
ナジア・フサリ
ベイルート:レバノン教育省は、3か月以上閉鎖していたすべての学校を4月21日付で再開してブレンド型学習を行うことを決定した。
タレク・マジュズーブ(Tarek Majzoub)教育相は、ブレンド型学習へ戻す流れは教員のワクチン接種率に関係すると述べた。
しかし、レバノン医師会(Lebanese Doctors’ Syndicate)のシャラフ・アブ・シャラフ会長は、2月にワクチン接種が始まって以来、「レバノンの人口の5%しかカバーしておらず、医療分野で働く1万人がまだワクチン接種を受けていない」と警告している。
マジュズーブ氏は次のように述べている。「レバノンの教育は危機に瀕している。特に、かつて貧困層、中間層、富裕層に平等に提供されていた良質な教育が失われつつある」
「厳しい経済状況はすべての人に影響を与えている。だからこそ、本学年を守るために協力しなければならない。レバノンには教育以外に何も残っておらず、省としての我々の目標は本学年を守ることだ」
教育省は、公式試験のスケジュールを発表した。12年生のバカロレア(高校卒業試験にあたる)試験は7月26日に行われ、必要なカリキュラムは削減される。大臣によると、試験は「本式のもの」ではなく、「難易度は検討される」という。
政府は昨年、公式試験を中止し、代わりに学校やオンライン学習での成績に応じた証明書を生徒に与えている。
9年生のブレベット(中学卒業試験にあたる)試験は、教育省が準備・管理する学校のテストに置き換えられる。試験は7月12日に実施される。
レバノンの学校では年初からオンライン学習に依存している。休暇後に学校で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数が急増したため、学校が閉鎖される事態になった。一部の私立学校や大学では、COVID-19の予防措置を遵守しながらも、閉鎖措置を破って出席を課していた。
小児科医でもあるアブ・シャラフ氏は、「教育機関の閉鎖により、学生の間でストレス・内向・ソーシャルメディア中毒・肥満・家庭内暴力などの心理的問題が増加している。西側諸国の報告書では、特に10歳以下の生徒の知的発達が著しく低下していることに加え、自殺率の上昇まで指摘されている」と述べた。
学校に生徒を戻すという決定は健康上の問題を抱えた生徒は除外しており、そういった生徒はリモート学習を続けることができる。しかし、特別な支援が必要な生徒、学習障害のある生徒、シリア難民のように午後の時間枠に授業を受ける公立学校の生徒は、登校再開対象から除外されていない。
登校の再開は、教育の休止中にさらに悪化したレバノンの壊滅的な財政・経済危機の中で行われている。
2020年7月に提案された、教育部門の支援に5億レバノン・ポンド(3億2,700万ドル)を充てる法律案は、現在も議会による承認を待っている。
マジュズーブ氏は次のように述べている。「この国は、医療面でも経済面でも、非常にデリケートで異例の状況に置かれている。すべての教育プロセスを停止し、学生に完全な試験を受けさせる代わりに合格証を与えることは非常に簡単だが、これは教育省の使命ではない」
マジュズーブ氏は加えて、「第一段階で高校の先生をカバーするために、合計1万7,000本のワクチンを教職員向けに確保した。世界銀行は、ユニセフ、世界保健機関、レバノン赤十字などと同様に、ワクチン接種を優先して受けられるように支援してくれている」と述べた。
「しかし、COVID-19の予防措置を奨励する委員会は、感染防止・警戒措置に沿えば、ワクチン接種を受けていないからといって授業を再開できないわけではないと述べている」
教育省は、ブレンド型学習に関する事項を追跡するために、新たに管理室を導入した。この管理室は赤十字と協力して24時間体制で稼働する。
マジュズーブ氏の決定は、一部の親や教師の怒りを買い、ソーシャルメディア上で「人々の状況や決定による影響を気に留めていない」と非難された。
教師たちは、「無防備になる」ことへの不安を表明し、「血栓を引き起こす可能性があるという報告があるため、教師に割り当てられたアストラゼネカ製ワクチンを接種すること」に懸念を示した。
また、今回の大臣の決定に対して、「子どもの通学のための交通費を出すことができない」という親や、「子どもに学校で昼食を買うお金も与えられない」という親からも不満の声が上がっている。
経済崩壊の深刻化により、現在、レバノン人の50%以上、パレスチナ・シリア難民の97%が貧困線以下の生活を送っている。
セーブ・ザ・チルドレン・レバノンの責任者、ジェニファー・ムーアヘッド氏は4月1日、「レバノンの何千人もの子どもたちの教育は危機に瀕している」と警告した。
ムーアヘッド氏は加えて、「彼らの多くは、すでに多くの学習を逃したか、家族が彼らを学校に行かせる余裕がないため、学校に戻ってこないかもしれない」と述べた。
同NGOによると、「学校に通っていない子どもたちは、児童労働や児童婚などの虐待や搾取の被害に遭うリスクが高い」という。