アラブニュース
イスタンブール:トルコ内務省の警察総局が、デモ活動中に警官を動画撮影したり、警官の声を録音したりすることを市民に禁じる回状を発行した。
進歩弁護士協会が公開したこの回状は、全国で5月1日の労働と連帯の日を祝う直前に発行されたものだ。
今年はパンデミックによるロックダウンにより、いくつかの労働組合の首脳陣たちしかこの祝日の記念行事を開催することが許可されず、一般の労働者たちの参加は除外された。
ロックダウンによる外出禁止に抗って、メーデーの集会を開こうとして、今年200人以上のデモ参加者たちが拘束された。
この回状が発行された目的は、治安部隊隊員のプライバシー保護のためだった。
オンライン上で、治安部隊職員の画像や声が拡散されるプライバシー侵害が時々発生しており、これにより職員たちが満足のいく治安活動ができなくなり、結局は市民の安全を危険に晒すことにつながる、と回状は記していた。
これは職員の義務履行を妨げ、「治安部門に対する世間の誤った判断」につながる、と回状は付け加えていた。
しかし、専門家たちはこの禁止令が違法であり、警察の説明責任を軽減し、証拠収集を妨げることで、市民の権利を脅かすことになり、とりわけ、警察がデモ参加者たちに暴力を行使する場合にはそうなるだろうと警告した。
「このような回状に法的根拠は一切ありません。憲法は個人に対してしかプライバシー保護の権利を認めていません。さらに、公的機関や公務員はこうした保護から除外されています」と、テクノロジーとIT法律専門のゴカン・アヒ弁護士がアラブニュースに語った。
「それゆえ、こうした禁止令には根拠がないと考えられます。デモ参加者たちに対する警察隊の活動は、警察官のプライバシーとは関係がありません。そうでなければ、警察署に防犯カメラを設置することは不必要となるでしょう」
現在のところ法律学で、公共の場所で実施した活動に対して、公務員はプライバシー保護条項を享受できないとなっています。各公務員は自らの義務を履行する時、法に基づいて活動すべきです。そして、誰もがこのような活動を記録することができます」と、アヒ弁護士は語った。
普段からこのような活動を記録することは、当局が違法行為を特定し、とりわけ拷問や虐待案件において、強力な証拠と事実上の監視メカニズムを司法当局に提供するために役立つ、とアヒ弁護士は付け加えた。
「機動隊のヘルメット番号は最近消されましたが、社会運動に干渉するために、当局は使用する文民警察要員の人数を増やしています。こうしたことにより、公務執行中の警察隊による不当な行為に対して、説明責任を問いづらくなっています」と、同氏は語った。
ジャーナリスト数人が5月1日、街頭デモを報道するために、警察によるメーデーのデモ参加者たちの取締りを録音しているところを妨害され、撮影機材やスマートフォンは警察に押収されたという。
トルコ進歩的労働組合連盟がTwitterで、メーデーのデモ集会を撮影していたジャーナリストたちは、警察に妨害されていたと書いていた。
最大野党の共和人民党のスポークスパーソン、ファイク・オズトラック氏が、この動きは結果的に警察の残虐行為を助長する可能性があると警告した。
オズトラック氏は、次のように語った。「今や、彼らは望むことなら何でも遠慮なくするようになり、好き放題に人々を虐めるようになるでしょう」
2013年のトルコ反政府運動、ゲジ公園の抗議行動の間、トルコ警察が催涙ガスや放水銃でデモを鎮圧し、11人が死亡し、8,000人以上が負傷した。
これとは別に、トルコの憲法裁判所が4月29日、ゲジ公園の抗議行動の間に、デモ参加者を負傷させた警察官の裁判を国家が拒否したので、権利の侵害があったという裁定を下した。
この抗議行動の最中、警察の放った催涙ガス弾が顔面に当たり、エルダル・サリカヤさんは片目の視力を失ったが、この怪我で政府を訴えることはできなかった。この事件の8年後、関与した警察官に対する訴訟が今になって開始された。