
ガザ:パレスチナ難民問題を扱う国連機関のガザ地区責任者が、パレスチナ人の怒りを買う発言をしたことで、エルサレムの上司から審議のための呼び出しを受けた。
発言は、先月起きた紛争でイスラエルの肩を持つ内容であったと非難されている。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のガザ地区責任者であるマティアス・シュマーレ氏が、5月22日にイスラエルのテレビ番組『N12』のインタビューで、イスラエルの空爆は「正確」であったと主張するイスラエルに対して「異論はない」と述べたことで、ガザ地区に抗議の声が上がった。
イスラエルとハマスの11日間に及ぶ紛争は5月10日に勃発した。イスラエルによるガザ地区への何百回もの空爆により、250人以上のパレスチナ人が死亡した。ガザの民兵組織が発射した4000発以上のロケット弾はその多くが迎撃され、イスラエルの死者は13人であった。
ガザ地区を支配するイスラム教過激派ハマスは、シュマーレ氏を「イスラエル軍報道官」と揶揄した。
ガザ地区を拠点とするシュマーレ氏は、自身の発言について謝罪した。発言は空爆の熾烈さについてコメントしたもので、「……『正確さ』はあったが、しかし民間人の間に受け入れ難く耐え難い死者が発生した」と述べていた。
UNRWAエルサレム地区報道担当のサミ・ムシャシャ氏は水曜日、ガザ地区責任者シュマーレ氏及び副責任者は、「ガザ地区で最近起きた件について審議と議論をするために、エルサレム支部から呼び出しを受けた」と発表した。
別の関係者がロイターに語ったところによると、レニ・ステンセス事務次長補が、臨時でガザ地区の担当職員らを率いることになるという。
UNRWAは、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区、ヨルダン、レバノン、シリアで難民登録をした約570万人のパレスチナ人に対し、教育、保健、救済物資などのサービスを提供している。
ムシャシャ報道担当は、「UNRWAは、今後数週間でガザ地区における緊急対策のメカニズムを見直し、緊急時のUNRWAの対応や活動を向上させるための教訓や結論を導き出していく」と声明の中で述べた。
5月25日の謝罪声明でシュマーレ氏は、「民間人の殺害に正当化の余地は一切ない」と述べた。
「軍事的な正確さや精巧さが戦争を正当化することは断じてない」
イスラエルの外務省は、イスラエル軍は「ハマスによる無差別ロケット弾から国民を守るために国際法に則った」行動をしていると述べている。