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タリバンと協議中のトルコ エルドアン大統領、カブール空港の運営リスクを検討

2021年8月27日、トルコのタイイップ・エルドアン大統領がボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボを訪問する。(ロイター)
2021年8月27日、トルコのタイイップ・エルドアン大統領がボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボを訪問する。(ロイター)
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28 Aug 2021 12:08:09 GMT9
28 Aug 2021 12:08:09 GMT9
  • エルドアン大統領は、空港について決定を下す前に、まずは「カブールに平穏を取り戻す必要がある」と述べた
  • 治安の悪化とそれに続く紛争に「巻き込まれる」リスクがあるとエルドアン大統領は付け加えた

メネクセ・トキャイ

アンカラ:トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は27日、外国軍撤退後のカブール空港運営に関するタリバンからの支援要請について、治安上の懸念やアフガニスタン国内の不確実性を理由に、トルコはまだ最終決断を下していないと述べた。

しかし、タリバンとの協議はまだ続行中であると同大統領は付け加えた。

「我々はタリバンと最初の話し合いを持ち、それは3時間半続いた。必要に応じて今後もこうした協議を行うつもりだ」

「タリバンは、カブール空港の運営に関して要請をしてきた。自分たちが治安を確保するから我々に運営をして欲しいと言っている。しかし我々はまだ決断を下していない。そこには常に死者が発生するような事態となる可能性があるからだ」とエルドアン大統領は、ボスニアへ向けて発つ前にイスタンブールで開かれた記者会見で述べた。

空港に関する決断を下す前に、まずは「カブールに平穏を取り戻すべきだ」と大統領は述べた。

さらに、治安の悪化とそれに続く紛争に「巻き込まれる」リスクがあると付け加えた。

話し合いは、トルコ大使館が一時的に拠点としている空港の軍事区域内で行われたとされる。

エルドアン大統領のこうした発言は、さらなる攻撃に備えたアフガニスタンの人々の国外退避を支援すべく、米軍がジョー・バイデン米大統領の設定した撤退期日8月31日までに任務を急いで完了させようとしている時期に発せられた。

26日にカブール空港付近で発生したダーイシュによる攻撃で、少なくとも米軍関係者13人と60人以上のアフガニスタン人が死亡した。

空港の民間部門についても米国の課題に挙げられている。

「機能している国家、機能している経済、国際社会とのなにがしかの外交を持つ政府であれば、機能する民間機空港が必要となるものだ」とネッド・プライス米国務省報道官は23日に述べた。

親トルコ政府派ジャーナリストであるハンデ・フィラト氏は、もしも必要な安全措置がとられれば、トルコ最大手の民間航空会社であるターキッシュ・エアラインズがカブール空港を運営する可能性はあると述べた。

さらにフィラト氏は、トルコは武装したタリバンのメンバーのみに頼るのではなく、民間の警備会社が支援する特別なセキュリティーシステムの設置を要求したと付け加えた。

多くの専門家は、もしもトルコが空港運営の責任を引き受けるのであれば、NATO同盟国の一員であるトルコにとって、西側諸国への影響力を高めるまたとない機会になると述べている。

「26日に発生した攻撃や、タリバンの今後の政権安定についての不確実性を考えれば、トルコはリスクの多い極めて危険な治安環境に関わっていくことになるかも知れない」と、フリードリヒ・エーベルト財団カブール事務所長のマクダレーナ・キルヒナー氏はアラブニュースに語った。

キルヒナー氏は、トルコ軍も同盟国軍も駐留せず、大使館も完全に機能していないとなれば、トルコは自国の民間人や民間企業の保護をタリバンの部隊に頼らざるを得なくなると述べた。

「警察や治安部隊といった主要な国家機関が大きく変更されつつある中、トルコはアフガニスタンの情報局や治安当局を当てにするのが難しいことに気づくだろう。タリバンとの合意事項以外にも、民間軍事請負会社の利用を検討することになるかも知れない」と同氏はアラブニュースに語った。

トルコはアフガニスタンに約600人の部隊を駐留させているが、タリバンは先月、トルコ部隊はすべて「占領軍」と見なすとの警告を発表した。

カーネギー・ヨーロッパのアナリストであるマルク・ピエリーニ氏は、タリバンがいくら保証しようとも、26日の壊滅的な自爆テロを見れば、空港付近の治安を確保することが「極めて困難」であることがわかると述べた。

「もしもトルコが空港内の警備を引き受けるとしても、空港の境界外はタリバンによる治安政策とその実行に完全に委ねることになる。そしてそれは、他のNATO軍が周囲に存在しない中で行われる。現時点では、そのような活動は非常にリスクの高い提案にしか思われない」と同氏はアラブニュースに語った。

カブール空港への部隊配置については、トルコと米国の間でここ数ヵ月、財政、物流、外交などの条件を付けて激しく議論してきた問題だ。

キルヒナー氏は、カブール空港における協力が、欧米諸国とタリバンとの関係「正常化」の試金石となる可能性があると述べた。

「空港は引き続き、タリバンが国際社会からの制裁や孤立を克服するために、人道、外交、発展の努力を示す重要な拠点だ。空港はまた、国際社会がアフガニスタン社会の必要としているものを援助し、国内の自国民に領事支援を提供し、必要に応じてアフガニスタンの社会的・経済的発展を支援するためには欠かせない施設でもある」と同氏は述べた。

アンカラ在住の中東政治専門家であるアイディン・セゼル氏は、「エルドアン大統領とジョー・バイデン米大統領との間の交渉は、アフガニスタンの人道支援の窓口となる空港軍事部門の運営に集中していた」とアラブニュースに語った。

空港の民間部門の運営に関しては、「単なる商業目的の運営」になると彼は付け加えた。

セゼル氏は、「タリバンは同じ任務について、ロシアとも協議しているとされている。よって現時点では、どこがこの任務を負うことになるかはっきりしない。ひとつだけ確かなのは、これらの話し合いが国内の支持を上げる目的に利用されるだろうということだ」

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