
アンカラ:アメリカの国連大使は3日、シリアの人々、シリア難民、その受け入れ国を支援するために、2億4000万ドル近くの人道支援金を発表した。
トーマスグリーンフィールド大使はまた、援助物資の搬入を可能にするため、国境検問所の通行権も求めた。
大使はトルコとシリアにまたがるバブ・アル・ハワの国境検問所の訪問中にこの発表を行った。ここは、戦争で荒廃したこの国に人道支援を届けるために唯一残っている通行点となっている。
大使は、人道支援物資がバブ・アル・ハワ国境を越えてシリアに確実に届けられるようにしようと、4日間の日程でトルコを訪問している。このプログラムは、シリアの最も親密な同盟国であるロシアが近年厳しく制限しているもので、同国は、援助を必要としている数百万人への支援は、全てシリア政府が管理すべきだと主張している。
国連アメリカ政府代表部の声明によると、トーマスグリーンフィールド大使は「シリアの人々と、彼らを受け入れる社会のために、アメリカが約2億4000万ドル近くの追加人道支援金の提供を発表することを誇りに思います」と述べた。
「現在、1300万人以上のシリア人が支援を今すぐに必要としています。これは、ロサンゼルス、ニューヨーク、ワシントンD.C.の人口を合わせた数です」。
大使は次のように付け加えた:「シリア北西部では、5人に4人が人道支援を必要としています。イドリブの何百万人もの民間人にとって、これは生命線なのです。この1年半の間に、安全保障理事会の一部の加盟国は、恥ずべきことに、シリアに入る他の2つの国境検問所の閉鎖に成功しました…。バブ・アル・ハワは、文字通り唯一残る検問所なのです」。
アメリカは、7月10日に人道支援を提供する現在の国連安保理の権限が切れる前に、国連によるバブ・アル・ハワ通行の再承認と、他の国境検問所の再開を求めている。15カ国で構成される安保理では、これを維持することや、越境地点の追加に強い支持が得られているものの、鍵を握るのはロシアだ。
「これは複雑な問題ではありません。我々は、国連が飢えた子どもたちに食料を、ホームレスの家族に保護をもたらせるようにしたいのです。世界規模のパンデミックの中で、国連がワクチンを届けられるようにしたいのです。我々は苦しみを止めたいのです」と、トーマスグリーンフィールド大使は語った。
大使は2日、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の最側近であるイブラヒム・カリン氏と会談した。トルコは約400万人の難民を受け入れている。
この協議は、6月14日にブリュッセルで開催されるNATO首脳会議に合わせて、アメリカのジョー・バイデン大統領がエルドアン大統領と初会談するのを前に行われた。
かつてはお互いを戦略的パートナーとして見なしていたトルコ政府とアメリカ政府の関係は、シリア問題、トルコのロシアとの協力関係、情勢を不安定化させるものだとアメリカ政府高官らが指摘している東地中海へのトルコ海軍の介入など、様々な違いをめぐって、近年着実に悪化している。
アメリカ合衆国国際開発庁(USAID)は、トーマスグリーンフィールド大使が発表したアメリカの新たな資金援助は、「シリアとその地域の避難家族への食料を含めた」援助を提供する援助機関を支援し、シリアのパン屋を支援することになると発表した。
また、子どもたちに心理社会的支援やその他のサービスを提供し、水道・衛生システムを復旧させ、シリア人が基本的なニーズを満たすための現金やバウチャーも提供する。
USAIDは、アメリカはシリア危機に対する世界最大の援助国であり、紛争開始以降130億ドル以上を提供してきたと述べた。
AP通信