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イランで選挙が行われるが、イラン核合意はどちらに転ぶか分からない

核合意は、比較的穏健なハッサン・ロウハニ大統領が8年間の任期中に成し遂げた主要な業績だ。(イラン大統領府 AP経由)
核合意は、比較的穏健なハッサン・ロウハニ大統領が8年間の任期中に成し遂げた主要な業績だ。(イラン大統領府 AP経由)
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18 Jun 2021 12:06:32 GMT9
18 Jun 2021 12:06:32 GMT9
  • 核合意が締結される前、イランのウラン濃縮度は最大20%で、備蓄量は約1万キログラムだった
  • 米国のドナルド・トランプ前大統領の就任後、核合意は破綻。中東全域での一連の攻撃と対立に至った

ドバイ:イランと世界の列強が締結した破綻寸前の核合意は、どちらに転ぶか分からない。イランは、18日に行われる、新大統領を決める選挙の準備をしている。外交官たちは米国とイランの両方を核合意に再加入させる努力を続けている。

核合意は、比較的穏健なハッサン・ロウハニ大統領が8年間の任期中に成し遂げた主要な業績だ。イランのウラン備蓄量を厳しく監視・制限する代わりに、厳しい制裁が一時停止された。

ドナルド・トランプ大統領の決定によって2018年に米国が一方的に核合意から離脱したことで、核合意は破綻し、中東全域での一連の攻撃と対立に至った。核合意の破綻は、イランが兵器級寸前の史上最高濃度でウランを濃縮したきっかけでもあった。

アナリストによる分析や世論調査では、既に米国の制裁対象となっている強硬派の候補者が18日の選挙で勝つと予想されている。核合意への復帰は可能かもしれないが、イランと西側諸国の間の緊張がさらに緩和されることはないだろう。

ユーラシア・グループでイランを分析する上級アナリスト、ヘンリー・ローマ氏は、「ゼロから合意案を作るほど複雑ではないことは確かだ。それは双方が2015年合意のときに行ったことだが」と話した。「だが、詰めなければならない詳細がまだたくさんある」

同氏はこう付け加えた。「この問題には国内政治が大きく関わっており、最高指導者を含む強硬派は、選挙プロセスに大きな混乱をもたらすことなく、自分たちが支持する候補者を確実に勝たせることに関心があるのだと思う」

2015年合意が締結されたとき、イランの人々は祝って街頭に押し寄せた。それは、イランの核開発計画をめぐってイランと西側諸国の間で数年間緊張が続いた後の大きな転機となった。イランは長い間、核開発計画は平和目的だと主張してきた。しかし、米情報機関や国際原子力機関は、イランは2003年まで組織的な核兵器開発を推進していたと主張している。

西側諸国から感じる脅威を和らげるため、イランは核合意の下、ウランガスの濃縮度をちょうど3.67%に制限することに合意した。原子力発電所では使用可能だが、兵器級の90%をはるかに下回る濃度だ。イランが持つウランの備蓄も300キログラム(661ポンド)に厳しく制限された。イラン政府は、使用する第一世代の遠心分離機(ウランガスを、濃縮するために回す装置)の数を5060台だけにすることも約束した。

核合意が締結される前、イランのウラン濃縮度は最大20%で、備蓄量は約1万キログラム(2万2046ポンド)だった。

その濃縮度でその備蓄量は、イランのいわゆる「ブレークアウト」タイム(イランが核兵器1個分の兵器級ウランを製造できるようになるまでに必要な期間)を狭めていた。

核合意が締結される前、専門家は、イランがその段階に達するには2~3カ月かかると見積もっていた。当局者らは、核合意の下では、その期間は約1年と見ている。核合意では、IAEAによって、イランへのこれまでで最も厳しい監視もいくつか行われた。イランの核計画を監視し、遵守を確認するのが目的だった。

しかし、核合意ではやらなかったことがある。それは、イランの弾道ミサイル計画や、西側諸国やその同盟国がテロ組織に指定している中東の過激派組織(レバノンのヒズボラ、パレスチナのハマスなど)の支援への対処だ。当時、オバマ政権は、核合意をきっかけに新たな交渉が始まる可能性があることを示唆していた。しかしトランプ氏は、ある程度そのことを受けて核合意を「破棄する」と公約し、大統領に就任最終的に2018年に破棄した。

それ以来、イランは核合意の下で合意した制限を全て破っている。現在、イランは少量のウランを最大63%の純度で濃縮しており、はるかに高度な遠心分離機を稼働させている。IAEAは2月下旬以降、イランの核施設に設置した監視カメラにアクセスできておらず、オンライン濃縮モニターやeシールのデータにもアクセスできないため、IAEAの監視能力は低下している。イランはまた、イスラエルによるものと疑われる2回の攻撃を受けた後、強化防御設備を施した地下施設で濃縮を再開し、遠心分離機を収容するホールを地下に増設している。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、イランの核計画がこのまま阻止されなければ、イランの「ブレークアウト」タイムが「ほんの数週間」に短縮される可能性があると警告している。この問題は核不拡散の専門家を悩ませている。

チャタムハウスの中東・北アフリカプログラムの副代表で、イランを研究しているサナム・ヴァキル氏は、「国際社会にとって、特に米国にとって、核開発計画を元に戻すことは非常に重要だと思う」と話した。「それが重要なのは、交渉者らは核合意を再建することよりも、最終的に核合意を延長・強化することを望んでいるからだ。今の核合意が安定するまでは、そこにすら到達できない」

ジョー・バイデン大統領の就任以来、米国の外交官たちは、ウィーンで行われる協議で米国とイランの両方を核合意に復帰させる方法を考え出すために、他の世界の列強と協力してきた。ウィーンでの協議では、米国とイランの直接交渉は行われていないが、ありうる捕虜交換を含む別の協議が行われている。

18日に行われるイラン大統領選では、強硬派のイブラヒム・ライシ司法長官が最有力候補と見られている。同氏は既に、イランを核合意に復帰させ、その経済的利益を享受したいと話している。しかし、同氏が米国に対して過去にした好戦的な発言を考えると、西側諸国との協力関係を深めることは現時点ではなさそうだ。

一方、ウィーンで合意に至る時期に関しては、まだはっきりしていない。イランは核合意の全ての制限を破っているが、西側諸国への圧力を高めるためにイランができることはまだある。より多くの遠心分離機の使用、濃縮のさらなる増大、副産物としてプルトニウムを製造する施設の再稼働、核不拡散条約の破棄といった措置が考えられる。

「これは極めて有効な手段だ」とローマ氏は言った。「イランの政治指導部は、送りたいシグナルの種類をかなり具体的に決めることができる。それは、使う機械の種類、製造速度、製造量などだ。目的は、イランがかけたいと思っている圧力の程度に関するメッセージを西側諸国に送ることだ」

AP

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