


アブダビ:イスラエル外務省トップのヤイル・ラピド外相は、29日、昨年国交が正常化されたことを受け、アラブ首長国連邦訪問中に、同国にユダヤ人国家の初の大使館を開設した。
同大臣は「UAEの文化・青年大臣と在アブダビ・イスラエル大使館を開設」と、自身とUAEのノウラ・アル・カービ大臣がイスラエル国旗の青と白のテープをカットする様子の写真をツイートした。
イスラエルの閣僚はこれまでにもUAEを訪問しているが、新たに就任したラピド氏は同国を訪問したイスラエル人の中では最も位の高い人物となり、公式な任務での訪問は初めてとなる。
「イスラエルは近隣諸国との平和を望んでいます。全ての隣国とです。我々はどこにも行きません。中東は我々の故郷です。我々はここに留まります。我々はそのことをこの地域の全ての国々に認識してもらうよう呼び掛けます。そして、我々のところに話をしに来てください」と、ラピド氏は開設式で述べた。
昨年8月にアメリカ仲介による国交正常化協定が発表されて以来、イスラエルとUAEは、観光から航空、金融サービスに至るまで、数多くの協定を締結してきた。
今回の訪問中、ラピド氏は、在ドバイ・イスラエル領事館もオープンさせる。
ラピド氏の訪問は、両国が国交正常化に動いてから約1年後のことであり、新型コロナウイルスの流行や外交問題などをめぐり、計画されては後に中止になっていた、イスラエル政府高官による一連の訪問に続くものだ。
数週間前にラピド氏が一緒になって組んだ連立政権でユダヤ民族主義者のナフタリ・ベネット氏に首相の座を明け渡したネタニヤフ氏は、コロナウイルスの渡航制限をめぐり、既に2月のUAEとバーレーンの訪問を延期していた。
日刊紙エルサレム・ポストによると、ネタニヤフ氏は、3月の選挙を前に、自分への注目を奪われないようにするため、ガビ・アシュケナジ外相がUAEを公式訪問するのを阻止しようとしたという。
伝えられているところによると、当時観光大臣を務めていたオリト・ファーカシュ・ハコーヘン現科学技術大臣も、訪問を取りやめなければならなかったという。
2020年8月には、ホワイトハウスのジャレッド・クシュナー元上級顧問とイスラエルのメイル・ベンシャバット国家安全保障問題担当補佐官が、イスラエルからエル・アル航空機でアブダビに飛び、歴史的な出来事となった。
これは中東和平の取り組みの画期的な出来事として、両国から祝意が表され、着陸したエル・アル航空のジェット機には、英語とアラビア語、ヘブライ語で「平和」という単語の装飾が施された。
イスラエルがUAEと結んだ国交正常化協定に続き、昨年にはバーレーン、モロッコ、スーダンとも協定を結んだが、パレスチナ人からは非難を受けている。
これらの協定は、イスラエルがパレスチナ人と和平を結ぶまで、イスラエルとは国交を結ぶべきではないという、アラブ連盟が長年掲げてきた方針を覆すものだ。
ラピド氏は中道派の元テレビ司会者で、イスラエルの新連立政権を粘り強い説得でまとめ上げ、10年以上にわたるネタニヤフ氏の首相在任期間に終止符を打った。
同氏は28日、ネタニヤフ政権はアメリカの共和党政権との関係だけを重視して「恐ろしい賭け」に出たと述べ、ライバルの政策からの脱却を模索している。
AFP通信