
クリストファー・ハミル=スチュアート
ロンドン:国連難民高等弁務官事務所(UNCHR)が、イランを後ろ盾とするフーシ派に対し、イエメンのマアリブ襲撃をやめるよう要求し、サウジアラビアに対する国境越えのミサイルとドローンによる攻撃を非難した。
「イエメンのマアリブ行政区における民間人への攻撃や、民間の建物を標的としていることへの継続的インパクトについて、真剣に懸念している」とUNCHRの報道官リズ・スロッセル氏が6月18日(金)の人権問題に関するブリーフィングでアラブニュースに語った。
「フーシ派武装軍(正式名称アンサール・アッラー)は、数カ月間にわたってイエメン政府から(マアリブを)奪取しようと試みている」
スロッセル氏は、民間のインフラストラクチャやモスクを含む区画へのミサイルとドローンによる最近の攻撃について取り上げた。その攻撃で8人が死亡、30人以上が負傷している。その攻撃中で救急車も標的となり、救急隊員の中からも負傷者が出た。
スロッセル氏はマアリブにおけるフーシ派の別の暴虐についても指摘した。それは6月5日のガソリンスタンドへのミサイル攻撃で、21人が死亡し、そのうち2人は13歳未満の子供だった。
「戦争犯罪にあたるものを始めとする無差別殺人の被害者たちには、正義が下される権利があり、そうした行為の加害者たちは、所属先に関わらず、説明責任を問われなければならない」とスロッセル氏は言う。
「我々は対立抗争における全関係者に対し、国際人権法に基づく責任と義務を尊重するよう要求する。それには異なる原則を尊重する責任と義務も含まれる。国際人権法は民間人や民間の物品及びインフラストラクチャを標的とすることを禁じており、比例原則と武力攻撃における警告義務が定められている」
スロッセル氏は隣国サウジアラビアに対するフーシ派の継続的な襲撃についても取り上げた。
「アンサール・アッラーによる国境を挟んだサウジアラビア領土内への攻撃も続いている」と彼女は言う。
「1月から今日までに、アンサール・アッラーはおよそ128回のドローン攻撃と31機のミサイルをサウジアラビアに発射している。標的の大半は軍事関連のものだったが 、一部民間空港や産業施設などの民間インフラストラクチャも爆撃されている」
アラブ世界の最貧国であるイエメンは、イランが後ろ盾となっているフーシ派反乱軍が2014年のクーデターで権力を掌握して以来、悲惨な市民戦争に巻き込まれてきた。その際サウジアラビア率いる連合軍が国連承認のイエメン政府の代わってに介入した。
サウジアラビアは包括的和平計画を提案しており、それは中東と欧米の提携諸国に支持されている。その連合が紛争の終結を確かめ、人道的支援物資の搬入を支援し、紛争に対する政治的ソリューションを実行するという内容だ。
しかし、フーシ派は協定を無視し、マアリブ行政区を奪取しようと攻撃を続け、その攻撃によって多くの民間人の命が奪われた。
「我々は対立抗争に関わる全関係者が交渉の場に戻り、全国レベルの停戦に合意するよう要求する」とスロッセル氏は言う。「何度も繰り返されてきたが、政治的ソリューションのみがこの対立抗争を終結させることができる」