
エルサレム:イタリアのロープウェー事故で唯一の生存者となった6歳の少年は、祖父に連れられてイスラエルに滞在している。祖父は、イスラエルに来ることが孫のためには良い選択だと話している。
祖父は、イタリアにいる少年の家族の意向に反して、彼をイスラエルに連れてきたのだという。
5月にイタリア北部で起きたロープウェーの落下事故では、ただ一人生き残ったエイタン・ビラン君を除く、彼の両親と弟を含む14人の乗客が死亡した。現在、両親を亡くしたエイタン君の親権が争われている状況だ。
利用客のうちエイタン・ビラン君を除く14人の全員が死亡した。この中にはエイタン君の両親と弟も含まれている。
エイタン君は事故後、北イタリアに住む父方の叔母、アヤ・ビランさんの家に身を寄せた。アヤさんによると、1週間前に少年の母方の祖父、シュムエル・ペレグさんが前から予定されていたという家族旅行にエイタン君を連れ出し、そのまま戻ってこなかったという。
イタリアのメディアは、ペレグさんがエイタン君を連れて近くの国境を越えてスイスに行き、そこからプライベートジェットでテルアビブに向かったと報じている。
イスラエルのテレビ局、チャンネル12のインタビューで、イタリア当局が彼の行動を誘拐と呼んでいると聞かされたペレグさんは「孫のためになることを、私自身の利益よりも優先して行動したのです」と反論した。
「ですから私は、孫を助け出してイスラエルに連れて来ることにしたのです」とペレグさんは17日に放送されたインタビューで語った。「私はKIAの車を運転し、エイタンと一緒に移動しました。スイスの大使館でパスポートのチェックを受け、承認されました。私たちは完全に合法的な方法でイスラエルに向かったのです。」
イタリアにいる少年の家族は、テルアビブの家庭裁判所にエイタン君の送還を求める申し立てを行った。イスラエルの弁護士によると、裁判所は9月29日に審理を行うという。判決は6週間以内に下されることになっている。
ある法曹関係者によると、北イタリアの都市パヴィアの検察当局が誘拐事件の疑いで捜査を開始したという。検察当局はこの件に関してコメントを控えている。
イスラエルの警察は、未成年者が誘拐されて飛行機でイスラエルに送られたとの通報を受け、身元不明の58歳の男性を事件に関与した疑いで取り調べたと発表している。
ペレグさんは、イタリアの裁判所の判断を待たなかった理由を聞かれ、「率直に申し上げて、イタリアの司法制度が信頼できないのです」と答えている。
これよりも先に、ペレグさんの家族は、広報会社を通じて出した声明の中で、在イスラエルのイタリア領事がペレグさんが滞在する家を訪れエイタン君と面会したことを明らかにしている。
声明によると、領事は「関係する家族の間で妥協点を見つけられるよう外務省も努力している」と伝えたとのことである。
イタリア・マッジョーレ湖畔のストレーザと近くのモッタローネ山を結ぶロープウェーが突然落下した原因については、治安判事による調査が現在も続けられている。
ロイター