
ワシントン:米国のウェンディ・シャーマン国務副長官は9日、イランと世界列強との、2015年核合意の再建に向けた協議が今週末に再開すると表明した。そして6月18日に実施されるイラン大統領選が交渉の不透明要因だと付け加えた。
シャーマン氏はジャーマン・マーシャル・ファンドが企画したバーチャルイベントで、「今週末に協議が再開することを知っている」と述べた。「協議には多くの進展が見られたが、私自身の経験から言うと、最後の詳細を詰める、つまり確定させるまでは妥結するかどうか分からない」と同氏は語った。
今回の協議は、イランが国際制裁の解除と引き換えに核開発の制限に合意した画期的な協定の再建を目指すものだ。それにより、数十年にわたる米イラン対立の一時的な緊張緩和への道が開かれた。
外交官4人、イラン高官2人、アナリスト2人に話を聞いたところ、イラン核合意の再建を阻む多くの障壁が依然として協議の前にしっかりと存在しており、2015年合意の遵守に戻るのはまだ先のことであることが示唆されている。
進展に弾みをつけているのは、6月18日に実施されるイラン大統領選だ。大統領選では、現実主義者で元の合意を推し進めたハッサン・ロウハニ大統領の後任が選出される。大方の予想では、強硬派の後継者が引き継ぐと見られている。
「この問題は、もちろん、数日後に行われるイラン大統領選によって複雑になる」とシャーマン氏は付け加えたが、詳しくは述べなかった。
ドナルド・トランプ米大統領(当時)は2018年に核合意を、イラン政府に甘すぎると言って破棄し、制裁を再開した。イランは対応策として、合意で定められた制限を破った。
トランプ氏の後継者であるジョー・バイデン氏は、この合意の核に関する制限を元に戻したいと言っている。そして可能であれば、イランの中東での行動やミサイル計画などの問題をカバーするために制限を広げたいと言っている。イランは、全ての制裁を解除し、条件を拡大しないことを望んでいる。
一方、米国は、イランがまだ国際原子力機関(IAEA)に、IAEAが必要としている、存在している可能性がある未申告の核物質に関する情報を提供していないことを深く憂慮していると発表した。国務省のネッド・プライス報道官が述べた。
IAEAとイランは2月に3カ月の合意に達した。イランが2015年合意で導入された特別な監視措置を終了し、IAEAとの協力関係を縮小すると決めたことによる痛手を和らげるものだ。
ロイター通信