
ブリュッセル/パリ:欧州連合は来週、2019年11月のイラン当局による死者が出た弾圧を理由に、イランの民兵や警察署長8人および3つの国家機関を対象に制裁を発動する。外交官3人が31日、明らかにした。
外交官らによると、渡航禁止と資産凍結が科される予定で、EUが人権侵害を理由に制裁をイランに課すのは、2013年以降で初めてであり、欧州の復活祭の休暇の後、来週中に実施される予定だという。
対象となる個人には、イランの強硬派民兵組織バシジのメンバーが含まれている。バシジは、イランで最も強力で重武装した治安部隊であるイラン革命防衛隊傘下の民兵組織だ。
ロイター通信は30日、EUが制裁を計画していると報じた。EUは30日、31日にコメントを拒否した。
イランは、西側諸国による、人権侵害をしているとの非難を繰り返し否定してきた。ブリュッセルのイラン大使館からも、他のイラン高官からも、すぐにはコメントを得られなかった。
当時のイラン内務省高官3人がロイター通信に提供した情報によると、2019年11月15日に始まった2週間足らずの騒乱で、約1500人が殺害された。国連は、合計死者数は304人以上だと発表した。
イランは、情報源による死者数は「フェイクニュース」だと言っている。
3月9日、イランの人権状況に関する国連特別報告者ジャバイド・レーマン氏は、抗議デモ中にイラン政府が殺傷力の高い武器を使用したとする報告書を提出し、イラン政府が適切な調査をしなかったことや、誰にも責任を取らせなかったことを非難した。
EUが制裁で対応するのにこれほど長く掛かった理由を尋ねたところ、準備に関わったEUの外交官は、制裁措置の対象者にとって不利な強力な証拠が必要なことを理由に挙げた。
EUはまた、イラン政府が2015年に世界の列強とともに署名した核合意を維持するために、イランを怒らせることを避けてきた。
その3人の外交官は、今回の制裁について、核合意の復活に向けた努力とは関係がないと話した。米国は核合意から離脱したが、今は復帰を目指している。この合意により、イランが核爆弾に必要な核分裂性物質を集めるのは、より困難になった。目的は、イランは長年否定しているが、制裁解除の交換条件にすることだ。
2019年11月にイラン中で抗議デモが数日間行われた後、最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師はデモ参加者を弾圧する命令を出した。ロイター通信が2019年12月に伝えた。最高指導者の側近と親しい情報筋3人と4人目の高官が確認したこの命令によって、1979年のイスラム革命以降、最も残忍な、抗議者への弾圧が始まった。
半官半民のタスニム通信によると、イラン最高国家安全保障委員会の報道官は、ロイター通信の記事が掲載された後に出された声明の中で、死者数は「フェイクニュース」だと述べた。
国連はイランの人権状況が悪化していると警告している。3月9日に発表された報告書によると、イランでは死刑の比率が高く、未成年者の処刑や、自白を強要するための拷問が行われているほか、10歳の少女の結婚を合法化している。
ロイター