
ナジャ・フーサリ
ベイルート:ベイルート港爆発事件の捜査を指揮していた判事が2週間で2度目となる捜査停止を余儀なくなされた。
10月12日、タレク・ビター判事はレバノン破棄院民事部から、元閣僚で現職国会議員のアリ・ハッサン・カリル、ガジ・ズアイター両被告が申請した新たな解任事案を通知された。
ビター氏は12日の尋問に出頭しなかったレバノン元財務相カリル氏の逮捕状を発付した5分後に電話を受けた。現在、カリル氏に免責特権はなく、逮捕される可能性が存在する。
壊滅的な被害をもたらしたこの爆発事故で「死傷者数百人を出した怠慢による過失」の容疑がかけられている政治家たちは、10月19日以前の尋問を回避するためにビター氏を捜査から外すことを何度も要求している。同日に国会が再召集されると、免責特権が復活する。
11日、カリル氏とズアイター氏は破棄院第五民事部にビター氏の解任要請を行ったが、同部総括判事のジャネット・ハンナ氏は「管轄権がない」として却下した。
両議員は同日中に破棄院第一民事部に新たな要請を行い、同部総括判事のナジ・エイド氏が13日に決定を出す予定だった。司法筋によると、エイド判事はハンナ判事にならう可能性が高いとのことだった。
カリル氏とズアイター氏は以前にも同種の訴えを民事控訴裁判所に行っていたが、これも10月4日にナシブ・エリア総括判事に却下された。
ビター氏は13日にズアイター氏と元閣僚のノハド・マシュヌーク氏を尋問する予定だったが、今後取り調べが実施されるかどうかはズアイター氏とカリル氏の要請に対する破棄院民事部の決定にかかっている。
レバノンの元検事総長ハティム・マディ判事は「ビター氏の解任を求める数多くの要請」に狼狽を覚え、「法律によって認められる権利の拡大解釈と濫用」があるとアラブニュースに語った。
マディ判事は、「司法の歴史においてこのような事態が判事に起こったことは一度もなかった。ビター氏は職務を適切に果たしていると思うし、進行中の捜査の内実を知る権利は誰にもない。共和国大統領でさえ、ビター氏に捜査の過程や内容を尋ねる権利はない」と語った。
「政治家がビター氏のことを政治的に行動していると非難するのは、他に攻撃のしようがないためだ。ビター氏の仕事そのものについては文句を述べようがない」
「ビター氏が圧力をかけられていることが知れわたっているため、その後任として犯罪捜査に取り組むことに同意する判事はいないだろう。ビター氏は捜査中止の圧力をかけられている2人目の捜査官だ。1人目はファディ・サワン判事で、既に解任された。だが、結局のところ、捜査は継続している」
捜査対象者である一部の被告が尋問に出頭しない理由について、マディ氏は次のように述べた。「無実を確信しているなら、ビター氏のもとに出頭すべきだ。権利は保証されており、常に弁護士が立ち会うことができる」
「ビター氏に対するキャンペーンの一部については、氏の行動が原因かもしれない。例えば、これまでにミシェル・アウン大統領に聴取していない。大統領は、爆発事故の10日前に硝酸アンモニウムの件を知っていたと発言している」
「これらの危険物がベイルート港に保管されていた7年間に公共事業相を務めた人物の全員の起訴にもまだ至っていない。ビター氏の解任要求は不当だ。終わらせなければならない」
現在、ヒズボラは司法府とあからさまに対立するようになった。特に、ヒズボラの連絡調整部門責任者ワフィク・サファ氏がビター氏をその地位から「根こそぎ」にすると脅して以来のことだ。
11日、ヒズボラのハッサン・ナスラッラー書記長はビター氏について「政治目標を実現しようと試み、殉教者の血を利用している」と非難した。そして、ビター氏が「独断に依拠」していると訴え、「ビター氏がこのようなことが続けていれば国にとって大きな災いになる」と警告を発した。
ナスラッラー氏は最高司法評議会に向けた演説で、「現在起こっていることは裁判とも法律とも関係ない。この問題を解決するための行動を起こす必要がある。最高司法評議会が行動を起こさないのなら、内閣がこの問題を解決すべきだ。私たちはこの国の大きなセグメントを代表して発言している。その私たちの権利として、あなたたちは回答を示す必要がある」と語った。
さらに、そもそも埠頭での硝酸アンモニウムの荷揚げを許可したのは裁判官だと述べた。
また、「裁判官を裁くことができるのは最高司法評議会だけだ。だから、大統領や閣僚の裁判も最高評議会でのみ可能にすべきだ」と語った。
12日、レバノン内務省は警察総局長官アッバス・イブラヒム少将の起訴許可を求める要請に対して2度目の却下を行い、最高防衛評議会も国家安全保障局長官トニー・サリバ少将を裁判にかけるための同種の手続きを阻止した。
トリポリ弁護士会のムハンマド・アル・ムラド会長は、「司法制度は国家の威信を回復させるために必要な第一条件だ。だから、政治家も政治家でない人も司法制度への介入を止めるべきだ。司法は陰謀を働いたり恨みを晴らしたりする場ではないし、権力の道具でもない」と語った。