
ベイルート:レバノンのムハンマド・サファディ前財務大臣は土曜日、次期首相候補を辞退した。全政党から支持を集められる「調和的な」内閣を発足させることは難しいと判断したと言う。
75歳のサファディ前財務大臣は木曜日、政府の情報筋やレバノンのメディアから3つの主要政党が同氏を首相候補として支援することに同意したとの情報が流れ、首相候補として浮上した。
これまでになかった規模の抗議活動でサード・ハリリ首相が先月辞任に追い込まれている中、同氏が辞退を決めたことで、喫緊の改革を行うのに必要な政権を樹立するレバノンの努力は白紙に戻った形になる。
サファディ前財務大臣は、複数の政党と協議したり土曜日ハリリ前首相と会談を行った上で、辞退を決断したと声明で発表した。
「国の経済と財政の悪化に歯止めをかけ、通りに出て抗議活動をしている人たちの希望を叶えられるような、救いの措置を直ちに実施できる全政党に支持される調和的な政権を発足させるのは困難です」と声明にはある。
土曜日に通りに出た抗議活動参加者は、サファディ前財務大臣が候補に指名される可能性に異議を唱えた。国民の間では政界のエリートを追放しようとの声が上がっており、サファディ前財務大臣も政界のエリートの一員と見る抗議活動参加者は、同氏の指名はその声に反するものだとしている。
サファディ前財務大臣は声明で、自身を候補として支援したミシェル・アウン大統領とハリリ前首相に対して謝意を述べ、またハリリ前首相が再度首相となり新政権を樹立できればとの希望を示した。
シーア派のグループであるヒズボラとヒズボラと同盟関係にある同じくシーア派のアマルが木曜日午後ハリリ前首相と会談してサファディ前財務大臣を支持することに同意したとの情報が、レバノンのメディアや政府の情報筋から流れたが、その後同氏を正式に推薦する政党は現れなかった。
シーア派の2グループとマロン派のキリスト教徒であるアウン大統領は、ハリリ前首相を再度首相とすることを希望したが、新内閣はテクノクラートと政治家の両方で構成されるべきだと要求したのに対し、ハリリ前首相は内閣を専門大臣のみで構成すべきと主張した。
新首相を選出プロセスでは、アウン大統領が正式に議会に諮問し、議会が多数決で選んだ人物を首相に任命することになる。
レバノンの首相は、スンニ派のイスラム教徒でなければならないと、宗派間の権力分担規定で定められている。
ロイター通信