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トルコ、亡命希望506%の急増で「人材流失」危機に直面

大量の亡命は主に、経済的困窮や、体制による表現の自由や民主主義への締め付けなどに関係していると専門家らは指摘する。(ロイター)
大量の亡命は主に、経済的困窮や、体制による表現の自由や民主主義への締め付けなどに関係していると専門家らは指摘する。(ロイター)
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03 May 2021 07:05:47 GMT9
03 May 2021 07:05:47 GMT9

アラブニュース

  • 不平等、抑圧、縁故主義が誘発する頭脳流出を専門家は警告する

アンカラ:トルコでは、若者がコロナ禍で外国へ旅行できなくなったことを皮肉る動画を投稿した2人のTikTokユーザーが先日逮捕されたことを受け、国内からの頭脳流出や若い人々の国外亡命が議論の的になっている。 

この23歳の2人のユーザーたちはトルコ当局の癇に触れたようで、風刺動画で「公然と国章を侮辱した」として起訴された。

ユーモアですら当局にとって許しがたい行為となりつつあるトルコで、国外移住を選ぶ国民の数が増えていることを最近の統計が示している。

欧州統計局の最新データによれば、トルコから欧州への亡命希望者数は2019年以降から506%増加している。

この大量の亡命は主に、経済的困窮や、体制による表現の自由や民主主義への締め付けなどに関係していると専門家らは指摘する。

欧州に安全な場所を求めるトルコ人は、EU諸国への亡命、移民、一時的保護を求める申請者数で、シリア人、ベネズエラ人、アフガニスタン人、イラク人に次ぐ5位を占めている。

同じ統計で、トルコよりも後に続くのはソマリア、エリトリア、イラン、ナイジェリア、パキスタンだ。

2015年にEU諸国で亡命を申請したトルコ人は2995人ほどであったが、2020年には1万8145人に急増した。

この傾向は近年エスカレートし、特にホワイトカラーで高学歴の若者が、EU諸国で新たな人生や新たな将来を築きたいとするケースが目立つ。特に顕著なのがドイツで、多くのトルコ人が保護や亡命を申請している。

この大規模な頭脳流出は、国内の「民主主義軽視」や生活水準の低下が引き金となっており、トルコの多くの若者たちはこの国で自分たちの未来が見据えることができなくなっていると専門家たちは指摘する。

政治的な思惑で任命された国内名門のボアズィチ大学の学長に対して、学生たちが最近起こした抗議デモや、女性や少女たちを家庭内暴力から守る欧州評議会イスタンブール条約からトルコが突然離脱したことなどが、若者たちのさらなる「精神的瓦解」の引き金となった。

高等教育の質の低下、上位方向への社会的流動機会の低下、労働市場における縁故主義の蔓延なども、若者を絶望と怒りに追い込んでいる。

「国境なき記者団」が4月17日に公表した2021年世界報道自由度ランキングで、トルコは153位であった。

トルコはまた、欧州評議会加盟国の中で表現の自由の侵害に関する判決を最も多く受けている国だ。

世界銀行は最近の報告書で、2019年に10.2%であったトルコの貧困レベルが、2020年に12.2%へ上昇したとしている。

インフレ率は約12%で、若者の推定失業率は22%もの高さであるという。

トルコの公式統計によれば、2019年に約33万289人のトルコ人が欧州や米国などの他国へ移住し、25歳から29歳の年齢層が最多であった。

トルコの若者の人口は欧州最大であり、その数は約1300万人だ。

イスタンブールに拠点を置く社会民主主義財団(SODEV)による昨年の調査でも、トルコの若者が国外に住む傾向が強くなっていることが明らかにされた。

調査は12の県の15歳から25歳の600人を対象に実施されたが、回答者の約62.5%が、選べるのであれば外国で暮らしたいと答えた。

「若い人々の多くが移住したがっていますが、その資金力のある者が欧州諸国へ行くことができるのです」とSODEVのエルタン・アクソイ理事長はアラブニュースに語った。

若者たちは、公権力を侮辱した罪で刑事訴追されたり投獄されたりすることを恐れて、自分の意思を表現することが困難になっているとアクソイ氏は言う。

「彼らは自由な生き方で自己実現することができる国へ行きたいのです」と彼は述べた。
また、労働市場における不平等も、トルコから若者が離れていく要因となっていると付け加えた。

「高等教育を受けていても、労働市場では適格性で劣る者たちが自分たちより高い地位に就くことに彼らは気付いています。若い人々は、国家が有効に保護してくれる環境で基本的人権を守られながら他の国で暮らせるならば、それだけで、低賃金労働に就くリスクさえ厭わなかったりするのです」

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