
テルアビブ:4月11日(日)、イスラエルのベニー・ガンツ防衛相は米国のロイド・オースティン国防長官に対し、イスラエルはイランの核プログラムに関する「新たな合意」が地域の安保を確実なものとするよう、米国と協力していくと述べた。
オースティン国防長官は、2015年イラン核協定の復活に関して協議が再開されて以来初の米国上級高官によるイスラエル訪問を実施し、このコメントはその折に出されたもの。イスラエルは当初のイラン核合意に強硬に反対していた。
ガンツ防衛相は、「我が国は、イランとの新たな合意が世界と米国の重大な利益を確保し、ここ中東における危険な軍備競争を抑止し、イスラエル国家を保護するよう、米国同盟諸国と緊密に協働していくつもりだ」と述べた。
オースティン国防長官は同盟国イスラエルを初めて訪問したジョー・バイデン大統領政権の最高位特使となり、米国政府はイスラエルと協力して「共通の安保上の利益と優先事項を推し進めていく」と述べた。
オースティン国防長官は米国とイスラエルの「強靭な」結びつきを強調し、米国は「イスラエルの軍事力の質を維持してイスラエルの安保を強化するため、イスラエルと緊密に協議を続けていく」と語った。
オースティン国防長官のイスラエル訪問のわずか数日前、米国は、イラン政府と世界の列強国との間で締結されながら効力を失いかけていた核合意を復活させることについて、「極めて真剣な」意向をイランへ提示した、と発言している。米国は2018年にドナルド・トランプ前大統領が当初の核合意からの撤退を決定したのだった。
タカ派のベンジャミン・ネタニヤフ政権下のイスラエルは、バラク・オバマ政権時代にそれが交渉中の段階からイラン核合意を激しく批判していた。
イスラエル訪問中オースティン国防長官はネタニヤフ首相にも会見することになっているが、ネタニヤフ首相はトランプ大統領が核合意から撤退してイランに制裁を課した際に大いに賞賛した。それに対し、イランは核合意の協定内容のいくつかを反古にして対抗している。
問題含みのその核合意に関してイランが違反した最近の動きとして、4月10日(土)にイランはウラン濃縮用高性能遠心分離機を新たに稼働し始めたと発表した。
ハッサン・ロウハニ大統領は濃縮ウランを製造するためイランのナタンツ濃縮工場で164 IR-6 遠心分離機のカスケードを開始し、さらに30 IR-5機 と30 IR-6S機 もそれぞれ操業を開始し、国営テレビ局がその式典を中継放送している。
4月10日(土)、ナタンズ工場でなんらかの「事故」が起こったが、死傷者や損害は出ていないという役員のコメントをファーズ通信社が報道している。
4月7日(水)のホロコースト記念日前日に当たっての演説で、ネタニヤフ首相はイランに核兵器の開発を可能にさせるような核合意には参入しないと述べていた。
「核兵器は我々を絶滅の危機にさらすものであり、核兵器に結びつくようなイランとの合意は、どんなことがあっても承諾するわけにはいかない」とネタニヤフ首相は言っている。
バイデン大統領は核合意へ復帰する用意があると述べており、米国が(2018年に)撤退するまでは、その核合意はイランの核開発を抑止する上で極めて効果的であったと主張する。
米国はイランが核合意遵守へ立ち返るよう要求したものの、イラン側は米国が課した全制裁の解除を訴え、互いに相手が先に行動を起こすよう要求している。
AFP