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国連、移民が死亡したイエメンの火災について独立調査を呼び掛ける

2020年3月13日、先週の収容施設での火災を受け、サナアの国際移住機関(IMO)事務所の前で話す在イエメン・アフリカ共同体の代表たち。(AFP)
2020年3月13日、先週の収容施設での火災を受け、サナアの国際移住機関(IMO)事務所の前で話す在イエメン・アフリカ共同体の代表たち。(AFP)
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17 Mar 2021 04:03:11 GMT9
17 Mar 2021 04:03:11 GMT9
  • マーティン・グリフィス イエメン担当特使:マリブおよびサウジアラビアへのフーシ派攻撃を受けイエメンの状況は悪化している
  • 3月7日、フーシ派運営の収容所での火災で数十人が死亡、170人以上が負傷した

エフレム・コサイフィ

ニューヨーク:国連は16日(火)、アフリカ人移民数十人が死亡したフーシ派運営の収容所での火災について、独立調査を行うよう呼び掛けた。

「イエメンで苦しんでいるのはイエメン人だけではない」と、マーティン・グリフィスイエメン担当特使は述べた。「先週、主にエチオピア人移民が収容されたサナアの収容施設で起きた火災により、世界は移民コミュニティの置かれた苦境について思い起こされることになった」

「火災で数十人が死亡し、170人以上が重症を負った。火災原因について独立調査を行わなければならない」

特使は、フーシ派民兵によるマリブ攻撃およびサウジアラビアを狙った最近の越境攻撃の激化など、紛争が続く中でイエメンの状況は悪化していると加えた。

「『アンサール・アッラー』によるマリブ県への攻撃は続いており、推定100万人の国内難民を含む民間人が危険にさらされている」と、グリフィス特使はフーシ派の正式名称を使って述べた。

「双方の実戦部隊が多大な損失を被っている。子どもたちがますます戦闘行為に引き込まれ、未来を奪われているという衝撃的な報告も受けている」

「この数週間で越境攻撃も大幅に増加している。サウジアラビア王国の民間および商業インフラを狙った攻撃を含めミサイル・ドローン攻撃が激化していることを憂慮している。これに続いてサナア市内でも空爆があり、民間人が命の危険にさらされている」

「ホデイダでは女性と子どもを含む民間人が死傷する暴力行為が続き、問題となっている。国連ホデイダ合意支援ミッション(UNMHA)を率いるアブヒジット・グハ中将とともに、民間人を危険にさらす攻撃を非難するものである」

国連の人道問題担当トップ、マーク・ローコックはイエメンで人道法に違反した者の責任を問うよう呼び掛けた。

「これまで約15,000人もの人が戦闘から逃がれている。うち半数以上は急ごしらえの収容キャンプその他の危険な場所に押し込められている」とローコックは語った。「戦闘が激化すればさらに数万人が逃亡することになり、すでに収容定員を超え、ひどい困窮状態にあるキャンプに流れ込むことになるだろう」

「イエメンには、難民や移民への法律違反を含め、イエメンにおける深刻な国際人道法・国際人権法違反に関するさらなる説明責任が求められる」

また、ローコックはイエメンの「貴重な安全な避難場所」と呼ぶマリブへのフーシ派による脅威のため、100万人の難民の命が危険にさらされていると加えた。

先月現在の国連の任務から降りる考えを発表したローコックは、タンカー「セイファー」に関するフーシ派側の対応の柔軟性のなさについても非難した。4800万ガロンの石油を積載するセイファーはメンテナンスも行わずに数年間紅海イエメン沖に停留したままだ。その結果、セイファーの状態は環境災害を起こすおそれがあるほど悪化している。

「国連はセイファーについて、ミッション実行遅延の要因となっているいくつかの物理的問題についてアンサール・アッラー側と引き続き対話を行っている」とローコックは述べた。「プロジェクトを開始したいので、国連は可能な限り柔軟な姿勢を取っているが、今のところアンサール・アッラーは同様に柔軟な姿勢を見せてくれていない」

「予算上の問題およびミッション人員の安全上の懸念により、国連が回避できずに保留中となっている課題がいくつかある」

「アンサール・アッラーは2020年11月にミッションの計画に合意したとき、ミッションの準備や物理面で協力すると約束した。国連としても支援を惜しまない姿勢は変わらない」

また、国連安全保障理事会メンバー国も珍しく足並みを揃え、フーシ派によるマリブ攻撃の続行およびそれによる人道的状況の悪化について非難する2名の特使に加わった。

さらに、地域全体の安定を脅かすものであるとして、フーシ派によるサウジアラビアへの越境攻撃についても「可能な限り強い言葉で」非難した。またメンバー国は、フーシ派に対して何百万人に飢餓が忍び寄りつつあるイエメンへの無制限の人道的アクセスを許すこと、「移民に対する非人道的な扱い」をやめることを要求するという点でも一致した。

リンダ・トーマス=グリーンフィールド米国大使は、「フーシ派がイエメン人や、サウジアラビアその他の地域の国への日々の攻撃を続ける限り、イエメンには停戦も和平ももたらされない」と述べた。

「残念ながらフーシ派の攻撃の勢いは、イエメンの新閣僚暗殺が企てられた12月の時点から衰えていない。そして今日では、フーシ派のマリブ攻撃によりさらなる数のイエメン人男性、女性、子どもたちの命が奪われている」

大使は、フーシ派は「罪のない人々を残酷な形で拘留している」と述べ、死者を出した3月7日のサナアの収容施設での火事にふれ「(火事により)失われた人命に哀悼の意を表する。フーシ派により非人道的な環境に置かれた何十人もの移民の命が無為に失われた」と付け加えた。

また大使は、フーシ派に対して「即時的、包括的、全国的な停戦」の受け入れを呼びかけるとともにフーシ派指導者らの責任を引き続き追及することを誓った。

トーマス=グリーンフィールド米国大使は「拘留、拷問、そして活発に政治活動を行う反フーシ派女性たちへの性的暴力の監督・実行」を行った容疑でフーシ派治安当局幹部スルタン・ザビンに制裁を課すとした安全保障理事会の決定を称賛した。

また大使は、同様の罪を犯した個人や組織を特定するために引き続きイエメン制裁委員会と取り組むことを誓った。

トーマス=グリーンフィールドはセイファーについて、フーシ派が「国連による(セイファーの)状況評価および初期修理を遅らせていることで、不可逆的な大惨事を引き起こす危険性を招いている。フーシ派はいいかげん足踏みをやめ」、国連技術チームが検査と修理を開始できるようセイファーへのアクセスを許すべきだと語った。

常任理事国ロシアのワシーリー・ネベンジャ国連大使は、2020年12月18日に実現した連立政権設立が「リヤド合意実行への重要なステップ」となること、また「イエメンにおける深刻な社会経済的および人道的問題」の解決に向けてすべての当事者が取り組めるような水準の安全保障がもたらされることを期待すると語った。

また大使は、「イエメン当局および南部暫定評議会の2つの合同代表団の間の交渉開始、および今後のイエメンの政治的取り決めに関するアンサール・アッラー・フーシ派のリーダーシップに関するリヤド合意の条項の実質的な履行を支持する」と付け加えた。

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