
エルサレム:国連パレスチナ難民救済機関は、ガザ地区事務所長が、先月のガザ紛争中のイスラエルによる精密爆撃は「非常に洗練されていた」と、称賛するかのように受け取られる発言をしたことを巡り、脅迫されたことを受け、同氏を呼び戻したと発表した。
パレスチナ自治区で保健、教育、その他のサービスを提供しているUNRWAは3日遅く、31日にガザの本部の外で行われた「非常に大規模な抗議活動」を含む様々な脅迫について「深刻に懸念している」と発表した。
同機関は、ガザ事務所のマティアス・シュメール所長と副所長が、「協議」のため、東エルサレムにあるUNRWAの本部に呼び戻されたと発表した。同機関は、「パレスチナの諸派閥」がシュメール所長と副所長に対してガザでペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)を宣言したとするメディアの報道を引用しながらも、その発効に関する正式な通知は受け取っていないと述べた。
シュメール所長は先月、イスラエルのチャンネル12TVとのインタビューの中で、11日間にわたる自治区の過激派支配政党ハマスとの戦闘で行われた空爆が「非常に正確だった」とイスラエル政府高官が主張していることについて尋ねられた。
「私は軍事の専門家ではありませんが、その点に異論はありません」とシュメール氏は応じ、イスラエルによる標的の攻撃の仕方には「非常に洗練された」ものがあると付け加えた。しかし、2014年のガザ紛争よりも「その影響においては、はるかに卑劣なものだった」と、同僚から説明を受けたとも語った。
シュメール氏はその後、この発言について遺憾の意を表明し、いかなる民間人の死も受け入れられないと述べた。
「多くの人々が直接攻撃や、攻撃の巻き添えになって死亡したり、重傷を負ったりしました」と、同氏はツイートした。「ガザのように人口が密集している場所では、いかなる攻撃も人や建物に大きなダメージを与えることになります」。
同氏の元々の発言は、イスラエルのメディアやネット上で広く伝えられ、イスラエルの支持者らはイスラエルの行為を是認するものだとしてこれに飛び付き、パレスチナ人からは怒りの声が上がった。
イスラエルは、11日間にわたる紛争中にガザに対して数百発の空爆を行い、ハマスやその他の過激派組織はイスラエルに向けて4000発以上のロケット弾を発射した。ガザ保健省によると、ガザでは子ども67人、女性39人を含む、少なくとも254人が死亡した。ハマスは80人の過激派の死亡を認めた。イスラエルでは、子ども2人を含む12人の民間人と兵士1人が死亡した。
UNRWAは、ヨルダン川西岸地区、ガザ地区、ヨルダン、レバノン、シリアの約570万人の難民に必要不可欠なサービスを提供している。これらの難民には、1948年のイスラエル建国をめぐる戦争で、現在のイスラエルから逃れてきた、あるいは追い出されたパレスチナ人とその子孫が含まれる。
2007年にハマスが対立するパレスチナ系勢力から政権を奪取して以降、イスラエルとエジプトが壊滅的打撃を与える封鎖を行っているガザ地区で、同機関は食糧援助やその他の必要不可欠なサービスを提供している。ガザの人口200万人のほとんどが難民として登録されている。戦争が最も激しかった時には、約7万人のガザ市民がUNRWAの学校に避難した。
AP通信