
ナジア・ホウサリ
ベイルート―レバノンの公共部門の従業員は26日、一般労働組合と公共部門従業員連合による要請を受け、賃金引き上げと購買力増強の要求を掲げて、行政機関や公立学校でストライキを実施した。こうした従業員の賃金と購買力は、インフレや物価高騰、レバノン・ポンドのドルに対する価格暴落により大打撃を受けている。
国家従業員の人数の公式データはないが、入手可能な最も正確なデータによると、公共部門の従業員は32万人いる。その内訳は、陸軍と内務治安部隊の12万人、公立学校の4万人、各省庁と行政機関の3万人、公共機関と地方自治体の13万人となっており、ほかにも12万人の退役軍人と退職教員がいる。
一般労組のベチャラ・アール・アスマル委員長は、ベイルートにある同労組本部で行われた座り込みストに参加し、「従業員は苦境にあえいでいる。軍隊は不満を言っている。そして、国は崩壊しつつある。我々の要求は、行政機構が崩壊する前に政権を樹立することを促す命令に変わった」と述べた。
アール・アスマル委員長は、約25万人の大学卒業者が無職であり、仕事を持つ人々は任意の解雇に直面している、と付言した。
「政権樹立により、一定の政治的安定がもたらされ、経済的安定への道も開かれる。さらに、断ち切られたアラブ諸国や西側コミュニティ、援助機関との関係も修復される」。同医院長はこのように述べた。
また、同委員長は、「レバノンには、少なくとも5年間の救済期間が必要だ。レバノンはどうやって資金を調達するのか?再び国民の銀行預金から調達するのか?いま食料品、医薬品、医療用品で起きているような、代替計画を確保しないままのクォータシェア、非難合戦、でたらめな補助金の撤廃はもうたくさんだ」と話した。
さらに、アール・アスマル委員長は、次のように述べた。「能力のある政府を持てば、腐敗への対策、法廷に関する監査活動、そして海外に密輸された資金や銀行預金のレバノン国民への返還の保証に役立つ可能性がある」
同委員長は、「安全保障のエコシステム、特に国家社会安全保障基金の崩壊」について警告を発した。
暫定政府の労働大臣のラミア・ヤミネ氏は、ストへの支援を表明し、ツイッターで次のように述べた。「スト参加者は、その生活と高潔さを賭けて、政治の行き詰まりへの代償を払っているのだ」
2017年に公共部門給与法が承認される以前、年間計8兆3000億レバノン・ポンド(540万ドル)が公共部門の従業員に割り当てられていた。2018年以降、この数字は、国庫収入約14兆レバノン・ポンドの86%にあたる12兆レバノン・ポンドに急増した。
レバノン・ポンドで給与が支払われるレバノン国民の購買力は85%減少し、財政破綻により、2017年に採用されたすべての修正給与手続きが影響を受けた。
この間、レバノンの人々は、雑貨店やスーパーに列をなして並び、残った補助付き物品を買い求めた。バンケデュリバンの複雑な石油製品輸入手続きとドル不足により燃料不足が起きる中、彼らはガソリンスタンドでも列を作った。貧困水準を下回る生活にあえぐ世帯の数は、70万~80万に膨れ上がった。
兵士たちも、陸軍を支援する店舗として割り当てられ、補助を受けて運営するスーパーの店内で列を作って並び、補助物品が箱から出されるのを待ち、それらを競い合うようにして買い求めた。
アウン氏を議長とする最高国防会議が26日、会合を開いた。暫定政府内務大臣のモハメド・ファフミ氏は軍上層部および政府高官に対し、レバノンの農産品の輸入を禁じたサウジアラビアの最近の決定を受け、レバノン国内を経由して行われているとりわけ違法麻薬の密輸への対策のために講じてきた措置について、詳しく説明した。
同会議は声明で、「税関や軍事・治安機関による迅速な措置により、いくつかの密輸行為が失敗に終わった」と述べた。
また、同会議は次のように付言した。「国境通過時にスキャナー検査を行う入札方式が、関連の規則書の作成後、1ヵ月以内には形になるだろう」