ウィーン:国連の核監視機関の事務局長は金曜日、イランの核関連施設に設置してあったカメラのデータ記憶装置の紛失について、「疑念」を抱いていると述べた。
国際原子力機関(IAEA)とイランは水曜日、テヘラン西部カラジにある「TESA」の核関連施設に設置されているカメラを交換することで合意に達した。カメラは6月のイスラエルによる攻撃で損傷していたもので、イランはこの攻撃についてイスラエルを非難している。
しかし、金曜日の記者会見で、IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は、カメラの1つからデータ記憶装置がなくなっている問題については理解できないと述べた。
6月の攻撃で消失した可能性について聞かれ、グロッシ事務局長はこう答えた。「それについては疑問があります。そのため、『どこにあるのか?』と聞いているのです。消えてしまうというのは非常に奇妙なことなので、彼らが答えを出してくれることを期待しています」とグロッシ事務局長は述べた。
一方、実効性を失ってしまった2015年のイランと世界各国との間の核合意の再建に向けた協議は、イランの交渉担当者が協議のために帰国することとなり、金曜日に一時中断された。今回の協議では、イランからの新たな要求をめぐり緊迫した状態が見られた。
欧州の外交官らは、これは「残念な中断」であり、ウィーンに集まった交渉担当者らは「急速に終わりに近づいている」と述べた。しかし、彼らはこれまでのところ、「いくつかの技術的な進展」を指摘している。
議長役を務める欧州連合(EU)外交官のエンリケ・モラ氏もこれに同調し、次のように述べた。「2021年中にそうなる(再開する)ことを望んでいます」
中国側の交渉責任者である王群氏は、「できれば年内に協議を再開したい」と述べた。
同氏は、「まだ日付は確定していません」と述べた。議長役のEU外交官のエンリケ・モラ氏は、「すぐに再開します」と述べた。
議長役を務める欧州連合(EU)外交官のエンリケ・モラ氏もこれに同調し、次のように述べた。「2021年中にそうなる(再開する)ことを望んでいます」
2015年の核合意(「包括的共同行動計画(JCPOA)」)の米国以外の締結国により行われている現在のウィーン協議は、イランに新たな強硬派政権が誕生したことにより5カ月以上の空白を経て、11月29日に開始した。先週は、代表団が自国政府と協議するために帰国したことにより、短期間の休会があった。
米国はトランプ大統領(当時)の下、2018年に合意から離脱したため、現在進行中の協議には間接的に参加している。バイデン大統領は、合意への復帰の意向を示している。
イラン核合意は、経済制裁を緩和する見返りとして、イランの核開発を抑制することを意図していた。イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国が現在もこの合意に参加している。
米国が合意からの離脱とイランへの制裁再発動を決定した後、イランは合意で認められた閾値を大幅に超えるウラン濃縮を行い、核開発を再び活発化させた。イランはまた、国連の核監視機関が核関連施設に立ち入ることを制限しており、イランが見えないところで何をしているのか、との懸念が高まっている。
欧州3カ国の外交官は、今回の協議におけるイランの姿勢に不満を表明しており、今週初めには、「現在のイランの姿勢はJCPOAと矛盾する、あるいはそれを逸脱しています。これに対処するために我々は貴重な時間を失っています」と述べている。
彼らは、「イランが核開発を早めていることを踏まえ、迅速な進展がなければ、JCPOAはごく近いうちに空虚な殻と化すでしょう」と警告している。
ただ、イランと国際原子力機関(IAEA)が水曜日、遠心分離機の部品を製造しているイランの施設で破損したカメラを交換することで合意に達し、関連する問題に進展の兆しがみられた。しかし、IAEAがアクセスできる映像は制限されたままだ。
AP/AFP