
「核合意と矛盾しなければ、イランの態度が変わらない限り、制裁は残る」と、ブリンケン氏は語る
ワシントン/ウィーン:アントニー・ブリンケン国務長官は8日、アメリカが核合意に復帰したとしても、イランに対するアメリカの「数百の」制裁は残ると語った。
ジョー・バイデン政権は、ドナルド・トランプ前大統領による2015年の核合意(正式には包括的共同行動計画(JCPOA))からの離脱を覆すことに関して、イランとの間接協議を行ってきた。
「JCPOAを再び遵守することになる場合でも、トランプ政権が科した制裁を含め、何百もの制裁は引き続き残ることになると見込んでいる」と、ブリンケン氏が上院の公聴会で語った。
「JCPOAと矛盾しなければ、イランの態度が変わらない限り、制裁は残る」と、同氏は述べた。
ヨーロッパの外交官らが仲介したウィーンでの議論は、どの制裁を解除するかで膠着状態に陥っている。
バイデン政権には、イランが前政権の制裁に抗議するために取った核合意離脱措置を撤回するならば、イランの石油輸出を全て停止することを含め、トランプ氏が科した大々的な措置を終了させる用意がある。
しかし、イランは全制裁の解除を主張しており、一方のバイデン政権は、人権やイランが過激派運動を支援していることなど、他の懸念事項を巡って科された制裁については、残るものもあると主張している。
ブリンケン氏は、核合意復帰を支持すると繰り返し述べた。同合意については、トランプ氏が米国を離脱させるまで、イランはこれを遵守していたと、国連の査察官が述べている。
イランが核合意以前からの全ての活動を申告していないという懸念について問われたブリンケン氏は、次のように語った:「簡潔に言って、もし我々がイランに再びJCPOAを遵守させることができ、我々もその一員になれれば、我々はイランに対して、この質問への回答をより要求しやすくなる」。
「しかし、いずれにしても、イランにはこれらの質問に答える必要がある。過去の活動について、全てを打ち明けなければならない」と、ブリンケン氏は述べた。
一方、アメリカは8日、イランに対し、6月24日まで延長された合意で定める通り、国連の原子力機関に同国の活動の監視を継続させなければ、イランとの核合意復活に関する幅広い協議の先行きは危うくなると伝えた。
国際原子力機関とイランは、2015年の核合意で導入された追加監視措置を終了し、同機関との協力を縮小するというイラン政府の決定の悪影響を緩和するため、2月に3か月間の合意に達した。
5月24日に1ヶ月間延長されたこの新たな付帯合意では、IAEAが事後的にのみデータにアクセスできるブラックボックス型の合意によって、データ収集が継続される。この合意が再び延長されるかどうかは不透明で、IAEAはこの交渉はより難しくなっていると述べている。
「我々はイランに対し、IAEAが知見の一貫性を早期に再構築するのに必要な情報を収集したり、アクセスしたりするのを妨げる、いかなる行動も避けるよう強く促す」と、35ヶ国から成るIAEA理事会に対してアメリカが発表した声明は述べた。
「このような行動は、少なくとも、アメリカが同様の措置を再開する見返りにイランがJCPOAの誓約を再び遵守することで折り合いをつけるべく現在進行している取り組みを非常に複雑化させる」と声明は付け加え、2015年の合意について、その正式名称「包括的共同行動計画」を用いながら言及した。
核合意の復活に関するアメリカとイランの間接協議は、今週ウィーンで再開される予定だ。これとは別にIAEAとイランが結んだ合意の対象となるデータには、リアルタイムのウラン濃縮度の他、ウランを濃縮する機械である遠心分離機が保管されたままになっているかや、遠心分離機の部品の生産状況などが含まれる。
(AFP通信 およびロイター通信)