
クレーター地区の住民に自宅待機の要請
アラブニュース
ジェッダ:2日、イエメン南部の都市アデンで、分離独立派の勢力争いによる銃撃戦が発生し、少なくとも4人の戦闘員が死亡した。
分離独立派の南部暫定評議会は、アデンの中心部、クレーター地区の住民に自宅待機を要請し、秩序回復のために装甲車を展開した。
イエメン政府の本部や中央銀行などがあるクレーター地区では、終日激しい銃撃戦が繰り広げられた。国際的に承認された政府と南部暫定評議会はイエメン南部の支配権をめぐって対立しており、アデンはその中心地となっている。
南部暫定評議会のセキュリティーベルト隊は2日、「治安部隊とテロ対策部隊が一部の無法者を排除するため、クレーター地区の住民には今から数時間、自宅待機を要請する」と呼びかけた。住民によると、その後、装甲車がクレーター地区に入ったという。
イエメンのマイーン・アブドルマリク・サイード首相は先週、サウジアラビアからアデンに戻り、他の閣僚とともにクレーター地区の大統領宮殿に滞在している。アブドラッボ・マンスール・ハーディ大統領はサウジアラビアのリヤドに拠点を置いている。
イエメン南部は政府と南部暫定評議会の権力闘争で麻痺状態に陥っており、ここ数か月、はびこる貧困や公共サービスの低下を理由にした抗議行動が続いている。イエメンの通貨イエメン・リアルの価値は急落している。イエメン政府は、通貨投機筋に加え、イエメン北部の大半を支配し、イランの支援を受けるフーシ派による「影の経済」が通貨価値急落の原因としている。
イエメン政府と南部暫定評議会の対立を解消するために、サウジアラビアは南部暫定評議会が加わった新内閣を含む合意を仲介したが、双方がアデンやその他の南部地域へ兵力を再配置する計画は実行に移されていない。
アラブ連合軍は2015年にフーシ派に対抗してイエメンに介入した。しかし、長引く紛争は何万人もの死者を出し、イエメンを飢餓の瀬戸際に追いやっている。
イエメン北部では、戦略的に重要な都市マアリブ周辺で行われている戦闘が2日にも続いた。
フーシ派は2月、イエメンの石油埋蔵量の大半を占めるマアリブを掌握するために攻勢を開始したが、サウジアラビア空軍の援護を受けた政府軍と親政府系部族がフーシ派の攻勢を退けている。
2日の早朝、サウジアラビアの防空部隊が爆発物を搭載したフーシ派の無人機を撃墜した。落下した無人機の破片で、サウジアラビア南部ジーザーン地域の家屋や商店が被害を受けた。
ジーザーンの民間防衛局の報道官、モハメド・アル・ガムディ大佐は、「無人機の破片はウフド・アル・マサラの住宅地の各所に落下したが、死傷者は出なかった」と述べた。