
トリポリ:9月3日(金)早朝、トリポリで敵対する武装軍団間の戦闘が勃発した。1年前に休戦となった東西派閥間の抗争以来、リビアの首都における最も激しい衝突となった。
サラディン地区のある住人によると、小型から中型兵器による銃撃戦が午前2時30分頃始まり、午前中いっぱい続いたという。
支配領域と国家機関のコントロールを求めて対立する武装軍団間のトリポリにおけるこの衝突で、12月の選挙への望みは一層危ういものとなった。この国民選挙は、過去10年に及ぶリビアの混乱と暴動と分断を終結させるための第一歩となるはず だった。
リビア紛争の政治的解決に向けて、今年初旬には停戦と政情の改善が見られたものの、リビアの無数の武装グループを統括して統一国民軍を結成するような動きはまだ見られない。
目撃者によると、今回の戦闘はトリポリにおける二大勢力である444部隊(444 Brigade)と安定化支援部隊との間で勃発したという。
市民戦争中、様々な武装軍団を取りまとめるために設立されたトリポリ軍事区域の本部によると、この戦闘は444部隊の活動を抑制することが目的だったという。
「今回の出来事は、444部隊の逸脱行為と軍命令への不服従を正すためのものだ」とアブドゥルバセット・マルワン氏が動画による声明の中で述べている。
444部隊は「武装兵たちによる襲撃に驚いた」とロイターに述べており、マルワン氏の声明についても驚いていた。
国連リビア支援ミッションは直ちに戦闘を中止するよう要請し、「極めて深刻な懸念」を抱いているという。
リビアは主要産油国であり、過去10年間産油量を維持できているが、紛争によって輸出中止となる可能性があり、昨年にも数ヶ月そのような事態があった。
今回の戦闘は、トリポリの西にあるザーウィヤでの先月の大規模な衝突や、今週起きた国家機関での銃撃戦をはじめとする、首都トリポリ内での小競り合いや衝突に続くものだ。
リビア東部はハリファ・ハフタル陸軍元帥のリビア国民軍(LNA)によって支配されているが、ここでも過去数ヶ月に銃撃戦やその他の暴動が起きている。
リビアには、2011年のNATO後援による反乱以来、ほとんど一時も平和が訪れていない。2011年の反乱では長年の専制君主ムアンマル・カダフィが失脚し、2014年には敵対する東西派閥間で国が分断した。
しかし、昨年両サイドは停戦に合意し、12月の国民選挙の準備をするために、双方が共に支持する新たな統一政府が3月に樹立され、この動きは長年待ちに待った平和への足がかりを築く最大の機会と見なされていた。しかし、トリポリを拠点とする統一政府は、国家機関の統一や選挙準備がはかどらず、東部を基盤とする議会は予算案を拒否し、投票に関する憲法の原則に合意しようとしない。
政治派閥が暫定政府の役割と権力、並びに国家機関と国庫の制御に関して、論争を繰り返している。
ドイツのシンクタンクSWP のウォルフラム・ラカー氏によると、さらなる抗争激化の可能性はあるが、仲介策によって短期的に戦闘は解決できるだろうという。
しかし彼は「同様の衝突がトリポリやその他の場所で再発することになろう」とも述べている。
ロイター