
ロイター通信、アンカラ
トルコのスレイマン・ソイル内相は11月19日、年末までに拘束中のIS戦闘員の大半を出身国に送り返すと述べた。この発表はトルコ当局が本国送還計画を開始してから1週間後のことだ。
トルコ軍はテロ組織と見なすクルド人民兵組織「人民防衛部隊(YGP)」に対する軍事作戦を実施した。トルコ政府によるとシリア北東部で287名のイスラム過激派外国人戦闘員を拘束し、ほかにも容疑者数百名を拘束中という。
首都アンカラでのソイル内相の発表によると、トルコ政府は今週さらに6~7名のIS戦闘員をアイルランドやオランダなどの出身国に送還する予定だという。トルコの当局者は相手国の担当者と連絡を取っていた。
「年内の送還数は手続きの進捗具合によるが、特に欧州については手続きが進んでいる」とソイル内相は述べた。
「年内に大部分を送還できると思う」とし、国籍を剥奪した一部の国は国際法に違反していると非難した。
「自国民を無国籍状態にする権利などない。国家にそのような権利はない」と述べた。「過去の国籍の有無について複数の国と共同で調査を実施したところ、引き受けるとの答えが返ってきた」
トルコは関係諸国との間でイスラム過激派外国人戦闘員の送還・引き渡しに関する協定を結んではいるが、被拘束者を送り返す前に当該国にあらかじめ通知している。
オランダ検察当局によると、23歳と25歳の母親2名がトルコから強制退去させられた後、19日夜にアムステルダム・スキポール空港で拘束されたという。この2人はIS構成員だったとの容疑が掛けられている。
3歳と4歳の子供2人と共に帰国した母親の方は、22日に法廷に出頭することとなる。
中東に渡りISに参加した自国民をヨーロッパのNATO同盟国が引き受けるまで時間がかかり過ぎると、トルコ政府はこれまで非難を重ねている。
一方で欧州諸国は、数千人のテロリストをシリアの刑務所からイラクまで移動させる計画を前倒しで進めようとしている。
トルコと同じくNATOに加盟する欧州各国は、先月のシリア北東部へのトルコ軍の攻撃により、IS戦闘員とその家族がYPG運営の刑務所や収容所から逃げだすのではと懸念している。
YPGを自国内のクルド反乱軍とつながるテロ組織とみなすトルコ政府はこうした懸念を強く否定し、YPGが一部の刑務所から立ち退く際に約800名のイスラム過激派テロリストを逃がしたと述べた。
これまでにトルコが出身国まで送還したIS戦闘員は、ドイツ人10名、アメリカ人1名、イギリス人1名。
トルコ政府の発表によると、今後もアイルランドやフランスなど主にヨーロッパ諸国に容疑者たちを強制送還するという。