
ガザ:イスラエルとハマスの戦闘中に空爆を受けた、ガザのがれきが散らばった地域を視察した後、国連のこの地域担当援助責任者は22日、援助チームが損害を評価する中、双方に対して停戦を順守するよう求めた。
停戦は21日朝に始まり、11日間に及ぶイスラエルの空爆と、ガザ地区のパレスチナ人民兵による、イスラエルへのロケット弾による集中攻撃は終わった。
「昨夜は静かだった。言うまでもなく、この状態が続き、全員が警戒態勢を解くだけでよく、挑発的な行動をしないことを期待している」と、国連のリン・ヘイスティングス・パレスチナ自治区担当人道調整官はガザ市で述べた。
ヘイスティングス氏は立ち止まり、大きな被害を受けたウェダ通りで生き延びた人たちと話をした。パレスチナ保健当局によると、そこでは、イスラエルによる空爆で、1家族の22人を含む42人が死亡した。
「私のアイデアや夢は全て終わってしまった。私の人生に希望はもうない」。妻と、5人の子供のうち4人を失ったリヤド・エシュクンタナ氏は、ヘイスティングス氏にそう話した。「がれきの下で子供たちが叫んでいるのが聞こえた。彼らの声は次々と止んでいった 」
居住用ビルのがれきのそばに立ち、ヘイスティングス氏は、基幹施設の損傷以上のものを見たと述べた。「私はここで家族たちと話をしたが、彼らは口をそろえて希望がないと言い、自分たちの生活はコントロール不能と思っている。状況は、ある女性が言ったように、絶望的だ」。同氏はロイター通信にそう話した。
ジョー・バイデン米大統領は、「ハマスに絶対に武器の補充をさせない方法で、米国は国連機関と協力し、ガザへの人道的支援を促進させる」と述べた。
ヘイスティングス氏は、適切な仕組みは既に導入されており、2014年の戦争以降、実施されていると述べた。
「我々には、援助が意図しない者の手に渡らないように監視する仕組みがある」とヘイスティングス氏は述べた。「我々は、そのような仕組みをここで継続していく」。同氏は新型コロナウイルスの感染拡大についても懸念を示した。
イスラエルとの停戦後、ハマスは「勝利」を宣言をしているが、このパレスチナの組織にとっての成功は、戦闘よりも、ライバルであるファタハを排除することだ、とアナリストらは言う。
ハマスが勝利を宣言する主な要因は、「パレスチナ人の権利、特にエルサレムに関する権利を擁護していると見られていること、そしてイスラエルを抑え込んでいることにある」と、欧州外交議会の政策フェローであるヒュー・ロバット氏は話した。
ガザで政治学を教えるジャマール・アル・ファディ教授は、ハマスが勝利したと考えているのは、「イスラエルの奥の方まで攻撃することができて……イスラエルがそれを防げなかったからだ」と話した。ファディ氏はまた、ガザ地区が14年間封鎖されていたにもかかわらず、ハマスは兵器の保有量を相当量増加させる能力があることを証明したと話した。
選挙は5月22日に予定されていたが、アッバス議長が急きょ延期したため、ハマスとの新たな不和が生じている。
ハマスは選挙を、「最終的にパレスチナ自治政府を(貧困に苦しむガザに)戻すことで、統治の重責から自らを解放する」方法だと考えているとロバット氏は述べた。
「ハマスが支持、あるいは参加していたであろう挙国一致内閣の……見通しが付けば、より大きな進展が期待できたかもしれない」と同氏は付け加えた。「しかし、政治的関与の道が閉ざされたので、彼らは計算をやり直さなければならなかった」
中東の専門家、フセイン・イビッシュ氏は、「ハマスは、主に周期的に暴力を使って戦うことで、ファタハより競争上優位に立っている」と述べた。
「彼らはパレスチナの擁護者だと主張している……無気力なパレスチナ政府とは対照的に」
ファディ氏はこう話した。「アッバス氏は力がなくなった……彼の政治的パフォーマンスはもはや国民に受け入れられていない」
ロイター/AFP