
アラブニュース
ロンドン:「海の鼻水」と呼ばれる粘液状の物質がマルマラ海の広域を覆い、イスタンブール近くの海岸にも漂着している。海洋生物の脅威になっているほか、致死的な病気をもたらす可能性が警戒されている。
問題は、都市の南東に位置するイズミット湾で特に深刻化している。ヘドロの中でモーターや網を操作できないため、漁師が働けなくなっている。
茶色で粘性のあるこの物質は、小さな植物プランクトンが放出する脂肪、炭水化物、タンパク質の混合物であり、化学汚染物質や下水が注ぎ込むことで急速に増殖する。
生命に不可欠な太陽光を遮って海洋生物を殺し、沈むにつれて海底を覆い、生物の分解を加速させる。
原因である植物プランクトンは海水中に窒素やリンなどの養分が広がると制御できないほど増えていく。
ダイバーの報告によると、魚が大量に死に、海洋生物は小さな穴など、水中のシェルターへの避難を迫られているという。
また専門家は、この物質がコレラなどの危険なバクテリアが育つ肥沃な培地になると警告している。
イスタンブールには歴史上、致死率が高いコレラの流行に何度も見舞われてきた。最近では、1970年に50人が死亡し、数千人が感染した。
コレラは、衛生状態が悪く、安全な水のインフラが整っていない国々で発生する場合が多い。感染すると、一般的には嘔吐、下痢、筋肉疲労の症状が出る。
トルコ環境都市整備省のムラット・クルム大臣は、「海の鼻水」問題に取り組むため、300人の強力なチームを派遣したと述べた。
だが、一掃作戦の後も、プランクトンは再び急速に増殖した。
イスタンブール大学の海洋生物学専門家であるムハレム・バルチ氏は、「短期間で解決するのは非常に難しい。おそらく不可能だろう」と語った。
「まずは、排水とそれに伴う汚染を減らすこと。地中海と黒海の生態系に生きる海洋生物の環境改善と保護を進めるには国際協力が必要だ。トルコ海峡を介してマルマラ海とつながっているからだ」。