ラマッラー:先月、パレスチナの治安部隊に拘束されたまま死亡した政治活動家の家族は土曜日、パレスチナ自治政府が同氏の死を隠蔽しようとしていると非難した。
ニザール・バナート氏の親族は、いまだに正式な死因を記した書類を受け取っていないとし、パレスチナ自治政府は法廷外での解決を図っていると述べた。
ニザール氏の兄弟、ガッサン・バナート氏は記者団に対し、「パレスチナ自治政府は犯罪を隠蔽しており、この瞬間までの自治政府の行動は犯罪行為だ」と述べた。
ニザール・バナート氏はパレスチナ自治政府に対する辛口の批判者で、人権侵害や権威主義の拡大を理由に、西側諸国にパレスチナ自治政府への支援を止めるよう呼びかけていた。
バナート氏は、Facebookでの一連の投稿やライブビデオで、パレスチナ自治政府によるイスラエルとの安全保障面での緊密な連携や、自治政府の腐敗を批判していた。自治政府とイスラエルの安全保障面での連携は、多くのパレスチナ人が裏切りとみなしている。バナート氏はまた、4月には、実施されれば15年ぶりとなるはずだったパレスチナの議会選を中止したマフムード・アッバース大統領を非難していた。バナート氏は野党系の候補者だった。
バナート氏の家族によると、治安部隊はバナト氏の就寝中に寝室に突入し、頭から血を流すほどの暴行を加えた後、家から同氏を連れ出した。バナート氏はその後、拘束されたまま死亡した。
バナート氏の死を受けて、数週間にわたる抗議活動が行われている。7月5日には、パレスチナ自治政府の本部前でデモを行っていた少なくとも6人の活動家が治安部隊に逮捕された。複数の目撃者によると、警察は催涙スプレーを使用し、警棒でデモ隊を殴ったという。
土曜日の夕方にはラマッラーで約150人が参加するデモが行われた。デモ隊はバナート氏のポスターを掲げ、反アッバース氏のスローガンを唱えた。デモは平和的に行われ、暴力や逮捕者は報告されていない。
米国をはじめとする西側諸国の重要なパートナーとみなされているパレスチナ自治政府は、バナート氏の死に関する調査委員会を立ち上げた。ガッサン氏によると、数週間経っても家族は政府からほとんど何も聞かされていないという。
「この瞬間まで、我々は死亡証明書を手に入れることができていない。市民が死亡して死亡証明書が発行されないことがあるのだろうか」とガッサン・バナート氏は述べた。
家族の弁護士2人に付き添われたガッサン氏は、自治政府が部族の長老を家族のもとに送り込み、この件を打ち切って裁判に持ち込まないようにしようとしていると述べ、自治政府の試みを拒否した。
ガッサン氏は、「この事件は、長老や部族のやり方では解決しないし、終わらない」と述べ、「ニザールの事件は政治的な暗殺であり、たとえ1000年かかっても法の裁きが下されるまで未解決のままだ」と続けた。
多くの人々がパレスチナ自治政府は腐敗していて権威主義的と考えており、先月行われた世論調査ではアッバース氏への支持率が急落したことが明らかになった。アッバース氏は2005年に大統領となり、4年間の任期満了後も大統領職に留まった。
アッバース氏は、議長を務めるファタハがライバルの過激派武装組織ハマスに大敗すると見られていた選挙を中止したことで、強い圧力にさらされている。
先月、パレスチナの治安部隊は、有名な活動家で批判者のイッサ・アムロ氏を逮捕した。アムロ氏はFacebookで自治政府による最近の逮捕を批判していた。
AP通信