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レバノン石油危機が「産業と農業の崩壊」を招くとの懸念が高まる

首都ベイルートの通りは巨大駐車場と化した。ガソリンスタンド付近で、給油を待つ長蛇の列が発生したからだ。(AFP/資料写真)
首都ベイルートの通りは巨大駐車場と化した。ガソリンスタンド付近で、給油を待つ長蛇の列が発生したからだ。(AFP/資料写真)
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11 Jun 2021 05:06:49 GMT9
11 Jun 2021 05:06:49 GMT9
  • ガソリンの在庫が底を尽き、各地の工場は来週閉鎖される
  • 経済を破壊しようという組織的な計画がある、とミシェル・ダヘール議員が主張

ナジア・フッサリ

ベイルート:レバノンでは、医薬品・燃料・その他生活必需品が不足しており、10日にはガソリンスタンドの外に長蛇の列ができた。

レバノンは前例のない規模の経済・金融危機に直面しており、自国通貨が崩壊し、銀行は預金引き出しや送金を渋っている。

各政治勢力の間で協議が行われてはいるが、新政権発足作業は膠着状態にあり目途が立っていない。

生活水準の悪化に対する抗議活動が続く中、10日には首都ベイルートの通りが巨大駐車場と化した。ガソリンスタンド付近で、給油を待つ長蛇の列が発生したからだ。

車中で一晩過ごしたドライバーもいる。

一方、SNS上では「現時点での闇市場のドル為替レートと原油価格から計算すると、ガソリン価格が14万レバノンポンド(93ドル)に達する可能性がある」との情報が拡散した。

闇市場のドル為替レートは10日上昇し、1ドル1万4750レバノンポンドに達した。

各石油企業の従業員と顧客が加入する組合の責任者、ワリド・ディブ氏は「石油・ガス部門は来週にも備蓄が底をつき、崩壊が近づいています」と警告した。

ディブ氏は「当局者や政治家がこの点に関心がない様子は奇妙です。今回の危機を終わらせる責任のある人々は、何の決定も下していません」と付け加えた。

ガソリンスタンドでは何週間も配給用ガソリンが不足する状態が続いていたが、10日には状況が一層深刻になった。ガソリン不足により配給が止まるとの懸念が強まり、多数のガソリンスタンドが営業停止に至ったからだ。

ガソリンスタンドのオーナーが加入する組合は、政府とレバノン中央銀行(BDL)に対し「ガソリン部門に対する明確な政策を発表し、我々や国民に対し率直に目指す方向性を示す」よう要請した。

レバノンには災難が山積しているが、今回の危機は危険をはらんでいる。レバノンの公共サービス部門を含む全産業部門に影響が出ており、直近では2日前に石油不足のため発電所が電力を供給できなくなった。

ジブラーン・バシール率いる会派から昨年離脱したミシェル・ダヘール議員は「石油危機により産業や農業が崩壊する恐れがある」との懸念を表明した。

ダヘール議員には、燃料の石油が不足しているため来週には工場を閉鎖するとの情報が多数の工場経営者から寄せられているという。それに対しシリアへの石油の密輸出はいまだに止まっていない。

議員は「燃料がないため、農家は畑に水が引けなくなるでしょう」と指摘した。

ダヘール議員はアラブニュースにこう語った。「レバノン経済を破壊しようという組織的な計画が進行しています。特に海外から人がやってきて経済をドルで潤してくれる夏を狙ってはいるけれど、レバノン観光をキャンセルした人が多いのが事実です」

議員は「レバノンの政治家たちは現実から目をそらし、国家は対策を講じていない一方で、国民は急速に危機感を高めています」と指摘した。

ダヘール議員は「殺人的なインフレが起きており、誰もが問題から目を背けています」と語った。

さらに一部の当事者が「経済の崩壊を望んでいる」ことに対し懸念を示した。

ダヘール議員によると、レバノンの一部の政治勢力が「ターイフ合意の復活を目論んでおり、経済が完全に崩壊すると憲法制定会議が開きやすくなる」のは間違いないという。

加えてこう述べた。「各党派が自らの姿勢を示すことで、政治的復権を目論んでいます。

「各党派ごとに政治的な思惑があり、国内で問題を解決するには混乱を起こす必要が出てくる可能性もあります。混乱が生じると外国の協力による解決策では権力が得られない人々に権力が回ってくるからです。彼らは交渉を優位に進めるため、現在の危機の解決を後回しにしているのです」

10日に石油輸入各社は「1月あたりの発電船の数を4隻から1隻に削減したBDLの配給割り当て見直しを進めるなか」ガソリンに対する補助金を取り消すよう求めた。

ガソリンスタンドのオーナーが加入する組合の広報担当者、ジョージ・ブラックス氏は、BDLが「石油輸入企業に対し事前承認を出していないのです。事前承認があればすでにレバノン領海内にいる発電船や今後数日でやって来る発電船に積まれた石油を荷下ろしできるのですが」

「政治的解決策を模索して話し合いが行われている」現状について言及した。

ブラックス氏は「現時点では国民やガソリンスタンドのオーナーに屈辱感を与えることが、レバノンの政治闘争枠組みの中にある」ことに対し懸念を表した。

発電船が1隻、海上で待機している。もう1隻が2 日後に到着する予定だが、BDLは必要な資金を用意していない。

ブラックス氏は、政府とBDLが「預金者の財産を数百億ドルも使っておきながら、数百万ドルの支払いを渋っている。自分たちが使い込んだドルを夏に増やそうと目論んで、資金を蓄えている」と批判した。

加えて「急に輸入を停止し、レバノンに石油がない状態を放置するのは犯罪であり破壊行為です」と述べた。

予告なしにハイオクガソリンへの補助金を解除したのは、かつて食料品に対し実施した補助金合理化計画の一環だ。現在は食品は8品目のみが補助金の対象となっている。

レバノン財務省の情報筋はアラブニュースにこう語った。「補助金解除を直接発表しなかったのは、大衆の抗議活動が起き予期せぬ結果に至るのを恐れているからです。政治家なら誰しも、そういった結果になるのは避けたいのです」

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