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アンカラ、米国製ジェット戦闘機による空軍の強化を期待

トルコは米国の警告を無視してS-400ミサイル防衛システムを購入した。これはロシアが米国や西ヨーロッパの航空機を標的にできるようになると、NATOが懸念していた取引である。(ファイル/AFP)
トルコは米国の警告を無視してS-400ミサイル防衛システムを購入した。これはロシアが米国や西ヨーロッパの航空機を標的にできるようになると、NATOが懸念していた取引である。(ファイル/AFP)
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10 Oct 2021 03:10:45 GMT9
10 Oct 2021 03:10:45 GMT9
  • F-35購入における問題、そしてロシアのミサイル防衛システムの取引にもかかわらず、トルコに米国よりの動き
  • 「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」発動後の進展には外交が鍵を握るとアナリストが指摘

メネクセ・トキャイ

アンカラ:ジョー・バイデン政権との関係改善に向けた協議が進む中、トルコは米国に対し、ロッキード・マーティン社のF-16戦闘機40機と既存戦闘機の近代化キット80台の購入を急遽要請したと報じられた。

この要請は米国務省の承認を経た後、米議会で承認されることになっているが、アンカラはさらなるロビー活動を必要とするだろう。

ワシントンD.C.を拠点とする法律事務所アーノルド・ポーター法律事務所は最近、トルコによるF-35戦闘機開発プログラムへの参加をめぐる、「戦略的助言および法律コンサルタントサービス」としてトルコと結んでいた150万ドルのロビー活動契約を1年間延長した。

トルコは、ロシアのS-400ミサイル防衛システムを購入した後、2019年に「F-35プログラム」から外されたが、その時点ですでに100機以上のジェット機を発注していたため、アンカラには約14億ドルのコストがかかっていた。

トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、9月29日にロシアのウラジーミル・プーチン大統領と会談、2020年12月に米国がトルコの国防産業総局とその局長、従業員3名をブラックリストに載せ制裁を行っている中、さらにS-400の第2陣の購入計画を進めると述べた。

アンカラは、航空機エンジンや軍用機の共同生産など、ロシアとの新たな防衛協力の道を模索していると報じられている。

イスタンブールに拠点を置くシンクタンクEDAMの安全保障・防衛プログラムのアナリストであるシネ・オズカラサヒン氏は、F-35を失い、武器産業に対する米国の制裁措置「対敵対者制裁措置法」の対象国になった後の同国が示した今回の要請は、ある程度の逃げ道になることは間違いないと考えている。

「現在、トルコは、地政学的な競合相手に対して軍事的優位性を保つために不可欠な、『第5世代ジェット戦闘機』を保有していません。今のところ、トルコ空軍には他に実行可能な対抗手段のオプションがないのです」とオズカラサヒン氏はアラブニュースに語っている。

「現在の技術的なノウハウとCONOPS(作戦概念)を蓄積しているF-16バイパーの近代化パッケージは、ロシアの代替機であるSu35よりもはるかに優れた選択肢でしょう。その場しのぎのSu35への切り替えには、訓練やインフラ、さらには軍事ドクトリンの大幅な変更が必要になります。ロシアの航空機の設計思想は、欧米の戦術航空のそれとは大きく異なるからです」

トルコの戦闘機は、主に第4世代の米国製F-16ファイティングファルコンと旧式のF-4ファントムIIで構成されている。

2月、トルコの調達・防衛当局は、既存のF-16(ブロック30)の構造寿命を8,000飛行時間から12,000飛行時間に延長する新たな計画をスタートさせた。

専門家の間では、このアップグレード計画は、トルコが計画中の国産戦闘機が運用開始されるまでの間、F-16を引き続き主力機として維持したいということの表れだと考えられている。

オズカラサヒン氏は、トルコの国家戦闘機の就航は2030年代になると予想されており、ベースラインの最初のバリエーションはおそらく完全な第5世代ジェット戦闘機の基準に到達せず、これはトルコの空戦能力に大きなギャップをもたらす要因となるだろうと述べる。

「現代の航空戦のトレンドに追いつくために、トルコは、まずは当面の応急処置的な解決策と、第5世代の能力を獲得するための実現可能な計画を早急に必要としています。F-16の購入は、少なくとも最初の目的を達成することができるでしょう」と述べている。

オズカラサヒン氏は、ワシントンがこの要請をトルコに対する政治的交渉手段として利用する可能性があると考えている。

「とはいえ、ロッキード・マーティンのような防衛産業界の巨人の助けを借りれば、トルコは議会から条件付きの承認を得ることができるでしょう。共和党も民主党もトルコに対しては厳しい姿勢をとっているので、外交的な能力が鍵となると思います」と語る。

もしトルコが第5世代戦闘機を導入するまでの間、ロシアのSu-35戦闘機を選択した場合、バイデン政権との関係は悪化、さらなる米国の制裁を受けるリスクがあると専門家は見ている。

ワシントン研究所トルコ・プログラムのソネル・カガプタイ所長は、F-16戦闘機と近代化キットをワシントンに要請するトルコの最新の動きは、米国の誠意と友情を試すためのものだと考えている。

「これは、アメリカの意思決定者に対して、ロシアからのS-400ミサイル防衛システムの購入を理由にトルコをF-35戦闘機プログラムから外したが、F-16をめぐる政策はどうなのか、という問いかけでもあるのでしょう。本当の問題は、二国間の関係が軌道に乗るかどうかです」とアラブニュースに語っている。

「最近の、トルコとアメリカの関係の問題にもかかわらず、意思決定者やトルコの軍事エリートの中には、両国間の軍事的な関係の全てを手放したくないと思っている人がまだ少数います。そのため、彼らはこの関係に新たな側面を加えようとしており、このような方法で新たな絆、新たな橋を築こうとしているのでしょう」とカガプタイ氏は付け加えた。

バイデン氏とエルドアン氏は10月下旬にローマで会談する予定。

9月23日、国連総会に合わせてニューヨークで行われたトルコ人ジャーナリストとのインタビューの中で、エルドアン氏は、ワシントンはトルコにF-35を納入するか、あるいは払い戻しをするべきだと述べた。

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