
チュニス:30日、リベラル政党の党首で、カイス・サイード大統領が当選した2019年の大統領選挙では次点に終わっていたナビル・カルーイ氏が、議員である実弟と共にアルジェリアで逮捕されていたことをメディアが報じた。
民間のラジオ局であるラジオ・モザイクFMは、Qalb Tounes党党首であるナビル・カルーイ氏と、弟のガジ・カルーイ氏がアルジェリア北東部テベッサ県で逮捕されたことを報じた。党幹部のウサマ・ケリフィ氏は報道陣に対し、「公式情報」はまだ明らかになっていないと述べた。今回のカルーイ兄弟の逮捕については、現時点ではチュニジア、アルジェリアどちらの国からも正式な確認は行われていない。
「1週間ほど前からカルーイ氏と連絡が取れていません」ケリフィ氏はそう述べた。
チュニジア中央部のカスリーヌ裁判所の広報を務めるリヤド・アル・ヌイウイ氏は、「関係当局はカルーイ兄弟の[アルジェリアへの]逃亡を支援した疑いがある2名の人物を捜査している」と述べた。
ナビル・カルーイ氏はチュニジアの民間局Nessma TVを創業した。イタリアのシルビオ・ベルルスコーニ元首相は同局の所有権を一部所有している。
カルーイ氏はマネーロンダリングと脱税の容疑で2017年から捜査を受けてきた。
カルーイ氏は2019年に逮捕され、大統領選の最中に1カ月以上服役していた。
同氏は釈放されたが、2020年12月の再逮捕後は6カ月間の公判前勾留を受け、2021年6月に釈放されていた。大統領選でのカルーイ氏は貧困との戦い、さらにイスラム主義政治への反対を掲げながらも、アンナハダ党との協力関係を築いていた。
有権者が2011年の革命以来同国を支配してきた政治勢力にノーを突きつけるなか、カルーイ氏は元法学者で政界の新参者であるサイード大統領に敗北を喫した。
7月25日、サイード大統領は議会停止と首相の解任によって全権を掌握し、憲法を根拠として自らの行動を正当化した。
以来、腐敗の撲滅を旗頭に議員、判事、実業家らの渡航禁止や自宅軟禁が相次ぎ、自由の縮小ではないかという懸念が高まっている。
AFP