カイロ:エジプトはガザ地区との国境から人道支援を提供する計画を米国などと協議しているが、この飛び地から逃れる難民のために安全な回廊を用意するいかなる動きも拒否していると、同国の治安当局関係者が水曜日に明らかにした。
ガザ地区は、北部と東部を接するイスラエルと南西部を接するエジプトとの間に挟まれた小さな海岸地帯で、2007年にパレスチナのイスラム主義組織「ハマス」がこの地を掌握して以降、封鎖された環境下で約230万人が暮らしている。
エジプトは、最も激しい紛争の最中であっても、ガザ市民の自国領土への流入を長いこと制限してきた。
イスラエルとパレスチナの仲介役を頻繁に務めるエジプト政府は、パレスチナ人が国家としての権利を確保する唯一の方法であるとして、両国が領土内で紛争を解決することを常に主張している。
水曜日、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、燃料、食料、水などの重要な人命救助物資のガザへの搬入が認められなければならないと述べた。
事務総長は記者団に対し、「今すぐ、迅速かつ妨げのない人道的アクセスが必要だ」と話し、「国境のラファフを通じた人道的アクセスの促進、ならびに重要な支援のためのエル・アリシュ空港の活用という、エジプトの積極的な対応」に感謝の意を述べた。
その後、国連のステファン・デュジャリック報道官は、「民間人は保護される必要がある。私たちは、ガザ市民の大量流出を目の当たりにすることは望んでいない」と語った。
火曜日遅くに、米国のジェイク・サリバン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、ハマス戦闘員によるイスラエルへの致命的な侵入への報復として、イスラエルの大規模な攻撃に見舞われたガザ地区から、民間人を安全に避難させるアイデアについて、イスラエルおよびエジプトと協議していると語った。
治安当局の関係者は匿名を条件に、エジプトは「パレスチナ人が大義と土地を死守する権利」を守るために、民間人向けの安全な回廊を設けるという考えを拒否したと語った。
一部のアラブ諸国には、1948年のイスラエル建国時に故郷を離れた人々の子孫であるパレスチナ難民向けのキャンプが今でも残っている。パレスチナと他のアラブ諸国は、最終的な和平協定には難民が帰還する権利を盛り込む必要があると主張してきたが、イスラエルは常にこれを拒否してきた。
限定的な停戦
エジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領は、カイロで開催されたイタリアのアントニオ・タイヤーニ外相との会談で、エジプトはガザ地区における状況を食い止める取り組みを強化していると伝えたと、同国大統領府は声明で発表した。
エジプトの安全保障関係筋によると、エジプトと米国、カタール、トルコとの間の協議では、地理的に限定された停戦のもと、ガザ地区とエジプトのシナイ半島の間のラファフ検問所を通じて、人道支援を提供するという考えが話し合われた。
ガザ地区の当局者およびエジプトの情報筋によると、イスラエルの管理下ではないガザ地区からの主要な出口であるこの検問所は、イスラエルによるパレスチナ側への砲撃を受けて火曜日から閉鎖されている。
エジプトは今週、イスラエルによるガザ地区攻撃が、この飛び地からエジプト領土への住民の移動につながる可能性があると警告する声明を繰り返し発表した。
タイヤーニ外相との会談後、住民の移動の見通しについて質問されたエジプトのサーメハ・シュクリ外相は、「エジプトは人道支援、食料、医薬品の提供のためにラファフ検問所を使うことに前向きであったが、不安定な状況と紛争の拡大によってさらなる困難が生じ、より多くの難民がヨーロッパを含めた安全な地域へ流入することになる」と語った。
ロイター