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JICAのヨルダン事務所長、中東の「平和と安定」を願う

JICAヨルダン事務所の宮原千絵所長、アンマン事務所にて。(アラブニュース・ジャパン撮影)
JICAヨルダン事務所の宮原千絵所長、アンマン事務所にて。(アラブニュース・ジャパン撮影)
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13 Jan 2022 02:01:11 GMT9
13 Jan 2022 02:01:11 GMT9

ダイアナ・ファラー

ドバイ:国際協力機構(JICA)は、エジプト、イラク、パレスチナ、モロッコ、チュニジア、イエメン、シリア、ヨルダンに事務所を構え、中東での強い存在感を有している。

アラブニュース・ジャパンの独占取材に応じたJICAヨルダン事務所の宮原千絵所長は、1999年に同機構に就職し、主に中東諸国を担当したと述べた。

ヨルダンに初めて赴任したのは2005-08年で、その後JICA本部に戻って11年間勤務した後に再びこのアラブの国に戻った。

「本部にいた11年間のうち4年間は、中東部で様々な立場で仕事をしていました」と、所長は述べた。「ある意味、この地域、特にヨルダンに戻ってきたのはとても自然なことです。最初の赴任時がとても面白かったので、人事部に戻って来られないか、お願いしました」

宮原氏は、この地域で比較的安定している国の1つがヨルダンであり、近隣諸国と「良好な外交関係」を築いていると語った。

「ヨルダン事務所は、最初の赴任時に地域事務所とは呼んでいませんでしたが、多くの広域専門家が配属され、これらの専門家は近隣諸国を助けました」と所長は述べ、次のように付け加えた。「私が当時一緒に仕事をした広域専門家は水、環境、保健分野の人たちでした。これらの専門家は、ヨルダンだけでなく、パレスチナやシリア、エジプトの人々も支援しました」

水分野に関して宮原氏は、ヨルダンの水の利用には多くの課題があると説明した。

「我々は、人々がより効果的な方法で水を得られるよう、送排水網を改善しています」と、宮原氏は語った。「特に2011年以降は、ヨルダン人とシリア難民の間で水の配給が平等になるように意識してきました。そのため、難民の数が多い北部地域に重点を置いてきました」

宮原氏はアラブニュース・ジャパンに対し、JICAは、アンマン最大の水の供給源の1つであるザイ浄水場も支援しており、ある意味、アンマンに住むパレスチナやシリアの難民に対しても良質な水を供給するのに役立っていると宮原氏はアラブ・ニュース・ジャパンに語った。

「シリア難民に関しては、我々は水分野と廃棄物管理、医療・保健の分野などで支援を行ってきました」と、宮原氏は付け加えた。

JICAの同所長は、ヨルダン南部において、家族計画やジェンダー・エンパワーメントに関する支援も提供したことがあると説明した。「我々は、当時の支援手法を用いて、シリア難民を支援しました。このように我々は保健分野でも支援を行いました」と、宮原氏は述べた。

ヨルダンのシリア難民キャンプ(ザータリキャンプ)では、JICAの訓練を受けた指導員がシリア難民を技術指導し、彼らがシリアに帰れるようになった時に、仕事を見つけられるよう訓練を行った。また、このキャンプで活動するJICAボランティアグループもいた。

「コロナの前、キャンプでは、様々なNGOと共に活動する4人のボランティアが働いていていました」と、宮原氏は語った。「日本人ボランティアが若い学生に英語を教えることもあれば、サッカーや体操などのスポーツを教えたり一緒にやったりすることもあります」

JICAは、ヨルダンやレバノンのシリア難民が日本での修士課程プログラムに参加する機会も提供している。

このプログラムは、アラビア語で「橋」を意味する「ジスル」プログラムと名付けられている。

宮原氏は、この地域での自分の活動が安定と平和の達成を後押しすることになればと願っていると語った。「長い年月がかかることもあるので、我慢強く取り組まなければなりません」と、宮原氏は付け加えた。

また宮原氏は、日本は中東における中立国であり、同地域内の関係改善に役立っていると述べた。

新型コロナがJICAのヨルダンでの活動に与える影響については、宮原氏はアラブニュース・ジャパンに対し、パンデミックにより2020年3月にヨルダンのボランティア全員が安全対策と国境封鎖により、日本への帰国を余儀なくされたと述べた。

「今までのところ、帰ってきたのは1人だけです。新しいボランティアを含め、今は合計で4、5人のボランティアがいます」と、宮原氏は語った。

宮原氏がこの地域に興味を持つようになったのは、子どもの頃、エジプトの王朝時代の歴史の本を読んだことがきっかけだった。大学時代には1年間エジプトに留学した。その後、アメリカの大学院を卒業すると国連に入り、ソマリアやアフガニスタン、イラクでの任務などを担当した。

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