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ベイルート爆発事件の判事が元大臣の逮捕状を発行

2020年8月、ベイルート港の爆発で破壊された穀物サイロの前には、正義を求める記念碑が建っている。(AP写真)
2020年8月、ベイルート港の爆発で破壊された穀物サイロの前には、正義を求める記念碑が建っている。(AP写真)
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17 Sep 2021 02:09:26 GMT9
17 Sep 2021 02:09:26 GMT9
  • タレク・ビタール判事は、ユセフ・フェニアノス前公共事業・運輸大臣が尋問に出頭しなかったため、同大臣の逮捕状を発行した。
  • ビタール判事は、他の尋問リストに挙がっている治安当局者に加え、ノハッド・マクヌーク氏、ガジ・ゼイター氏、アリ・ハッサン・カリル氏3人の国会議員の免責を解除するよう国会に要求している。

ナジャ・フーサリ

ベイルート:2020年8月のベイルート港爆発事件の捜査を指揮している判事は、尋問に出頭しなかったユセフ・フェニアノス前公共事業・運輸大臣に対し木曜日、逮捕状を発行。

タレク・ビタール判事は、港の爆発事故当時首相だったハッサン・ディアブ元首相にも召喚状を発行した。また、他の尋問リストに挙がっている治安当局者に加え、ノハッド・マクヌーク氏、ガジ・ゼイター氏、アリ・ハッサン・カリル氏3人の国会議員の免責を解除するよう国会に要求している。

ディアブ氏は、今月初めにナジーブ・ミカティ首相が就任した際、暫定首相を退任して国外に出ていた。ディアブ氏が出国したというニュースはソーシャルメディアを賑わせ、9月20日に予定されている尋問には戻ってこないのではないかとの憶測が広がった。ディアブ氏は、8月26日に発行されたビタール氏の召喚状を受け取る前に、2年間会っていなかった子供たちを訪ねるために米国に渡航したと報じられている。

司法関係者によると、差別的な法務長官と言われるハッサン・アル・クーリ判事(捜査を担当する司法検察官)は、ディアブ氏に対する召喚状発行のために内務省治安部隊総局に照会した。

ビタール氏は9月14日にもディアブ氏に対する召喚状を発行しており、今回はベイルートにある彼の居住地の住所も含まれている。もしディアブ氏が月曜日の朝までに戻ってこなければ、裁判官は彼の逮捕状を発行する権利を持つことになる。

政党「マラダ運動」に所属しているが、現在国会議員ではないため免責されていないフェニアノス氏の逮捕状を受けて、マラダ運動党首であるスレイマン・フランギエ氏は次のようにツイートしている。「我々は、自己防衛の権利を持つフェニアノス氏を支持することを改めて表明する」

ビタール氏は、政治的なあらゆる方面からの圧力に直面している。ヒズボラのハッサン・ナスラッラー事務総長は、判事を「政治的なゲームをしている」と非難した。ビタール判事の前任者であるファディ・ソウワン判事は、判事が災害の過失を問われた元大臣のうち2人が裁判所に彼の解任を要求、これが認められたため、政治的圧力を受けて職務を解かれた。

ディアブ氏に対する召喚状は、新政府がどれだけ真剣に調査に取り組んでいるかを示すものだと多くの人が考えている。もし、ディアブ氏がビタール氏からの質問を逃れ続け、新政府の議会が元閣僚の免責を解除しないのであれば、爆発事故の犠牲者とその家族に正義がもたらされる可能性はほとんどないと思われる。

これらの家族は、木曜日に再び街頭に立ち、政治体制が司法の捜査に干渉しており、それを止めるよう要求。彼らは、ベイルートの司法宮殿前の道路を封鎖し、加害者の責任を追及する必要性を訴えた。

犠牲者の母親たちは、子供たちの写真や、レバノンの経済危機の中で人々がいかに苦しんでいるかを語ったミカティ氏の感情的なスピーチに言及した横断幕を掲げていた。そこには「苦しんでいる母親たちのことを考えて目が潤んだのなら、一緒に立ち上がりましょう。ビタール判事が私たちに正義をもたらすのを助けてください」と書かれていた。

他の参加者達も「私たちは自分たちの権利を求めます。子供たちの血を無駄にすることはありません」といった横断幕を掲げていた。

数千人が負傷し、いくつかの住宅地が完全に破壊されたこの爆発で、215人の死者の1人、弟のジョー氏を失ったウィリアム・ヌーン氏は、アラブニュースに次のように語っている。「ディアブ氏が国を離れたのは、彼が正義から逃げているからです。彼は、どの政党が硝酸アンモニウムを爆発させたかを知っています。爆発の前に(硝酸アンモニウムが保管されているという情報を得て)港に行くのを引き止めたのと同じ政党が、彼の出国を助けています」

犠牲者の家族は、共同声明でこう述べている。「私たちの味方であるはずの検察が、権限もないのに容疑者を釈放したり、捜査情報をリークし始めたりと、不審な行動をとっている」

「私たちに政治を突きつけるのはやめてほしい。我々はあなた方の政策を理解していない。我々が理解しているのは、あなた方が我々を殺したということだ。ベイルート港の爆発は意図的なものだった。誰かに責任はあり、その人物たちは責任を負うべきだ」と声明は続けた。

地元メディアはフェニアノス氏の逮捕状に夢中になっていたため、イラン製ディーゼル燃料を積んだシリアの車両がレバノン領内に入ったというニュースはほとんど触れられなかった。

約80台のタンクローリーと推定される車列は、ヘルメル郊外にあるヒズボラの違法なルートを通って入ってきた。バールベックに向かう道にはヒズボラの信奉者たちが集まり、貨物は米国の制裁対象となっている「アマナ・フュエル社」のタンクに積み込まれたという。

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