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ヨルダン軍、シリアからの武器部品を積んだドローンを撃墜

密輸を阻止するためにシリアとの国境沿いをパトロールする兵士たち。ヨルダン軍が主催したツアーの際に撮影された写真。2022年2月17日。(AFP)
密輸を阻止するためにシリアとの国境沿いをパトロールする兵士たち。ヨルダン軍が主催したツアーの際に撮影された写真。2022年2月17日。(AFP)
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17 Jun 2023 05:06:25 GMT9
17 Jun 2023 05:06:25 GMT9
  • 同軍は6月14日には、中毒性の高い薬物クリスタルメタンフェタミンを積んでシリア領内からヨルダン北部地域に向かっていたドローンを撃墜した 

ラエド・オマリ

アンマン:ヨルダン軍は16日、武器部品を積んでシリアから飛来したドローンをヨルダン東部国境の部隊が撃墜したと発表した。

軍の声明によると、国境警備隊は他の治安機関と連携し、ドローンを検知し国境のヨルダン側で撃墜した。

声明によると、このドローンは武器部品を積んでいたことが判明した。軍は、「国境におけるあらゆる脅威、そして我が国の安全を揺るがし国民を威嚇しようとするあらゆる試み」に対し引き続き対応していくとしている。

ヨルダン軍によって撃墜された1週間で2機目のドローンとなった。

同軍は6月14日には、中毒性の高い薬物クリスタルメタンフェタミンを積んでシリア領内からヨルダン北部地域に向かっていたドローンを撃墜した。

ある治安関係者(匿名希望)によると、シリアから薬物を密輸している業者がドローンを用いるようになっているのは、「大規模な密輸作戦は全て軍によって阻止されることを知っている」からだ。

「彼らはシリア領内に深く入り込んでもヘリコプターやその他の大型兵器が追いかけてくることを知っている。交戦規定が変更されたことも知っている。警告射撃なしで射殺されるようになったのだ」

この関係者は、密輸業者はドローンやその他の高度な技術をどこで入手しているのかという質問に対し、特定の組織の名前を挙げることはしなかったが、密輸業者は主に「質素な農民で、私は彼らの名前さえ知っている。そのような高度な技術の出処はおそらく国家や高度に組織された集団だろう」と述べた。

ヨルダンは常に、イランとそのシリアにおける代理組織がシリア国境を越えて湾岸諸国の利益の上がる市場に向けて薬物を密輸していると非難してきた。

ヨルダンはシリアからの違法な薬物密輸に対する取り締まりを強化している。軍は、同国北東部の約400kmにおよぶシリアとの国境沿いにおける交戦規定の変更を発表した。

軍は昨年1月、「大量」の麻薬をシリアからヨルダン領内に密輸しようとした侵入者27人を殺害したと発表した。

この作戦は、軍トップの指示で交戦規定が変更された後に実施された。

ヨルダンは5月、シリア南部ダルアー県において異例の空爆を実施したとされている。イギリスを拠点とする「シリア人権監視団」によると、イランが支援するレバノンのシーア派組織ヒズボラとつながりのある放棄された麻薬関連施設が攻撃された。

この空爆の数日後、ヒズボラ指導者のハッサン・ナスラッラー師は、同組織がシリアにおいて違法な薬物に関連した活動に関与していることを否定したが、武器を密輸していることは認めた。

シンクタンク「ワシントン近東政策研究所」の報告によると、ヒズボラは薬物密輸活動を拡大しており、今や他の資金源よりも多くの資金をそこから得ているという。

同シンクタンクによると、ヒズボラによる世界的な麻薬取引は1970年代にレバノンのベッカー高原で始まり、イスラエル・レバノン国境を越える確立された密輸ルートが使用された。

シリアは世界有数の麻薬国家、そして数十億ドル規模の麻薬取引の中心地になっていると言われている。

シリアはヨルダンおよびイラクとの国境を越えた薬物密輸をやめさせること、そして麻薬を製造・輸送している者を特定することに同意した。

この誓約は、5月1日にアンマンで開催された、サウジアラビア、エジプト、イラク、ヨルダンの外相に加えシリアのファイサル・ミクダード外相が出席した画期的な会合においてなされたものだ。

この会合の最終宣言は、シリアは「ヨルダンおよびイラクとの国境における密輸を終わらせるために必要な措置を講じる」こと、そして麻薬を製造している者や両国に密輸している者を特定することに同意したとしている。

シリアの報道機関は、南部ダルアー県において前述の空爆の後にシリア軍が薬物取引業者に対する強制捜査を実施したが、「カプタゴン王メルヒ・アル・ラムタン氏の殺害を受けて取引業者が全員隠れていたため」逮捕者は出なかったと報じた。

シリアの有名な麻薬王アル・ラムタン氏は、スワイダ県シュアブ村の自宅にいたところをヨルダンに空爆されて死亡した。

ヨルダンとシリアの複数のウェブサイトが公開した記事によると、ヨルダン軍はシリアの麻薬界の中心人物らにSMSメッセージを送り、投降しなければアル・ラムタン氏と同じ運命を辿ることになると警告しているという。

ヨルダン軍によると、2021年にはシリアからの密輸の試み361件が阻止され、約1550万錠の麻薬が押収された。

2020年には、シリアからの密輸の試み130件以上が阻止され、アンフェタミン約1億3200万錠とハシシ1万5000枚が押収された。

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