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イスラエル空爆、ハマス司令官自邸・ガザのトンネルを直撃

ハマスによるロケット弾発射はガザ地区でのイスラエル軍の激しい報復攻撃を招いた。(AP/アデル・ハナ)
ハマスによるロケット弾発射はガザ地区でのイスラエル軍の激しい報復攻撃を招いた。(AP/アデル・ハナ)
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11 May 2021 07:05:33 GMT9
11 May 2021 07:05:33 GMT9
  • 子ども9人を含むパレスチナ人24人がガザで死亡
  • ガザの武装勢力はイスラエルに向けてロケット弾200発以上を発射し、イスラエル人民間人6人が負傷

ガザ市・ガザ地区:イスラエルは火曜朝、ハマス他の武装勢力がイスラエルに向けてロケット弾数十発を発射したことでガザに新たな空爆を実行し、高台に建つハマスの野戦司令官の自邸および武装勢力が境界に掘ったトンネル2本に直撃した。紛争が続くエルサレムで数週間にわたり続く緊張の高まりが激化した形だ。

ガザの保健当局によると、越境交戦が開始した月曜日没以降、子ども9人を含むパレスチナ24人がガザで死亡し、その大多数は空爆により亡くなった。イスラエル軍は死亡者の15人が武装勢力だったと発表した。ガザの武装勢力は同じ期間にイスラエルに向けてロケット弾200発以上を発射し、イスラエル人民間人6人が負傷した。

これは主にエルサレム、および西岸地区でも起きた、月曜のパレスチナ人とイスラエル治安部隊による数時間にわたる衝突により起きたもの。パレスチナ人700人以上が負傷し、うち約500人が病院で手当てを受けた。

今回の交戦は以前の数回と同様、イスラム教・ユダヤ教・キリスト教の聖地であるエルサレムを巡り対立する主張により加速したものである。敵対するイスラエルとパレスチナの国家的・宗教的主張はいずれもエルサレムに根付いたもので、長期にわたる紛争において感情的核心となっている。

これまでは、ガザを支配するハマスとイスラエルの越境交戦は多くの場合カタール・エジプト等による舞台裏の調停を得て、数日間後には終了するのが常であった。しかし、今回も同様のルートを辿るかどうかは定かではない。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は月曜、今回の戦闘は「しばらく続く」可能性があると警告した。イスラエル軍報道官のヨナサン・コンリクス中佐は火曜、イスラエル軍は十分な時間をとってガザ空爆を準備していたもので、現在は「初期段階」にあると記者団に語った。

今回の紛争は、イスラエルが政治的混乱にある中激化した形だ。

ネタニヤフは未決着の3月の議会選挙以来、暫定首相の座を維持している。強硬派および超正統派の親ネタニヤフ政党と連立政権を組もうとしたが失敗し、この仕事は政敵に委ねられている。政敵の1人はガザの作戦を監督するイスラエルの防衛相だ。先方陣営はハマスへの激しい爆撃を満場一致で支持しているが、この有害な政治的な雰囲気が軍の意思決定に影響するか、またどれほど影響するかについては未知数だ。

エルサレムの緊張状態はタイミング的に4月中旬のイスラム教の断食月ラマダンの開始とも重なった。パレスチナ人が夜の祈りの後に好んで集まる場所を一時的に閉鎖するなど、警察が強圧な手段に出たことが夜毎の衝突を加速する要因となったと評論家らは語る。もう一つの火種は、何十人ものパレスチナ人がユダヤ人入植者に立ち退きを迫られているエルサレムのシェイク・ジャラー地区であった。

週末、1967年の戦争でイスラエルに占拠・併合された東エルサレムの「アル・アクサモスク」で衝突が勃発した。同寺院はエルサレムの旧市街地に位置し、イスラム教では3番目に神聖な場所、ユダヤ教では最も神聖な場所とされる。

イスラエル警察は4日間連続で、同モスクで石や椅子を投げつけたパレスチナ人に向けて催涙ガス、スタン擲弾、ゴム弾を発射した。パレスチナ人数百人が負傷し、病院に搬送された。また警官24人も負傷した。絨毯の敷かれたモスク内に警察がスタン擲弾を発射する場面もあった。

ハマスは月曜夜、ガザからロケット発射を開始し、イスラエルに対しモスクからイスラエル治安部隊を撤退させる期限を与えると、遠く離れたエルサレムでも空襲警報が鳴り響く事態となった。以降、交戦は瞬く間に激化した。

軍の報道官コンリクスは、ガザの武装勢力がイスラエルに向けてロケット弾200発以上を発射し、うち約3分の1が飛距離不足によりガザに落下したと述べた。

軍は、イスラエルの海岸沿いの町アシュケロンの7階建てアパートにロケット弾が直撃したと発表した。現場の写真や動画には、建物の壁の大きな爆撃の痕が写っている。イスラエルの救急隊「マーゲン・ダビド・アドム」はロケット攻撃で負傷した6人の治療に当たったと発表した。2人が入院し、容体は安定している。

コンリクスは、イスラエル軍が高台に建つハマスの野戦司令官邸宅およびイスラエルとの境界に作られていたトンネル2本を含むガザの130カ所を爆撃したと発表した。イスラエルは全部で、トンネル掘削に当たっていた数人を含む民間人15人を死亡させたとコンリクスは述べた。トンネル掘削を阻止するためのコンクリート製防御壁と電子センサーによるイスラエルの新しいシステムが過去6カ月間稼働しており、その効果が現れたとコンリクスは語った。

死亡したパレスチナ人24人に子ども9人が含まれていたとガザ保健省が発表したことには触れなかった。

ガザの死亡者のほとんどが空爆で亡くなった。うち7人は同一世帯の家族であり、ガザ北部の町ベイト・ハノウンでの謎の爆発で亡くなった子ども3人が含まれる。この爆発がイスラエル軍の空爆によるものか、ロケット弾の誤爆によるものかは明らかになっていない。

保健省は、ガザ市民100人以上が空爆で負傷したと発表した。

保健当局者によると、紛争激化の現れの一つとして、イスラエルのミサイルが火曜朝ガザ市境界近くのシャティ難民キャンプのアパート上層階を直撃し、中にいた男性2人と女性1人が死亡した。

イスラエルは2014年のハマスとの紛争で何十軒ものガザの住宅を爆撃した際、武装勢力を狙ったものと主張したが多くの民間人も死亡し、当時国際的に非難の的となった。

AP

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