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人権団体「イスラエル軍によるガザ攻撃は明らかな国際法違反」

AP通信やその他の報道機関の支局が入居し、数十世帯が居住するアルジャラービルがイスラエル軍の空爆を受けて崩壊した=ガザ市(AP通信/資料)
AP通信やその他の報道機関の支局が入居し、数十世帯が居住するアルジャラービルがイスラエル軍の空爆を受けて崩壊した=ガザ市(AP通信/資料)
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24 Aug 2021 03:08:53 GMT9
24 Aug 2021 03:08:53 GMT9
  • この国際人権団体は、イスラエル軍に対して攻撃を正しいと判断した証拠を提示するよう求めた
  • ヒューマン・ライツ・ウォッチは、空爆による直接の人的被害はなかったが、近隣の建物や事業所に損害を与え、数十人が住む場所を失ったと指摘した

エルサレム:世界最大規模の国際人権団体は月曜日、「5月の戦争中にイスラエル軍がガザ地区の高層ビル4棟を空爆して破壊したことは戦時国際法に違反している」とする報告書を発表した。

同団体は、イスラエル軍に対して攻撃を正しいと判断した証拠を提示するよう求めた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、空爆による直接の人的被害はなかったが、隣接する建物に損害を与え、数十人が住む場所を失い、多数の事業所が破壊されたと指摘した

ヒューマン・ライツ・ウォッチの危機・紛争研究者、リチャード・ウィアー氏は、「ガザ市の高層ビル4棟に対するイスラエル軍の空爆は明らかに違法だ。空爆により、これらエリアの住人、働いていた人、買い物客、ビジネスで利益を得ていた無数のパレスチナ人が深刻で永続的な損害を受けた」と述べている。

「イスラエル軍は信頼している証拠に基づいて攻撃を行ったとしているが、それらの証拠を公に示すべきだ」

この報告書に対し、イスラエル軍は、ハマスをはじめとする過激派組織が建物を軍事目的で使用し、建物に住む人を「人間の盾」にしていると非難した。

イスラエル軍は、「ハマスがこれらの高層ビルの中に隠そうとした資産は特に軍事的価値の高いものが多く、これらの資産に対する攻撃に成功することは戦略的に重要だった」と述べた。

この報告書は、ニューヨークを拠点とするヒューマン・ライツ・ウォッチが11日間の戦争についてまとめた3つ目の報告書だ。同団体はこれまでにも、明確な軍事目標がないにもかかわらず何十人もの民間人が犠牲になった攻撃について、イスラエルによる明確な戦争犯罪だと非難してきた。同団体はまた、ハマスのロケット弾がイスラエルの都市に向けて無差別に発射されたことも戦争犯罪に該当するとしている。イスラエルとハマスは双方が同団体による非難を否定した。

5月10日、ハマスはパレスチナ人による抗議活動への支持を示すためにエルサレムに向けて大量のロケット弾を発射し、戦争が勃発した。抗議活動は、イスラム教で3番目に神聖な場所であるアル・アクサモスクに対するイスラエルの強引な警察活動や、近隣のユダヤ人入植者がパレスチナ人数十世帯に立ち退きを迫っていることに対して行われていた。

国連の発表によると、この戦争でガザでは少なくとも子ども66人、女性41人を含む約260人が死亡した。ハマスは80人の戦闘員が死亡したことを認めているが、イスラエルはその数はもっと多いとしている。イスラエル側では、子ども2人を含む12人の民間人と1人の兵士が死亡した。

イスラエルがパレスチナの高層ビルを破壊したことは、戦時中に最も物議を醸した戦術の1つだった。標的となった建物の中には、AP通信の支局が入居していた12階建ての「アルジャラービル」も含まれていた。アルジャラービルには数十世帯が居住していた。

AP通信はイスラエルに対し、アルジャラービルの破壊を正しいと判断するためにイスラエルが採用した証拠を公開するよう求めている。イスラエルは、ハマスの工作員がこの建物を利用して、イスラエルのロケット防空システム「アイアンドーム」の機能を阻害することを目的とした高度な活動を行っていたとしている。しかし、イスラエルは、情報源を明かすことを望まないとして、この件に関する情報の公開を拒否している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは、空爆の目撃者や空爆で被害を受けたパレスチナ人18人にインタビューを行ったという。同団体はまた、空爆後のビデオ映像や写真、イスラエルとパレスチナの政府関係者や過激派組織の声明なども検証したとしている。

同団体は、軍事作戦に参加していた過激派組織の隊員が、攻撃された建物に空爆時にいた証拠や、長期間にわたって滞在していたという証拠は見つからなかったとしている。また、仮に過激派組織が建物を使用しており、正当な標的であったとしても、イスラエルには民間人への不均衡な損害を避ける義務があるとしている。

同団体は、「イスラエル軍はこれまでにも特定の階や建物の一部を攻撃する能力を示してきたため、今回の攻撃の均衡性はさらに疑問だ」と指摘している。

イスラエル軍は声明の中で、ヒューマン・ライツ・ウォッチが言及したすべてのケースにおいて、「意味のある事前警告を行い、民間人が避難したことを確認するための努力を行った」と述べている。

イスラエル軍は可能な限り建物の特定の階を攻撃していると主張している。しかし、ピンポイントで攻撃すると制御不能な崩壊を引き起こす可能性があると判断した場合や、標的が軍事的価値の高い建物だった場合には、「標的全体」を破壊しなければならないケースもあったという。イスラエル軍は、「これはほんの一握りのケースだ」とした上で、「報告書に記載されているすべての建物はこれに当てはまる」と述べた。

5月の紛争は、イスラエルの存在に反対するイスラム過激派組織ハマスがパレスチナの選挙で勝利した翌年の2007年にガザを実効支配して以来、イスラエルとハマスの間で起きた4回目の戦争となった。ヒューマン・ライツ・ウォッチをはじめとする人権団体や国連の関係者は、すべての紛争において双方が戦争犯罪を犯していると非難している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチは今年初め、イスラエルはイスラエル国内とヨルダン川西岸地区・ガザ地区の両方でパレスチナ人に対する差別的な政策をとっているため、国際的なアパルトヘイトの罪に問われていると非難した。イスラエルはこの非難をはねつけた。

同団体はまた、国際刑事裁判所が現在行っているイスラエルとパレスチナ過激派組織による戦争犯罪の可能性に対する調査の対象に、今回のガザ紛争を含めるよう求めている。イスラエルは国際刑事裁判所の管轄権を認めていない。また、自国の軍隊によるあらゆる不正行為を自ら調査する能力があるとしている。イスラエルはまた、国際刑事裁判所の調査は不公平で政治的な動機に基づくものだとしている。

AP

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