
レイ・ハナニア
シカゴ:イリノイ州選出のマリー・ニューマン下院議員は日曜日、有権者に対し、パレスチナ人の権利に対する米国の支援を強化し、イスラエルによる過剰な資金要求を抑制するため、有権者らは「変化を起すことができる」と語った。
ニューマン氏は、先週イスラエルが防衛システム「アイアンドーム」用の短距離ミサイルを購入するため、米国が10億ドルを提供する法案に反対した9人の下院議員のうちの1人である。
シカゴ郊外のブリッジビューにある「パレスチナ・アメリカン・クラブ」で講演したニューマン氏は、有権者が変化をもたらす手段として、上院議員100人に何億ドルもの献金を行っている献金提供者に働きかけを行うよう呼び掛けた。
ニューマン氏は「上院議員との対話を始めましょう。連邦議会では、そして下院では、自分たちが扱える範囲の予算しか持っていないことを忘れてはいけません。我々(連邦議員)は、予算に対して賛成か反対かを言うことしかできません」と説明し、下院は予算面を、上院と政権は政策面を担当していると述べ、このように語った。
「だからこそ、『アイアンドーム』の採決が重要なのではないでしょうか。これは『イスラエル、もう10億円を提供することは無理だ』と言うことなのです。 私たちがすべきことは、実際に政策を決定する人たちと話をすることです。」
連邦議会は9月23日、イスラエルの「アイアンドーム」に関する採決を、より大きな問題であり、現在膠着状態となっている歳出法案に関する採決から切り離すことを決定した。米国はすでに、2016年に当時のバラク・オバマ大統領が署名した協定に基づき、イスラエルに対しミサイル防衛システムのため毎年5億ドルを提供している。
アラブ系米国人らは、連邦議会が「アイアンドーム」に対する資金提供に関する採決を、党派内の政治的論争で停滞したままの大規模な歳出法案から削除したことを非難した。また、この歳出法案の可決は木曜日まで待たなければならない可能性がある。
今回ニューマン氏の講演を共催したシカゴランドのアメリカ・アラブ商工会議所のハッサン・ニジェム会長は「米国民の緊急かつ重要な要望に応えるための法案を、より大規模な歳出法案の中で通過させる代わりに、連邦議会は米国民よりもイスラエルを優先させ、イスラエルが米国納税者のように、待ち望み苦しまないですむよう、『アイアンドーム』の法案を分離させたのです」と述べた。
「420人の連邦議員が、外国であるイスラエルに10億ドルもの資金を提供するため、こんなに早く賛成票を投じるのは恥ずべきことです。しかし、彼らは米国民がこの困難を克服するのを支援する時間も勇気もないようです。」
ニューマン氏は、「アイアンドーム」の予算に反対票を投じた9人の議員のうちの1人である。イスラエルのギラッド・エルダン駐米国連大使は月曜日、「アイアンドーム」に反対票を投じた9名の議員を、「無知か反ユダヤ主義者だ」だと直ちに非難した。
ニューマン氏は、エルダン大使からの個人攻撃に触れることなく、米国市民が自分たちの要望に応えてもらうため、政府に再度支出に対し優先順位をつけてもらうにはどうしたらいいか、という点に焦点を当てた。
ニューマン氏は、活動家らは、これまで失敗してきた中東和平を実現するための米国の政策決定に責任を有する上院議員に対し、何億ドルも献金をしている法人や企業、個人に焦点を当てる必要があると述べた。
そして、ニューマン氏はこのように語った。「上院議員の献金者への訴えを始めなければなりません。献金者らに、これが重要な人道上の問題であるということを認識してもらわなければならないのです。そしてパレスチナが安全で自由に移動でき、健全で繁栄するようになれば、この地域の誰もがより安全になり、誰もがより幸せになる、ということにも気づいてもらうのです。」
ニューマン氏は、アラブ系及びイスラム系米国人とアントニー・ブリンケン国務長官の職員とのコミュニケーション強化にも取り組んでおり、第3下院議員選挙区に、「アラブ系・イスラム系米国人協議会」を設立することを発表した。
「我々は上院議員と対話を始めなければなりませんし、バイデン政権とも対話を始めなければなりません。」
ニューマン氏は、ヨルダン川西岸地区の占領地、東エルサレムのシェイク・ジャラー地区で続いている人権上の「危機」についても言及した。イスラエルが、キリスト教徒やイスラム教徒の市民から家や財産を奪い、ユダヤ人入植者組織に与えている。
「私は、これは住宅窃盗であると、はっきりと申し上げたいのです。自分の住宅が盗まれ、窃盗の被害者になることを『住宅窃盗』といいます。ここシカゴではこれは正しいことではありません。パレスチナでも正しいことではありませんし、モントリオールでも正しいことではありません。香港でもそうです」とニューマン氏は語り、このように加えた。
「そこで私たちは、書簡をまとめました。通常であれば書簡には7、8、9人の連邦議員が署名するものですが、私のチームは素晴らしく、私は多くの働きかけを行い、粘り強く活動しようと決めたので、25人の連邦議員に署名してもらいました。」
ニューマン氏は、自身の主張の大半は、第3下院議員議会区の要望を反映したものであり、約2年に及ぶ新型コロナウイルスのパンデミックで苦境に立たされた家族に経済的・教育的支援を提供するインフラ投資法案を支持していることを説明した。
ニューマン氏は、「道路や橋は、多くの雇用を創出します。インフラ投資法案の人的インフラの面では、労働者に対し、有給休暇、包括的な育児支援を提供するとともに、若者や中高年、高齢者が学校に戻り教育を受けたい場合には、2年間のコミュニティカレッジを無料で通うことができるようになります」と語った。
下院で膠着状態が続いている歳出法案によると、中小企業の税金控除額を増やし、5%から10%の減税を行うとなっている。また、ニューマン氏は、今回の歳出法案では、環境改善のために国のインフラを整備し、経済的・健康的な困難に直面している米国民を支援するための資金が提供されると語った。
当選1期目の下院議員であるニューマン氏は、2020年11月に行われた米国連邦議会選挙において、第3下院議員選挙区の代表に選出された。同地区は1975年以来、民主党が圧倒的な支持を得ている。『ニューヨーク・タイムズ紙』の調査によると、全米の50の下院議員選挙区の中で、同地区はアラブ系米国人の人口の数が8番目に多く、パレスチナ系米国人の有権者が最も集中している選挙区とされている。