




ベイルート:レバノン北部アッカールで燃料を積んだトラックが爆発し、少なくとも20人が死亡、80人近くが負傷した。赤十字社と国営メディアが15日、伝えた。
この悲劇は、すでに経済危機と深刻な燃料不足に悩まされ、病院の機能がまひし、長時間の停電が起きている国に新たな不幸をもたらした。
レバノン赤十字社は「我々のチームは、#アッカールの燃料トラックの爆発現場から、20人の遺体を地域の病院に搬送した」とツイッターに投稿した。
他にも79人が負傷したと補足された。
レバノン国営通信は、レバノン軍が差し押さえた燃料ボトルが爆発したと発表した。
夜通し「ガソリンを満タンにするために燃料ボトルの周りに集まった住民」らが小競り合いをした後に爆発が起きたという。
レバノン国営通信は、その小競り合いと爆発の前にレバノン軍がこの地域を去っていたと補足した。
アッカールの病院に勤務するヤシネ・メトレイ氏は、同院は少なくとも7人の遺体と数十人のやけどを負った犠牲者を受け入れたと述べた。
「遺体は黒焦げで、身元が確認できない」と同氏は話した。
「顔を失った人もいれば、腕を失った人もいる」
同院では重度のやけどの治療ができないため、ほとんどの負傷者を断らなければならなかった、と同氏は述べた。
ソーシャルメディアに投稿された動画には、今回の爆発によるものとされる、金属のくずを燃やす大きな炎が映っていた。
AFP通信はこの動画が本物かどうかを独自に確認することができなかった。
モハマドとだけ名乗った別の病院の職員は、30人以上の負傷者が同院に来たと話した。
「全員やけどを負っている」と彼は言い、同院にはそうした症例を治療する設備がないため、断られた人が多かったと付け加えた。
他の人たちは、25キロ(16マイル)以上離れた北部の都市トリポリにあるアル・サラム病院で治療を受けた。同院は、やけどの患者に対応できるこの地域で唯一の施設だ。
世界銀行が1850年代以降の世界で最悪の経済危機の一つと評する状態にあるレバノンは、増え続ける貧困、通貨の急落、深刻な燃料不足に悩まされている。
レバノン軍は14日、全国のガソリンスタンドで販売業者が備蓄していたガソリンやディーゼル燃料数千リットルを差し押さえたと発表した。
燃料不足のために多くの人々が電気を1日に2時間しか使えなくなっており、いくつかの病院は最近、停電のために病院を閉める可能性があると警告している。
レバノンのベイルート港で昨年夏、200人以上の死者を出した爆発事故が起きてから1年が経ったが、2週間もしないうちにアッカールで爆発が起きた。
2020年8月4日、いい加減に保管されていた硝酸アンモニウム肥料の在庫が爆発し、首都の大部分が戦場のようになった。
核兵器以外の爆発としては史上最大級だった。
あれから1年が経ったが、あの爆発事故の責任を問われた関係者はいない。
サアド・ハリーリ元首相はツイッターで声明を共有し、アッカールの爆発とベイルートの爆発を結び付けた。
「アッカールの大虐殺はベイルート港の大虐殺と違わない」と同氏は述べた。
「この国が国民を尊重する国ならば、大統領からこの怠慢の責任を負うべき最後の一人に至るまで、関係者は辞任するだろう」
経済危機にもかかわらず、ベイルート港爆発事故を受けて前内閣が辞任した後、政争で新政府の樹立が遅れている。
世界の国々はレバノンに数億ドルの人道援助を約束している。
しかし、その援助金は、改革を先導する覚悟ができた新政府の樹立と、国際通貨基金との協議の再開を条件としている。