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感情が高まる中、シリアの人々が戦争犯罪の調査を国連安全保障理事会に嘆願

2021年11月29日、国連安全保障理事会で演説するオマール・アルショーグレ氏。(スクリーンショット)
2021年11月29日、国連安全保障理事会で演説するオマール・アルショーグレ氏。(スクリーンショット)
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01 Dec 2021 12:12:35 GMT9
01 Dec 2021 12:12:35 GMT9
  • 拷問を受けた経験を持つアルショーグレ氏が、政治犯に対する扱いに関してアサド政権の責任を追及するよう要請
  • ドイツの裁判所はシリアの元工作員イード・アル・ガリブ被告に懲役4.5年の判決を下し、歴史的な出来事と評価される

エファレム・ コッセイフィ

ニューヨーク:アサド政権下の刑務所に収容されていた人権活動家オマール・アルショーグレ氏が話し始めると、国連安全保障理事会の雰囲気が変わった。月曜日の会議は、安保理がシリアで蔓延する責任逃れを終わらせ、現在も進行している戦争の中で犯された犯罪の責任を問う必要性に光を当てる目的で開かれた。

紛争は「ダマスカスの春」で平和的な抗議活動を行っていた人々に対して政権が残酷な弾圧を行ったことから始まった。それ以降35万人以上が亡くなり、数百万人が家を追われている。

アサド政権下の政治犯としての悲惨な体験(拘束、飢餓、拷問など)が世界的にニュースになったアルショーグレ氏は、国連安保理の議場で、各国代表者たちの目を見て問いかけた。「もし、自分の命を危険にさらすことなく、罪のない命を救う機会が与えられたら、あなたはそれを実行しますか?」

25歳の難民は続けてこう言った。「皆さん、そのチャンスはまさに今です。昨日も、そして2011年3月15日以来、毎日のようにそのチャンスはあったのです。つまり、今までシリアの人々の命を救う機会を3,912回も逃したことになる。その間、国連によると35万人以上がシリア政権によって殺されているのです」

今回の非公式会合は、理事国であるエストニア、フランス、英国、米国に加え、カタールやトルコなど十数カ国のスポンサーが招集していた。

アルショーグレ氏は、自分の命を救ってくれたのは実母の「残虐な独裁政権に立ち向かう勇気」だったと大使たちに語り、実母の名前「ハラ」を忘れず、彼女に見習ってほしいと話した。

目の前で夫や息子たちがアサドの手下や「イランの同盟国」によって虐殺されたにもかかわらず、「母は、自分の限界を嘆くことはせず、なんとか行動する方法を見つけたのです。私を刑務所から救い出すことに何度も失敗したにもかかわらず、それでも何度も何度も挑戦し続け、解放されるまで粘り強く努力してくれました」とアルショーグレ氏は語った。

「母は私を刑務所から救ったことで、シリア政権がこれ以上多くの人命を奪うのを阻止し、すでに奪われた無数の人命に対して責任を取らせるためにどのように行動すべきかを示しくれた。奇跡は必要ありません。必要なのは、勇気と行動と、粘り強さです」と彼は話した。

国連の「シリア・アラブ共和国に関する独立国際調査委員会」による最近の報告書では、戦争中に何千人もの拘留者が、拷問、死、女性、少女、少年に対する性的暴力など、「想像を絶する苦しみ」を受けてきたと結論づけている。

国連安保理は、紛争開始以来に起きた国際法違反をすべて調査・記録することを同委員会に依頼していた。

調査委員会は報告書の中で、「シリア政府が使用した少なくとも20種類の恐ろしい拷問方法が詳細に記録された。そこには、電気ショック、体の一部を燃やす、爪や歯を抜く、模擬処刑、車のタイヤに折りたたむ、一本または二本の手足を長時間はりつけたり吊るしたりするなどの内容で、多くの場合激しい殴打を伴った」と記している。

しかし、犯人たちは、具体的な歯止めがない中今もシリアを自由に歩き回り、違反や犯罪を繰り返している。

ドイツのコブレンツ裁判所は2月、シリアの元秘密工作員イード・アル・ガリブ被告に対し、人道に対する犯罪幇助の罪で懲役4年半の判決を下し、歴史的な出来事と評価された。

イード・アル・ガリブ被告は、平和的な反政府デモ隊を一斉検挙して拘置所に連行し、拷問を加えた罪に問われている。この判決は、シリア国外の裁判所がアサド政権のメンバーによる拷問を裁いた初めてのケースとなった。

ドイツの元国連常任代表クリストフ・ホイスゲン氏は、コブレンツ州裁判所の判決は、アサド大統領に対して「このような犯罪を犯した者はどこにいても安全ではない 」という明確なメッセージになったと話した。さらに、「アサド政権は、文明発祥の地を拷問室に変えてしまった 」とも述べた。

スウェーデン、フランス、ドイツの戦争犯罪対策のチームは最近シリアの戦争犯罪に関する共同調査を開始しており、スウェーデンではアサド政権とダーイッシュ両方による拷問と殺害に焦点を当てている。

フランスでは、元シリア軍写真家の通称「シーザー」が2011年から2013年にかけて撮影した何万枚もの死体写真をもとに予備的な調査が行われている。

月曜日の会議では、シリア国外の裁判所で同様の手続きが行われることを歓迎する一方で、そのような動きは「シリア危機の大きさに対して全く対処し切れるものではない」とされた。

彼らは、国連安保理の行動の欠如と、シリアの状況を国際刑事裁判所に付託するという2014年の決議が承認されなかった運命を嘆いた。

「化学兵器を使用した責任者の特定を目的としたいくつかの決議も同じ運命をたどった」と主催者は声明で述べた。彼らは、この資料を国際刑事裁判所の手に委ねることを改めて要求した。

同じくアサド政権下での生活について証言をしたシリア人映画監督のワード・アル・カテーブ氏が、アレッポに住む母親がアサド政権による爆撃で子供を失った瞬間の映像を議場で流すと、一部の議員が涙をこらえる場面もあった。

アルショーグル氏は、「今日、私たちはニュルンベルクでナチスに対して得たものよりも強力な証拠を持っている。集団墓地の場所も分かっているのです。しかしいまだに国際法廷は存在せず、シリアの民間人に対する継続的な殺戮が続いているのです。行動が難しいことは理解していますが、私は国際システムと国連、そしてその設立の原則を信じています」と話した。

最後にアルショーグレ氏は国際社会にこう訴えた。「亡くなった人たちはもう救えなくても、まだ何百万人ものシリア人の命を救うことができるのです。それが私の最大の願いです。どうか彼らを救ってください」。

 

 

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