
ドバイ:イランは純度60%へのウラン濃縮を開始する。これはこれまでのプログラムで最も高い純度だが、兵器グレードにはまだ至らない。ナタンズ核施設への攻撃に続き、4月13日(火)にイランの核交渉官がそう発表した。
この発表は、妨害行為を受けての事態の大幅な深刻化を示している。この妨害行為はイスラエルによるものとみられている。この事態の深刻化によって、イスラエルからさらなる行動が起きる可能性がある。イスラエルのベンジャミン・ネタニヤフ首相は、イランにはどんなことがあっても核兵器を持たせないと誓っており、中東全域に一層の緊張感が生まれて いる。
核交渉官アッバース・アラーグチー氏によるこのコメントは、国営IRNA通信局によって引用された。これは、効力を失っている核合意に関して世界の列強国と協議している交渉が週末の攻撃によって損なわれる可能性がある、とイランの外相が警告したことを受けたものだ。それらの協議は、国連が核合意に再度介入する方法を見つけることが目的となっているが、核合意の目標は制裁緩和と引き換えにイランのウラン濃縮を抑止することだ。
イランはこれまで最大20%まで濃縮していた。それは兵器グレードレベルの90%へ向けての技術的短工程だ。
国際原子力機関(IAEA)は今回の動きに関するメディア報道を承知しているが、現段階ではコメントを控えると言っている。
イラン国営テレビの英語放送を担うプレスTVの別の報道によると、IAEAはこの動きについてすでに情報を得ていたという。また、濃縮工程は4月14日(水)に開始されると報道している。
さらにそのテレビ局は、「イランはナタンズ施設にさらに1,000台の遠心分離機を導入する予定だ」という核交渉官のコメントを引用したが、詳細には触れていない。
2月にイランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイ師は、必要とあらば60%まで濃縮を実行すると脅しをかけている。
ハメネイ師のウェブサイトに掲載されている彼のスピーチ原稿によると、当時ハメネイ師は「我国のニーズに応じて核能力を開発していくことに決めている」と述べている。「このため、イランの濃縮工程を20%にとどめることはしない。我国にとって必要な行動はどんなことでも実行する」
イランは以前、原子力船用に最大60%まで濃縮したウランを使用する可能性があると言っていた。現在イラン海軍にそうした船は見当たらない。
週末に起きたナタンズ施設への攻撃についての詳細情報はあまりわかっていない。この事件は当初、地上の作業場と地下の濃縮現場へ送電する送電網の停電としか言われていなかった。しかし後からイラン高官らが攻撃行動だったと言い始めたのだ。
米国は4月11日(日)の妨害行為には一切関与していないと強調している。一方、遠心分離機へ被害を及ぼしたその攻撃を実行したのはイスラエルだと広く考えられているが、イスラエルは名乗り出ていない。
しかし先日ムハンマド・ジャヴァド・ザリフ外相は、なおも米国政府に対して警告を発 している。
「米国民は、制裁も妨害行為も交渉の役には立たないということを覚えておくがよい」とザリフ外相は訪問中のロシアのセルゲイ・ラブロフ外相同席のもと、テヘランでそう発言した。「こうした行為は彼らにとって状況を困難にするだけだということ知るべきだ」
ロイター