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時間を使い果たした世界は気候変動に対して今すぐ行動しなければならない

近い将来に地球が人類だけでなく全ての生物にとって居住可能で安全であるかどうかも今や疑わしい。(ファイル/AFP)
近い将来に地球が人類だけでなく全ての生物にとって居住可能で安全であるかどうかも今や疑わしい。(ファイル/AFP)
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07 Sep 2023 07:09:36 GMT9
07 Sep 2023 07:09:36 GMT9

国連は今週、「一般的意見第26号(GC26)」という文書を発表した。これは、気候変動に特に焦点を当てて子供の権利や環境を扱ったものだ。国連の常として何年も作成中だったこの文書は、気候非常事態、生物多様性の崩壊、汚染の蔓延という三重の危機の程度と規模は全世界で子供の権利に緊急かつ体系的な脅威を与えていると述べている。

この見解は、国連人権委員会の一部である「児童の権利委員会」によるものだ。同委員会は、世界各国の政府には環境害や気候変動に取り組む義務があると強調したうえで、世界中の子供たちはクリーンで健康的で持続可能な環境を享受する基本的権利を有するとしている。

GC26は何か画期的なことや新しいことを提起しているわけではないが、気候変動を取り巻く喧騒の中で見失われることの多い非常に重要な原則や事実を強調している。

世界中の政界・ビジネス界の多くのリーダー、活動団体、機関が、持続可能でクリーンで健康な地球を将来の世代に残す必要性について語ってきた。残念ながらこの種の発言は(少なくとも政界・ビジネス界のリーダーのような人々の口から出るそれは)、地球温暖化に拍車をかけるhot air(たわ言)に過ぎないことが判明するのが常だ。このように発言と行動の間に大きなギャップがあること、そして特に先進国が数々の約束をことごとく守らなかったことが、本質的には今日我々が直面している気候非常事態の根本原因である。それは、近い将来に地球が人類だけでなく全ての生物にとって居住可能で安全であるかどうかも今や疑わしいということを意味する。

近い将来に地球が人類だけでなく全ての生物にとって居住可能で安全であるかどうかも今や疑わしい

ランビル・S・ナヤール

二酸化炭素排出量の削減目標や、気候変動の影響に対する貧困国の適応策・緩和策への資金援助に関する目標の度重なる未達によって、国際社会は世界を気候大惨事に向かう急な下り坂に追いやった。

このことは、次の世代が何を受け継ぐかについて非常に深刻な疑問符を投げかけている(その後の世代についてはなおさらだ)。世界が2030年に設定された気候変動目標と持続可能な開発目標の大幅な未達へと突き進む中、未来は日に日に暗くなっているように見える。

世界の人口に占める子供と若者の割合は上昇している。その主な要因は、南アジアやアフリカをはじめとする開発途上地域、特にサブサハラアフリカにおける人口増加である。様々な推計によると、14歳未満の人口は2020年の19億8000万人から2050年には26億人に増加するという。25歳未満の人口の場合、その数は35億人近くに達する。

世紀の変わり目には世界人口が約110億人でピークに達すると予測されている。地球に今よりずっと多くの人間が住み、その3分の2あるいは4分の3以上が貧困国で暮らすということだ。そのことは人類の運命を暗雲の下に置くことになる。控えめな予測でも、現在の傾向が続けば地球の気温は産業革命以前から2.5度上昇するとされているからだ。(現状でははるかに現実的と思われる)より厳しい予測は、気温が3.5度上昇するという破滅的なものである。

もはや合意、宣言、約束を増やすだけでは十分ではない

ランビル・S・ナヤール

このことは間違いなく、水、食料、居住環境から健康、雇用、人類の福祉全般に至るまで、地球上のあらゆるものに激変的な影響を及ぼす。他の生物の運命についてはあまり語らない方がいいだろう。生物多様性、森林、海洋が全て破壊され、地球全体があらゆる生物にとって居住不可能になる可能性があるのだから。

これは極端なシナリオのように思えるかもしれない。しかし、世界の指導者たち、つまり億万長者のビジネスリーダーや富裕国の有力な政治指導者が今すぐ目を覚ますか、少なくとももはや眠っていないふりをしない限り、世界は確実にその方向に向かっていることを示す十分な兆候どころか証拠まであるのだ。もはや合意、宣言、約束を増やすだけでは十分ではない。

協調的で集中的な行動を起こすべき時が、今ここに来ている。1年、いや数ヶ月も待つことはできない。西側諸国は自分たちの責任を真剣に引き受け、途上国が緩和策・適応策を講じることができるよう少なくとも年間1兆ドルの資金を提供するなど、必要とされることを始めなければならない。西側諸国はまた、過去の過剰な排出量を補償するために今、自国の排出量を削減する行動を取る必要がある。

西側諸国によるこれらの行動はどちらも痛みを伴うだろうし、自国の経済と国民に打撃を与えることになる。ただ、それは短期的な痛みであり、数年で克服できるだろう。しかし、もし彼らが(主には過去150年間の行き過ぎを償うために)そのような犠牲を払わなければ、世界の他の国々と共に、はるかに大きな痛みを伴い長く続く代償を払うことになるのだ。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は既に、世界の指導者たち(この場合は西側諸国の指導者たち)が気候保護に向けた約束について嘘をついていると揶揄している。残念ながら、これ以上嘘をつく余地も場所も時間もない。彼らが今すぐ行動を起こさなければ、世界、彼ら自身の子供たち、そして将来の世代を大量死という最も深刻なリスクに晒すことになるのだから。

  • ランビル・S・ナヤール氏はメディア・インディア・グループの編集長。
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