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レバノン新政権、「海外向けにポジティブなメッセージの発信」を目指す

レバノンの首相指定ナジブ・ミカティは、2021年9月10日にレバノンのベイルートのモスクで、レバノンのミシェル・アウン大統領と会談する前に金曜日の祈りに出席します。(ロイター)
レバノンの首相指定ナジブ・ミカティは、2021年9月10日にレバノンのベイルートのモスクで、レバノンのミシェル・アウン大統領と会談する前に金曜日の祈りに出席します。(ロイター)
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12 Sep 2021 01:09:17 GMT9
12 Sep 2021 01:09:17 GMT9
  • 新政権はナジブ・ミカティ首相による3度目、ミシェル・アウン大統領の元での4度目の内閣である
  • 内閣は組閣の条件に基づいて、来年の選挙までの8ヶ月間政権を握る

ナジア・フーサリ

ベイルート発:フランスや IMF 国際通貨基金などの大国や重要国際機関の要求に沿うことを目指すレバノンの新政権発足は、本国ならびに海外において警戒感を伴う歓迎を持って受け止められている。

新政権はナジブ・ミカティ首相による3度目、ミシェル・アウン大統領の元での4度目の内閣である。内閣は月曜日に初めての閣議を開き、閣僚声明を出す方針だ。それに基づいて政権は優先事項を定めることになる。その後、新内閣はレバノン国会において信任投票を受ける。

内閣は組閣の条件に基づいて、来年5月の選挙までの8ヶ月間政権を維持することになる。専門家によれば、それは救済政府にとっては短いものではあるが、内閣が素早く効果的な対策を打ち出すのには十分な時間だという。

「新政権は国内外に向けてポジティブなメッセージを発信した。しかし預託者や銀行・機関・支援者などを安心させるためには優先して対策を取らなければならないことがある。国内における信用は重要であり、そのためには発展や経済再生に向けた道筋を示すことが必要である」と銀行筋はアラブニュースに語った。

アウン大統領は新内閣について「現状における最良のものであり、国がこの暗い時期から抜け出すための行動力を持っている」と述べた。

しかし一部の政治評論家は新政権について「国際社会のイニシアチブに沿うものではなく、そのイニシアチブが提供する利点を全く兼ね備えていない」と論じる。

政治アナリストのハンナ・サレー氏は「新内閣が唯一もたらしたものは閣僚を銀行員から裁判官に挿げ替えたことだけだ」とアラブニュースに語った。

新内閣は勢力が割拠するレバノンの政党による妥協と定員設定に基づいて発足した。それを構成するのは、レバノンを危機から救うために主導したフランスが強く求めていた無所属の閣僚ではなく、政党に属する官僚たちである。

以前首相に指名されていたサード・ハリーリ氏は新内閣に無所属の閣僚を数名含めることを提言していたが、ミカティ内閣にこれらの閣僚の名前は含まれていない。

議会会派民主集会(Democratic Gathering)に所属するビラル・アブドゥラー議員は「いかなる内閣も内閣が存在しないことよりはましであるが、ミカティ内閣は官僚内閣であり、それが意味するところはそれぞれの会派に定員が定められており、その定員設定なしでは組閣が不可能であったということである。その上、他国がそのことを認めたからこそ発足することができたのである」とアラブニュースに対して語った。

「新政権には国家崩壊を食い止めることが義務付けられている。奇跡を呼び起こすことはできないが、救済・再建対策を打ち出すことは最低限可能である。IMFを筆頭とする国際機関と交渉しなければならない。新たな財政がなければ救済は不可能であり、そして近隣のアラブ諸国および国際社会との関係を修復することと国政選挙を開催することが最重要課題である」とアブドゥラー氏は付け加えた。

経済ジャーナリストのダニエレ・ダヘア氏は「政権には切迫した危機に対処することが求められる。とりわけ、支援が打ち切られたあと国民が必要とする燃料を確保しなければならない。このことについてミカティ氏は演説でその道筋をつけていた。最も重要なのはレバノン・ポンドの対ドル交換レートを統一させることだ。レバノン国内においてレートが6つも存在していることは理不尽である。これはIMFが義務付けていることである」と語る。

「そうすることにより闇市における交換レートは必然的に下がる。政権には、これまたIMFが義務付ける資本管理の問題解決を筆頭とする必要とされる改革を断行する覚悟の証を示すことで、海外に向けてポジティブなメッセージを発信することが求められている」とダヘア氏は付け加える。

「新閣僚たちの困難に立ち向かい必要な手段を講じるという覚悟に期待している」と語るのは国連在レバノン人道調整官のナジャット・ラシュディ氏だ。

「重要な課題は政治によって解決されるため、純正なる人道的援助を用いて人々を救うことが国際社会の努めだ。危機解決には構造的な改革が必須である」とラシュディ氏は付け加えた。

一部のレバノンメディアは「首都が同様に崩壊状態に陥る危機に至ることを米政権に恐れさせたカブール空港の惨事」無しに政権発足はなし得なかったとみているようだ。

EU欧州連合は「経済・金融・社会的危機対策への鍵である」として新政権発足を歓迎している。

エジプト外務省は「新政権が憲法に基づく権力を用いてその目標を達成し、レバノンを危機から救う機会を与える」ことを求めた。

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