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ヨルダンのダム貯水量過去最低、危機的水不足は間近か

マダバ県のワレフダム。(アル・マムラカTV)
マダバ県のワレフダム。(アル・マムラカTV)
カラク県のムジーブダム。(アル・マムラカTV)
カラク県のムジーブダム。(アル・マムラカTV)
ジャラシュ県のキング・タラールダム。(アル・マムラカTV)
ジャラシュ県のキング・タラールダム。(アル・マムラカTV)
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14 Nov 2021 12:11:10 GMT9
14 Nov 2021 12:11:10 GMT9
  • ヨルダン当局によると同国内に14ある主要ダムのうち3箇所はすでに空の状態であるという
  • ヨルダン渓谷農業協同組合代表アドナン・カッダム氏は、水資源の状況が「危険な水準」にあることの責任は政府にある、と批判している

ラーイド・オマーリ

アンマン:雨季入りが遅れているヨルダンでは、主要なダムのほとんどが完全に空か貯水量が危険な水準まで下がっており、このまま乾燥した気候が続くと同国は過去最悪水準の深刻な水不足に陥ってしまうおそれがでている。

ヨルダン当局によると国内に14ある主要ダムのうち3箇所はすでに空の状態であり、穀倉地帯として「ヨルダンの食料カゴ」と呼ばれる肥沃なヨルダン渓谷の農家を救うための緊急対応策が検討されているという。

同国水・灌漑省報道官のオマール・サラメフ氏が最近アラブニュースに語ったところによると、南部の砂漠地帯にあるワレフ・ムジーブ・タヌールの各ダムは深刻な干ばつの影響で干上がってしまったという。

サラメフ氏は、北部のキング・タラールならびにワディ・エル・アラブの両ダムは空にはなっていないが危険水準の貯水量を記録した、と付け加えた。

「ここ2年間非常に乾燥した季節が続いたため、国内のダムは全般的に過去最低水準の貯水量にある」と同氏は述べた。

12月から5月まで続いた2020-21年の雨季には例年の平均降水量と比較して6割少ない「最低限の」降水量しか記録されなかった、と同氏は語った。

「高温であったため水の需要が高かったことが水不足に拍車をかけ、現在の状況に至っている」という。

一方で同氏はヨルダン気象局のデータを引用して、雨季入りの遅れは「例外的なものではない」と指摘し「水に関する緊急事態を宣言するのは時期尚早である」と述べた。

最近の報告でヨルダン気象局は気候変動の影響から雨季入りが遅れることが想定されるとしている。また報告では秋の降水量は年間総雨量の2割に満たないと付け加えられている。

水・灌漑省では雨の降らない雨季を想定した短期的・長期的な計画を検討している、とサラメフ氏は述べた。

各所ダムの貯水量が少ないことは農家に割り当てられる水の量が減ることを意味するため、ハーレド・フネイハト農業相はヨルダン渓谷の農家に対して、地下水を灌漑に利用するため同国ではこれまで禁止されてきた井戸を掘ることを許可する、と発表した。

下院の水・農業委員会との最近の会合でヨルダン水道局のバシャール・バタイネフ事務局長は、2021年にヨルダン国内で不足する水の量は4,000万立方メートルに達し、その半分は人口密度が高く400万人が暮らす首都アンマンにおける不足分である、と語った。

ヨルダン渓谷農業協同組合代表アドナン・カッダム氏は、水資源の状況が「危険な水準」にあることの責任は政府にある、と批判しており、政府は「何も行動を取らずただ傍観していただけだった」と付け加えた。

地元のメディアに報道された発言で同氏は国内最大のキング・タラールダムの貯水量は「危険な水準に達した」と語った。

「同ダムはヨルダン渓谷の農家が必要とする水の量の8割をまかなうが、ダムにある使用可能な水量は非常に少ない」と同氏は語り、雨季が到来しなければ深刻な干ばつが起こる、と警鐘を鳴らした。

国家的コンベヤープロジェクト

水資源が世界で2番目に少ない国と言われるヨルダンは「アカバ・アンマン間淡水化およびコンベヤー化国家プロジェクト(the Aqaba-Amman Water Desalination and Conveyance National Project、AAWDC )」という「ヨルダン王国において導入される過去最大規模の造水計画」と形容される構想を発表した。

議員団との会合でヨルダン水道局のバタイネフ事務局長は、このメガプロジェクトによって「2040年まで国内の水資源供給は保証される」と述べた。

水・灌漑省の発表によると、AAWDCが完成したあかつきには毎年1億3,000万立方メートルが造水される、という。

同プロジェクトの第1フェーズが2020年2月に着工された際に政府は、AAWDCはBOT/一括事業請負後譲渡方式で導入され全国の未来の世代に対して持続可能な水資源を提供する、としていた。

この戦略的計画は気候変動や水資源の枯渇、人口増加に対するヨルダンの対応の努力の一部である、と政府は当時発表していた。

イスラエルから水を追加購入

10月12日にヨルダン政府は、和平合意の枠組みで取り決められる水の量とは別に5,000万立方メートル分の水を追加購入することでイスラエル政府と合意した。

イスラエルが提供する追加購入分の水はガリラヤ湖からもたらされる予定だ。

ヨルダン水・灌漑省は当時談話において、両国の技術委員会によるアンマンでの会合を受けて合意が署名された、と発表していた。

イスラエルのインフラ・エネルギー・水資源相カリーン・エルハラル氏はイスラエルメディアに対して、合意は「我が国が隣国と良好関係を築くことを願っているという証だ」と述べていた。

ヨルダン・イスラエル両国は7月の外務大臣会談のあと、イスラエルが毎年5,000万立方メートル分の水を追加で売却するという協定に合意した、と発表していた。

 

 

 

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