
クリストファー・ハミル・スチュアート
ロンドン: 1980年代に政治犯の大量処刑に関与したとして起訴されたイランの元政府高官が10日、スウェーデンで裁判を受ける。
ハミド・ヌーリ氏60歳は、2019年に親戚を訪問するためにイランからストックホルムへ移動した際にスウェーデンで逮捕された。
亡命イラン人活動家らは、イラン・イラク戦争の末期に政治犯の大量処刑に関与したことに関連して、同氏に対する裁判を準備してきた。
ヌーリ氏は、ムジャヒディン・ハルク(MEK)のメンバー、関係者、同調者数千人を、不公正な裁判後に即刻処刑した「死の委員会」に参加したとして起訴されている。
MEKは1979年の革命に参加したものの、後に革命政府から嫌われることとなり、暴力的弾圧を受けた政治団体だ。
ヌーリ氏の身元は、同氏が情け容赦なく殴っていたある囚人が、暴行時にポケットから滑り落ちた同氏の身分証を見たことで明らかになった。
この囚人は、目隠しをされた状態でこの身分証を目にし、数年後、その経験をまとめた本の中で、囚人らへの拷問におけるヌーリ氏の役割の詳細を公開した。
ヌーリ氏の裁判は、イランで新たに就任したイブラヒム・ライシ大統領にも影響を与える。同大統領は、アムネスティ・インターナショナルから「死の委員会」と呼ばれた1980年代後半の処刑に参加したことで広く知られている。彼はイラン政府の検察官を務め、数多くの人々を直接死に追いやった。
ヌーリ氏の裁判は、域外管轄権の原則のリトマス試験として見なされており、もし起訴が成功すれば、ライシ氏への圧力が高まり、彼とイランを国際社会からさらに孤立させる可能性が生じる。
MEKは所属する包括的な反体制派運動のイラン抵抗国民会議(NCRI)と共に、ヌーリ氏の起訴を歓迎した。
NCRIの現メンバーの多くは、これらの処刑で愛する人を失った。「大虐殺の犠牲者の家族や、生き延びたごく少数の人たちは、もちろんヌーリ氏の起訴を歓迎している」と、NCRIの外交委員会のメンバーであるアリ・サファビ氏がアラブニュースに語った。
「しかし、彼らはこの裁判が、体制の最高指導者であるアリ・ハメネイ師とライシ氏を含む、この凶悪犯罪に関与した全ての人々を裁き、何人の無実の捕虜を殺害したのか、彼らの名前、どこに埋葬したかなどを明らかにさせるための先駆的事例になることを望んでいる」。
MEKとNCRIは、約3万人が殺害され、それを証明できる名簿を持っているとしている一方、権利団体はその数を1万人前後としている。またアムネスティ・インターナショナルは、このような殺害行為は人道に対する罪にあたるとしている。
サファビ氏は次のように述べた:「ヌーリ氏の起訴で、1988年の3万人の政治犯(そのうち90%がMEKに所属)の虐殺に関するこれまで公開されていなかった詳細に光が当たるのは確かだ。しかし、これは始まりにしか過ぎない」。
サファビ氏はこう付け加えた:「ヌーリ氏は、ライシ氏が重要な役割を果たした『死の委員会』の末端役人に過ぎなかった。そのため、国際社会、特に国連は、この人道に対する罪を調査し、加害者、何よりもまずライシ氏を裁く国際調査委員会を立ち上げなければならない」。