
ベイルート:シリア内戦を監視する団体が14日、10年前の3月の戦争勃発以降、死者数の合計が38万8652人に達したと発表した。
英国を拠点とする「シリア人権監視団」は、死者数のうち11万7388人は市民であり、2万2000人以上の子供が含まれていると述べている。
監視団はシリア国内の情報に基づいて報告書を作成しているが、市民の死者の大部分はシリア政府や政府側に立つ民兵組織による攻撃が原因だと述べている。
監視団の前回の集計は昨年12月に発表されたが、その時点の死者数は38万7000人以上だった。
監視団のラミ・アブデル・ラーマン代表によると、2020年の死者数は戦争開始以来最低で、1万を少々上回る程度だった。
2020年は北西部で停戦が成立し、またコロナウイルスのパンデミック抑制に意識が集中したため、戦闘は下火となった。
監視団の報告書によると、政府への抗議活動に対する暴力的な鎮圧をきっかけとして2011年に内戦が勃発した後、政府の監獄や拘置所で少なくとも1万6000人が亡くなったという。
しかしながら、こうした監獄での拷問により命を落としたと思われる8万8000人は今回の集計に含まれていないため、実際の死者数はさらに多いと見られる、と報告書は述べている。
政府は2015年以降、ロシアを後ろ盾として勝利を重ねており、今では国土の60%以上を掌握している。
現在も制圧できていない地域としては、反乱軍最後の砦である北西部のイドリブ県や、北部国境付近のトルコ支配地域、それに米国の支援を受けたクルド人勢力が支配する北東部などがある。
内戦により以前の人口の半数以上が避難を余儀なくされている。人権監視団によると、およそ20万人が行方不明のままだ。
AFP