• 全国的規模に広がっている国の支配階級に対する反乱は、10月17日に始まって以来、非常に平和なものにとどまってきた。
• しかし、新政府を作るための政治的な行き詰まりが長期化するにつれ、熱が高まってきている。

AP　ベイルート

レバノン赤十字社は27日、レバノン大統領の支持者と非支持者の間で夜通し衝突が続き、数十人がけがをし、そのうちのほとんどはレバノン国内の市や町で発生した殴り合いと投石によるものであると発表した。

全国的規模に広がっている国の支配階級に対する反乱は、10月17日に始まって以来、非常に平和的なものにとどまってきた。しかし、新政府を作るための政治的な行き詰まりが長期化するにつれ、熱が高まってきている。ミシェル・ アウン大統領は、1か月前の内閣総辞職後、新しい首相を選ぶための議員連合との協議をまだ行っていない。

辞任するサード・ハリリ首相は、アウン大統領とヒズボラが応援する新内閣を率いる候補者だが、首相への立候補を撤回し、40日間の抗議活動を受けて、この政治的難局に対する解決の道筋がつくことを望んでいると述べた。抗議活動参加者は街に出て、道路の封鎖やその他の戦術により、新政府に対する要求に対応させようと政治家に圧力をかけている。

行き詰まりの長期化が、宗派間の対立や政治的対立を呼び起こしている。同国の1975〜1990年の内戦時代の最前線にあたる地域で乱闘も発生した。シーア派の主要2グループである武装組織ヒズボラ、ナビーフ・ビッリー国民会議議長のアマルの支持者がベイルートのリングロードで抗議活動参加者を攻撃した後の日曜日の夜、最初の暴動が始まった。この大通りは過去には、市内西部のイスラム教徒が支配的な地域と、市内東部のキリスト教徒の地域を結んでいた。

26日夜、シーア派の郊外都市チヤと隣接するキリスト教徒の地域アイン・ルマネの間で非常に激しい衝突が複数起きた。ヒズボラの支持者と、右派のキリスト教レバノン民兵を支持する敵対グループの間で投石が行われた。1975年4月のアイン・ルマネでの発砲は、15年に及び、15万人近くの命が失われた内戦の引き金を引いた。

また26日夜、アウン大統領の支持者と非支持者は、レバノンで2番目に大きい北部の都市トリポリで殴り合いと投石を行い、24人が負傷、7人が病院に運ばれた。

赤十字社の救急医療グループによると、山沿いの町ビクファヤでは、アウン大統領の支持者と、キリスト教レバノンファランヘ党の支持者による乱闘と投石の後、10人が負傷し、5人が入院した。この暴動は、アウン大統領の支持者を運ぶ数十もの車列が街に入ってきた後に起こった。この町は、昔からファランヘ党が拠点としている。

「昨日起こったことは機動力による暴動であり、意図的に我が党の支持者を刺激しようとしたものです」と、ファランヘ党の指導者、サミー・ジェマイエル議員は語る。「我が党の支持者の改革を攻撃しようとする試みがあると、支持者に警告を行っています。これは平和的に行われるべきです」

ヒズボラとアマルの支持者は、北東部の都市バールベックと南部の港湾都市ティールの抗議活動参加者も攻撃した。

衝突が発生した地域には警察と軍が配備され、暴動発生から数時間後に現場を鎮圧した。

新しい税金と厳しい財政危機によって火がついた大規模な抗議活動により、ハリリ首相は10月29日に辞任した。首相の辞任によって抗議活動参加者の主な要求は満たされたが、経済および政治の問題を解決する道は見通せず、国の先行きは不透明なものとなった。

ハリリ首相は技術系官僚による政府を実現することを主張していたが、ヒズボラを含む彼の対抗勢力は、専門家と政治家の両方による内閣を望んでいた。

数週間にわたり、レバノンの治安部隊は、反政府抗議活動参加者を守るのに苦労してきた。これに対して同様に激しい抗議活動が行われているイラクでは、警官がこの1か月で340人以上の市民を殺害している。