費消している。そして、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)に対しても、イエメンの一般の人々の飢餓を避けるため、同様の対策を取るよう説得した」

「私たちはイエメンの一般の人々の飢餓対策に懸命に取り組んできた。最善を尽くして食料を確保し、届けた。しかし、世界的な援助が実際に食料や薬を必要としている人々に届くのを妨げている勢力こそ、巷間言わるとおり、フーシ派である」

ジョー・バイデン大統領がフーシ派民兵の「テロリスト」指定のレッテルを剥がすことを決定したことに言及して、ポンぺオは次のように述べている:「フーシ派が今日マリブでやろうとしているように、輸送ルートを封鎖し続ければ、港を脅かし続ければ、不動産を奪い続ければ、そうしたことを実施し続ければ、制裁が解除され、報われることを学んでしまった。それは間違った方向だ 彼らは権力を理解している。我々は今、彼らが何等の譲歩を示さなければ、我々が何かを与える準備ができていることを示してしまった」

先週、サウジの石油施設がミサイルや無人機に狙われたことを受けて、ブレント原油先物は1年以上ぶりに70ドルを超えて跳ね上がった。国営通信社SPAによると、世界最大級の石油輸出港の1つにある石油タンク貯蔵所が無人機に攻撃された一方、弾道ミサイルはサウジ・アラムコの施設を標的にしていたと言われる。迎撃されたミサイルの破片は、ダーラン市の住宅地の近くに落下した。

「トランプ政権時代にサウジ・アラムコの施設が標的にされた時、私はミサイルがどこから発射されたのかを明確にした。イエメンから発射されたものではなかった。ミサイルはイラン人によって発射されたイランのミサイルだった」とポンペオはアラブニュースに断言した。

サウジアラビアの弱体化を狙い、人々の平穏を脅かすこうした行いは、狙われたのが米国人が多く住むダ―ランであろうが、首都のリヤドであろうが、中東全体の安定を脅かしている。

「米国の政権のみならず、欧州の各国政権も、イランのこうした行いに反発して、イランのこの種の攻撃行為に対して、真の代償を課す責任がある。それがどういうわけか、イランのミサイル攻撃に対して、少なくとも現政権は、直接的な対応を必要としないものとみなしているようだ。非常に不思議なことだ」

「欧米諸国からの真剣な対応が行われずに、このような事が許される場所は世界にはほとんど無い。もちろん、これには国連からの真剣な対応も含まれる、少なくとも表向きは。私はそうした対応が行わることを望む」

ポンペオは、今日のリスクが1週間前や2週間前よりも高いかどうかを、「日々知ることは難しい」としながらも、次のように述べている:イランの体制を抑止するためには、一貫した明確なメッセージと、イランの指導者に代償を課す意思が必要である。

では、先月イラクでの米軍施設へのロケット攻撃への対応として、イランが支援するイラクの民兵グループが使用していたシリアのサイトへの米軍の空爆について、ポンぺオはどう考えているのだろうか。バイデン大統領は後に空爆はイランへのメッセージだと説明している:「代償無しに行動することはできない。注意が必要だ」

ポンペオは、「イランの攻撃に対する反撃が、砂漠にミサイルを打ち込み、シリアの補給施設を攻撃するだけなら、イラン政権自体にほとんど代償が及ばず、それではサウジアラビアだけでなく、中東全域に駐留している我々の兵士を保護し、防御する抑止力を確立することができる可能性は低い」と述べた。

ポンぺオ自身の見解では、「我々には正しく応酬する義務があり、イランを抑止するためには米国の強力な対応が必要だ」と述べた。

おそらくバイデン大統領がトランプ政権時代のフーシ派に対する「テロリスト」指定を終わらせたキャンペーンの成功に励まされてか、一部の宗教、政治、人道主義の指導者たちは最近、シリアに対する経済制裁を解除するように米国大統領に求める書簡に署名している。しかし、ポンペオはシーザー・シリア市民保護法を 「本当に重要のもの」と捉えている。

「この法の素晴らしさは、超党派の努力で定まったものであり、トランプ政権の努力だけで制定されたものではない」とポンぺオはアラブニュースに語った。「当時の国務長官として、シーザー法の権限の下で実際の行動を取り、対応する権限を与えてくれた。それは非常に効果的だった。イランと深いつながりのあるシリアのビジネスマンに圧力をかけ、ヒズボラとヒズボラを支援していたビジネスマンにも圧力となった」

「信じられないほど効果があった。シーザー法と政権による施行が維持されることを願う」

ツイッター: @OS26

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