ラバト:モロッコのムハンマド6世国王は15日、西サハラ紛争の作戦指揮をとる著名な将官を軍における自身の代理として任命した。
モロッコ軍の最高司令官であるムハンマド国王が「ベルキール・エルファルーク中将を王立軍監察総監に任命した」と国営MAPニュースが報じた。
その中で、エルファルーク中将は「軍司令官としての能力と、担当した多くの作戦で重大な責任を果たしてきた点が評価され、今回の任命を受けた」と説明されている。
そして、エルファルーク中将は引き続き、西サハラを含む地域における南方司令官としての職務も担うとしている。
モロッコは旧スペイン植民地の西サハラを自らの不可分の領土とみなしているが、モロッコと対立関係にあるアルジェリアの支援を受けたポリサリオ戦線は独立に向けた住民投票の実施を求めている。
11月に隣国モーリタニアに続くゲルゲラト地域の幹線道路を独立派が封鎖したことを受けて緊張が高まり、1991年の停戦合意に反するという主張が行われた。
エルファルーク中将が作戦指揮を執り、道路の封鎖解除を目的として軍を派遣した。
これに対し、ポリサリオ戦線は国連の仲介による停戦の終了を宣言。以降、両者は断続的に交戦を続けている。
西サハラ問題はモロッコとアルジェリアの間の最大の対立要因となっている。アルジェリアは先月、隣国モロッコによる「敵対行為」を挙げて国交を断絶した。モロッコ側はアルジェリアの主張を退けている。
モロッコは西サハラの8割を実効支配しており、自治権を付与する案を提示しているが、領有権は強く主張している。
米国のトランプ大統領は任期の終わりごろ、モロッコがイスラエルと国交正常化したことの見返りに、西サハラに対する主権を承認した。
西サハラは砂漠の過疎地だが、豊富な鉱物資源と豊かな漁場の広がる長い大西洋沿岸部を有している。
軍事情報サイト「グローバル・ファイヤーパワー」によれば、モロッコ軍には現役で31万人、予備役で15万人の兵士がいる。
モロッコ軍は、2020年に10年間延長された条約のもと、米軍と緊密に連携している。
6月には、モロッコで米軍との合同軍事演習「アフリカン・ライオン」が実施された。
AFP