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パレスチナ自治政府に拘束された活動家が「暴行を受けて死亡」

5月初旬、ヨルダン川西岸地区の都市ヘブロン近郊にあるニザール・バナト氏の自宅に、武装した男たちが銃弾、閃光発音筒、そして催涙ガスを発射した。(ロイター通信)
5月初旬、ヨルダン川西岸地区の都市ヘブロン近郊にあるニザール・バナト氏の自宅に、武装した男たちが銃弾、閃光発音筒、そして催涙ガスを発射した。(ロイター通信)
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25 Jun 2021 07:06:01 GMT9
25 Jun 2021 07:06:01 GMT9
  • 国連とEUがニザール・バナト氏の死に対する国際的な非難を主導、独立委員会が設立されて調査が始まった

ダウド・クタブ

アンマン:パレスチナ自治政府を批判していたニザール・バナト氏が木曜日に死亡した。自治政府の治安部隊が同氏の自宅に突入し、同氏を拘束した後のことだった。バナト氏の家族によると、バナト氏は服を脱がされ、窓ガラスを割るための道具で長時間にわたり暴行を受けたという。バナト氏の死は、占領下のヨルダン川西岸地区で怒りの抗議行動を引き起こした。

バナト氏(43歳)は、ヘブロン出身の人権活動家で、フェイスブックへの動画投稿でパレスチナ自治政府の汚職疑惑を告発することで知られていた。

ヘブロン県の当局者は、木曜日未明に警察がバナト氏を逮捕するために到着したとき、バナト氏の「健康状態が悪化した」と発表した。当局者はまた、バナト氏は病院に搬送されたが、死亡が確認されたとしている。

バナト氏のいとこのフセイン・バナト氏がAFP通信に語ったところによると、約25人の武装した男たちが、バナト氏が眠っている間に自宅に突入し、催涙スプレーを使ってバナト氏を取り押さえたという。

フセイン・バナト氏は、「大勢の隊員が家に入ってきて、強引に彼の服をすべて脱がせ、8分間暴行を加え続けた」と話した。

バナト氏の家族は、ニュースサイト「Al-Quds」の取材に対し、治安部隊が「木の棒や鉄製の物体で彼の頭を殴り、故意に殺害した」と非難した。家族によると、警察車両に乗せられたとき、バナト氏は出血していたという。

バナト氏の正式な死因は不明のままで、親族が地元のすべての病院に確認したにもかかわらず、いまだに遺体に対面できていない。家族は、独立した検視官によって死因が究明された場合にのみ、結果を受け入れるとしている。

EUは、この事件に「衝撃と悲しみ」を受けたとし、「完全で独立した透明性のある調査」を求めた。

国連の要求を受けて、パレスチナのムハンマド・シュタイエ首相は、パレスチナ自治政府の独立人権委員会(ICHR)が参加する調査委員会の設置を命じた。ICHRは、パレスチナの独立した人権団体「アル・ハク(Al-Haq)」と協力して調査を行うとしている。

アル・ハクはツイッターに投稿したメッセージの中で、「バナト氏の家族の承認を受けて、アル・ハクとICHRは正式な検死を行う医師を任命した」と述べた。

パレスチナ治安部隊の報道官、タラル・ドウェイカット准将は、自治政府は調査委員会のいかなる勧告にも従う用意があると述べた。

パレスチナ人は、今回の事件をマフムード・アッバース大統領の独裁的な支配がますます強まっていることを示す最新の事例と考えているが、調査開始の発表には、強まる大統領の支配に対するパレスチナ人の怒りを鎮める効果はほとんどなかった。

「アッバースは去れ」とデモ隊はバナト氏の肖像画を掲げて叫んだ。治安部隊はデモ隊に催涙ガスを発射し、1人が催涙ガスの円筒弾を顔面に受けて入院した。

パレスチナの「説明責任と誠実さのための連合(AMAN=Coalition for Accountability and Integrity)」は、バナト氏に対する暴行と過剰な力の行使を「パレスチナ市民の人権と尊厳、そしてパレスチナ基本法の条項に対する言語道断の侵害行為」と表現した。

同団体はまた、調査委員会が「被害者の家族の許可を得ること」を求め、「調査結果をパレスチナ国民に然るべき透明性を持って公表すること」の必要性を強調した。

AMANは、1人の絶対権力者に権力が集中していることを批判し、総選挙を実施してパレスチナ市民が政治に参加する権利をただちに回復することを求めた。

エルサレムのジャーナリスト、アハマド・ブデイリ氏はアラブニュースに対し、バナト氏の職業は大工で、パレスチナ人の生活を向上させること以外には興味がなかったと話した。

ブデイリ氏は、「彼は暴力ではなく改革を求めていた。それにもかかわらず、彼は何度も殴られ、罪を犯したこともないのに何度も逮捕された。そして、彼は暗殺すると脅されていた」と述べ、「彼は祖国を愛し、パレスチナにとって最善の状態を望んでいた」と続けた。

ガザ地区を実効支配するハマスは、バナト氏の死がもたらす影響について、アッバース氏に全責任があると述べた。

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