
ナジャ・フッサーリ
ベイルート:レバノンの高等防衛委員会は同国が経済・政治危機に直面する中、保安状況の安定を崩そうとする試みを阻止するため軍および治安当局に対し厳戒態勢を取るよう求めた。
燃料不足への反対デモが行われる中、ミシェル・アウン大統領主導の委員会が火曜に招集された。
補助金の部分的打ち切りの後に燃料を供給するという約束がなされたにもかかわらず、公衆の怒りは収まらず、ガソリンスタンドの長蛇の列も解消していない。
アウン大統領は会議で、「ガソリンスタンドの前で起こった出来事は許されるものではない」と述べ、「市民に屈辱を与えることはいかなる状況下でも許されることではなく、すべての関係者はこのような出来事の再発の防止に努めなければならない」と強調した。
大統領は「道路の封鎖は市民にとってさらなる苦痛をもたらす」として反対を唱えた。
「誰もが意見を述べることは自由だが、騒乱や暴動に発展してはならず、治安当局も甘い態度を取ってはならない」と大統領は述べた。
騒乱を収めようとする試みは、火曜にレバノンの全銀行で広範囲に行われたストライキとタイミングが重なる形となった。同ストライキはベイルート・ハムラストリートのレバノンスイス銀行本社に対して行われた攻撃に反対するものであった。
同行は「月曜、約100人が当行本社ビルを占拠し、マネージャーらにトルコへの送金を迫って暴力をふるい、従業員3人が負傷した」と発表した。
同行は2019年11月以来、金融危機を考慮し海外送金業務を中止していた。
同行本部によると攻撃者らはバニーンという慈善団体に所属していた。バニーンは送金を認めるよう裁判所に求めていたが、緊急事態を担当する裁判長は訴えを棄却していた。
銀行業協会は攻撃を非難し、「管轄の法務当局および治安当局に対し、犯人を追うよう」呼び掛けた。
一方、火曜の路上デモは続き、市民らが各地で道路を封鎖し、絶望的な暮らし向きや燃料不足への怒りを露にした。
このような緊張感の中でも営業に踏み切ったガソリンスタンドには人が押し寄せ、数ヶ所で乱闘が発生した。アッカール地方のガソリンスタンドでは、ディーゼル油やガソリンが不足していたわけではないにもかかわらずより高値で売ろうとオーナーが販売を渋ったことで、デモ参加者らがスタンドを破壊した。
レバノンの燃料小売業・ガソリンスタンド組合の代表ファディ・アブ・シャクラ氏はアラブニュースに対し、「組合の代表団が暫定政府の内務大臣と対談し、争いが多数起きているレバノンのガソリンスタンドの保安状況について話し合った」と語った。
「大臣はガソリンスタンドのオーナーらに対し、市民の自宅に燃料を保管されると危険なので給油は何ガロンも行わないこと、またブラックマーケットに流されるのを阻止するためオートバイ所有者には少量のみ販売するよう求めた」
アブ・シャクラ氏は「残りの船が荷を下ろし、レバノン銀行がレバノンの海岸沖に停泊中の船の口座を開き始めたらレバノン人に燃料の供給が行われる」と強調した。
また月曜には、ベイルート南部郊外のガソリンスタンドの長い列を取材中していた外国人記者がヒズボラに攻撃され、身柄を拘束された。
タハロフ・ワタニの機関誌は声明でベイルートデイリー・ナウレバノン特派員マット・カイナストン氏への攻撃について「氏は任務を遂行していたにすぎない」として非難し、治安当局と放置当局が「犯人らを追及して法の求めに応じて罰し、レバノン憲法に保障された報道関係者の自由を守る」よう求めた。
また同様に、反ヒズボラの聖職者、アリ・アル・アミン師への取り調べも延期された。
ヒズボラ支持者らは、イスラエル人が参加したバーレーンでの集会に師が参加したとして訴えていた。
火曜、ベイルートの法務省前で、アル・アミン師との連帯を表明する座り込みデモが行われた。
デモ参加者らは「考えは銃より強い」「暴力的なメッセージにより我々の自由の声がかき消されることはない」などと書かれたバナーを掲げた。
レバノンのカタイブ党党首サミー・ゲマエル氏は、アル・アミン師との連帯、そして「抑圧と視野の狭い人々に直面しながらも、自由で広い師の心への支援」を表明した。
「我々は脅しは受け付けない。我々は警察国家とその裏にいる民兵を打倒する」と氏は付け加えた。